ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
「之は14月号の新聞、内容は事件ばかりで殺人、強盗、誘拐だな」
「事件しか無いんですか?」
「治安正常化法って呼ばれる法律が有るんだけど、官憲の労働時間の増量が主力に書かれてるから全国の官憲が疲弊してる状況なんだよ」
「其れで犯罪が増えてると?」
「そう言う事、官憲も可哀そうだよ、政府は空回りな事しか出来て無い、其れ所か政府の者って私達よりも数倍の給料を貰ってる筈なのに全然、似合った額の働きをしないせいで凄く不安定な状況だよ、そりゃデモや反発が産まれる訳よ」
「此処も危ういのですね」
「うんうん、ロヴァノリヤが大革命が起きた様にもしかしたら、此処でも大きな戦乱の火蓋が切られる可能性も零とは言い切れ無い、此の世界に平和と言う物はあくまで、一時的な物に過ぎないのかもしれないね」
「確かに私もそう思います、だって此の新聞でもロヴァノに居た時もそうですが、革命と言えど、何も罪の無い人も弾を放ち、誰もが闘う、本当に正悪を決めれ無い悲惨な所でした」
「其れは辛い話ですね、やはり、人間も亜人も結局は良く解らない者何だろうね」
「..やはり、此処は良い所ですね、今だったら、砲撃か銃撃の騒ぎが聴こえるかも知れませんし、休めた物では無いですよ」
そう言うイデナさんの瞳は本当に光と言う物が無く。絶望と言う言葉が似合う程、濁った瞳をして居て、苦労や疲弊の眼差しが漂って居た。ただ、同時に安堵と言うか安心な瞳の光沢に戻って居た。
「此の記事、良いですね、事件を載せてますが、何か一番下の記事が食事の紹介をして居て未だ、良い方ですね」
「あー、之ね、此の新聞社は此処等辺の会社の新聞だから、そう言う地元についての記事を載せてくれるんだよ」
「成る程...」
「之は和菓子の店だね」
「和菓子?」
「此の国独自の御菓子の事」
「如何言う物が在りますか?」
「種類は豊富だよ、私も知らない奴が有る程、奥深い物だよ」
「へぇ~そうなんですね、何か気に成ります」
「まぁ、私のお薦めは草餅だよ、簡単に言えば緑色の柔らかいパンと言うか餅って言うんだけど、その中のあんこと合って美味しい」
「草餅、食べてみたいですね」
「此の近くに和菓子屋在るので其処なら買える筈です」
「時間が有ったら行ってみます」
そう会話が吹く中、ミュハさんが起き上がった。何時にも増して巨体で身体を硬々と不自由に動かしながら、足を伸ばして窓光に身体を当てて居る。
浅い息を燈しながら、陽光を浴びる其の姿。
表裏の顔立ちが刻々と見えて居る、好奇心で仮面を外して見えた本性の様に禍々しい何かの片鱗が見えた。少し怖ろしい表情を刻んで居た。
首を傾け、どうしたんですか?と問う様に疑問を浮かべるミュハさん。其れの表情が一番、虎視眈々とした顔立ちで優しさが刃に成って居た。
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四月七日
瑞穂国五畿摂府中山村
私宛の一通の手紙が届く。
其れは母の一族からの貴重な手紙で在り、同時に母の故郷への路を示す大事な手紙にして案内書だった、だから直ぐに行く事にしたんだ。
四月九日の午前十時の刻を針が過ぎた時の事。
一族に会う為に手紙や荷物を集めて、大きな札みたいな装飾が貼られた灰革のトランク片手に蒸気吹く汽車に揺られて居る。
車両のテラスみたいな処、其処が何時もの場所みたいな感覚に成って居る。私は手摺りに両腕を置き、ミュハは火の点いた煙草を銜え、薦さんは片手だけ手摺りを持ち、無心な瞳で景色を眺めて居る。薄く蒸気が後ろから漂う中、畝々とした線路に振り回される。深緑の山々と蜿蜒流れる群青の河の狭間を通る。
苔生した石垣の跡や多少は整った畝った路が線路の直ぐ傍に広がって居る。何度も揺れ熟れて耐え待つ事、数時間。案内書に書かれた駅、
寂れた液を出れば、木造住宅にして静寂閑散な自然風景が広がって居た。十時を過ぎても、一向に多大な人気の感じ無い或る意味、心地良い場所の風が吹く。少し石垣の一部が埋め込んだ様な砂か砂利道が駅から広がり、高低差の在る坂道や狭い階段が見え、石垣の上に何かしたらの建物のが鎮座して居る。
畝々とした道を周って、建物をじっくりと観察する。住宅、何かの商店、空き家、様々だ。枝垂れた樹々の柳な樹々達の吹かれ靡く葉髪と散る花がとても綺麗で美麗な景色に見える。颪の誘惑の風が葉髪に惚れられて居る。
枝垂れるる、碧き葉髪の、靡き風、颪惑わす、水面の揮え
何と無く、短歌と言う物をやってみた。
之で少しは此の国の文化に染まると言うか染まる為の染料素材くらいは手に入れて筈だ...
囀りと颪の息風吐く声が吹く中を通る三人。
木造で少し古めの橋を渡る。石垣の防落物堤、緑の苔が無数に脈打ち青動脈の様に縦横無尽に石垣に拡がって居る。
サク、コサ、と砂利の踏む音が連続的に続く中、緑畠な森の中に凛と佇む大きな建物が露わに成る。何の看板も無く、でも建築自体は真新しいと言うか普通に誰か住んでそうな感じだ。
其れに何処か眼の前の大きく開く色硝子が光る扉の先の奥。謎の風が私の方に手招く様に吹き撫でて来る。
「此処は何でしょうかね、大きさ的にただの家とかでは無さそうですね、旅館とかそう言う系に見えますね」
「でも、そう言う看板みたいな物が無いですね、営業して居ないのでしょうか?」
「早く入ってみよう、何か面白そうな気配がする、此の建物には何か在るかも知れないな」
「ちょっと中に入ってみましょうか、誰か居るかも知れませんし、此処で何か言って解らないですし」
「じゃあ、行ってみましょう」
軽い歩き一歩一歩を刻む。
地面に散らばる青葉の紙屑を振り飛ばしながら、其の扉の奥へ誘われた。
大きく湾曲的な下足場が見える。
其の先には、明らかに誰かが物色した様な跡が拡がって居る。私もミュハも薦さんも靴を脱ぎ、黒く漆な床に暖かい色の照明隊が処々に座り込んで居る。
「旅館跡?みたいな感じですかね、其れにしてはかなり新しく見えますね」
「作って直ぐに無く成ったのか?」
「...二人がかりで聞いて来ないで、翻訳難しいよ」
「すみません」「..すまん」
ガチャッと部屋の扉を開ける。
其処には凡々いや素朴な匂いが漂う家具や森の匂いがモクモクと鼻を突いて来る。
「此処は廃墟みたいに成っていますね」
「使えないな」
其他の宿泊部屋を廻って見たが、どれも之も廃墟と行っても良い程に壊れて居たり、樹々が窓を突き破り、部屋に葉雪が散らばって居る。
「此処も駄目ですね」
「何か気配はするのに、姿が一粍も見え無い、迷路に騙されて居るみたいだ」
二言語が耳に尖れ鋭利に刻まれる。
訳解らない不可解で不思議な架空言語の羅列が、脳に直接刻まれる。言いたい事は解る、同じ言語じゃない事が悔やまれる。瑞穂語とロヴァノ語、文字も発音も違う別世界の言葉と言って良い程違う言葉だ。反応するのに時間が掛かる、面倒な事だ。
或る程度、宿泊部屋を漁り見たが、どれも之も廃墟と言うかボロボロだ。でも此処もそうだが、何故か廊下や入口付近は異様に整備されて居る。綺麗な蠟燭の火が燈る中、僅かに軋む床を踏み歩む三人、何処の部屋も碌でも無い荒れ部屋で謎しか残って居ない。
そんな中、廊下の先、渡り廊下だろう。外の風景がよく魅える廊下に出る。緑が大きく拡がる豊かな自然風景、都会と近代に染まり爛れた私には深く縫われる。
少し姿勢が悪い様に見える歩き方をするミュハ、親と人差しと中指を顎に当てながら、周りを見渡す薦さん。
確して
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続