ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
五月蠅いエンジンの音と同時に風景は流れる。
何度も見て来た自国の風景、後ろに座る二人は静寂な口構えで風景を眺めて居る。
閑々の空気感が其処には広がって居た。街中では人達に注目の火種を植えられて居る。羨望なのか切望なのかは解らないが、私には其処までの事だ。
長時間の移動、軽い眠りをして、目覚めれば思い出の在る中山へ着いて居た。
燦々とした陽の矢が飛び交う中、車は中山の中心で佇む観音寺の大きな紺色の瓦屋根の大門前に車は着いて居た。
「之で足りるかな」
「丁度ですね」
「悪いね、こんな遠くまで来させちゃって」
「良いですんよ、そう言う職業では在るので、其れでは」
「あぁ、達者で」
車はあの港へ戻る様に動き始めた。
其れに反して二人を連れて、私も歩き出した。
懐かしい思い出の馨りと靄が目の先には漂って居る、其れを払う様にいや、消えない様に避けながら、自邸まで歩く。
共に歩いた道を力強く踏みながら、自邸への一歩を綴る。
そうして、自邸まで戻る。
「さっ、どうぞ中に」
少し震えた掌が二人を家の中へ誘う。
イデナさんがミュハさんに何かを教えたら、少し疑問に思うような顔付きで靴を脱いで、家に入る、其れもしゃがみながら。もしかして、ミュハさんの國では靴を脱がずに家に入るのが常識なのかも知れませんね。
広い和室、無地模様の襖の白山っと鮮やかな畳の草原が広がって居る。
二人を座らして、私は台所から少し大きめの漆色の急須に三つの湯飲みを取り出す。
水に氷を入れ、緑黄色のお茶が急須に溜まり、松竹柄のお盆に置いて、持って行く。
緑茶特有の仄かで少し苦味な匂いが鼻に囁かれる。
何も言わずに和室の机にお盆を置き、湯飲みに茶を刻々と注ぎ通す。
冷たい時のカラカラと言う氷の当たる音が聞こえ、より一層冷たく感じ取れる。
「はい、どうぞ」
二人の目の前に湯飲みを置く。
揺れる緑黄の水面が光って居る、絶好の味わいの時だ。
「ありがとうございます、頂きます」
「...」
ミュハさんは、礼の会釈をする。彼女には私の言葉が解らないと思う。
其れに男性らしいが、雰囲気や空気感から女性の様に感じる、喉仏無いし...
まぁ、此のご時世、見た目何て自由だし、ミュハさんがこう言う感じのが良いんだろうなと思う。
啜り飲む二人、イデナさんは頷きながら、飲み干す。大してミュハさんは少し片目を閉じながら、引く様な感じ。文化の差ですかね...
そんなこんなで時間が過ぎた。
和室で悠々と寝るミュハさんを横目にイデナさんと一緒に新聞等を読んで居る。
精確には此処等の地図帖月蠅いエンジンの音と同時に風景は流れる。
何度も見て来た自国の風景、後ろに座る二人は静寂な口構えで風景を眺めて居る。
閑々の空気感が其処には広がって居た。街中では人達に注目の火種を植えられて居る。羨望なのか切望なのかは解らないが、私には其処までの事だ。
長時間の移動、軽い眠りをして、目覚めれば思い出の在る中山へ着いて居た。
燦々とした陽の矢が飛び交う中、車は中山の中心で佇む観音寺の大きな紺色の瓦屋根の大門前に車は着いて居た。
「之で足りるかな」
「丁度ですね」
「悪いね、こんな遠くまで来させちゃって」
「良いですんよ、そう言う職業では在るので、其れでは」
「あぁ、達者で」
車はあの港へ戻る様に動き始めた。
其れに反して二人を連れて、私も歩き出した。
懐かしい思い出の馨りと靄が目の先には漂って居る、其れを払う様にいや、消えない様に避けながら、自邸まで歩く。
共に歩いた道を力強く踏みながら、自邸への一歩を綴る。
そうして、自邸まで戻る。
「さっ、どうぞ中に」
少し震えた掌が二人を家の中へ誘う。
イデナさんがミュハさんに何かを教えたら、少し疑問に思うような顔付きで靴を脱いで、家に入る、其れもしゃがみながら。もしかして、ミュハさんの國では靴を脱がずに家に入るのが常識なのかも知れませんね。
広い和室、無地模様の襖の白山っと鮮やかな畳の草原が広がって居る。
二人を座らして、私は台所から少し大きめの漆色の急須に三つの湯飲みを取り出す。
水に氷を入れ、緑黄色のお茶が急須に溜まり、松竹柄のお盆に置いて、持って行く。
緑茶特有の仄かで少し苦味な匂いが鼻に囁かれる。
何も言わずに和室の机にお盆を置き、湯飲みに茶を刻々と注ぎ通す。
冷たい時のカラカラと言う氷の当たる音が聞こえ、より一層冷たく感じ取れる。
「はい、どうぞ」
二人の目の前に湯飲みを置く。
揺れる緑黄の水面が光って居る、絶好の味わいの時だ。
「ありがとうございます、頂きます」
「...」
ミュハさんは、礼の会釈をする。彼女には私の言葉が解らないと思う。
其れに男性らしいが、雰囲気や空気感から女性の様に感じる、喉仏無いし...
まぁ、此のご時世、見た目何て自由だし、ミュハさんがこう言う感じのが良いんだろうなと思う。
啜り飲む二人、イデナさんは頷きながら、飲み干す。大してミュハさんは少し片目を閉じながら、引く様な感じ。文化の差ですかね...
そんなこんなで時間が過ぎた。
和室で悠々と寝るミュハさんを横目にイデナさんと一緒に新聞等を読んで居る。
精確には此処等の地図帖、漢字辞
「此処が中山、今居る所で此処から東に行けば、此の国の都、まぁ首都、帝都と呼ばれる所に行ける、其処が一番栄えて居て、凄い所だよ」
「成る程...」
「ただ、此の新聞、去年の11月号の新聞かな?此の新聞だと、都で事件が起きてる、之は連続殺人事件、此方の新聞は軍部支持者のデモが起きてる、君達で言う所の軍の人達が帝都でデモ起こしてる様な感じだよ」
「何か凄く治安が悪くないですか?」
「そうなんですよ、都に限らず、此処中山を含め、五畿摂府でもそう言うデモとか事件とかが増えてるから気を付けてね」
「五畿摂府って何ですか?」
「う~ん、まぁ、州みたいな感じかな」
「あー、成る程、何となく解りました」
「まぁ、色々と呼び方が在るから慣れるのに時間は掛ると思うから、しっかり覚えて居た方が良いよ」
「解りました、因みに此の新聞に書かれてる此の字は何ですか?」
「之は盈だね、漢字辞籍帳だったら、675頁に書かれている筈だよ」
「凄いですね、本当に書かれてますよ、如何して解るんですか?」
「私、趣味で辞典類を読み漁る事が好きだからね、何周も其れ読みまくったよ」
「へぇ~そうなんですね」
「そう言えば、君は母の一族が此処で棲んで居るから来国したんですよね?」
「はい、そうですね」
「一応だけど、君の名前はイデナ?って言うのかい?」
「正確にはイデナウアーって言うんですよ、長いのでイデナって略されてるんです」
「成る程、イデナウアーさんと言うのですね」
「後、一応、此処の國と言いますか、此処での名前も有るんですよ」
「ほぉ、どう言う名前で?」
「泉北鵬って言うんです」
「いずみほくほう...成る程、漢字は?」
「泉に
「北からの鵬...」
「由来は北から翼人、薦さんの言った通りですよ」
「良い名前ですね、意味合いが解り易いと言うか、あんまり鵬なんて人名に使わない印象なので目立ってる感じがして良いですね」
「ありがとうございます」
「..其の母の一族って言うのは何処に居るんですか?」
「実は未だ解らなくてですね」
「そうなんですか」
「手紙でお互いの状況だったり、話をしたりするんですが、時間が掛かるんですよ、実際、数か月前に瑞穂国に来ますと書いて送ってから、全然返信の手紙が帰って来なくてですね、何時もなら既に来るか、後数日くらいで来る筈何です...」
「成る程...まぁ、今日は此処で一休みして下さい、此の家も喜んでいる筈ですし...」
「良いんですか?」
「えぇ、私一人よりも複数人居た方が此の家も喜んでくれる筈ですよ、其れに私も孤独は嫌いですからね」
「お言葉に甘えてお休みします、本当にありがとうございます...」
左の薬指の中部に挟まる銀輪が少し擽ったく感じた。
和室の在る一つの襖の僅かな隙間、其の奥に佇む仏壇から視線を感じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続