ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
街中に佇む宿を見つける。石造りの立派な建物。壁には細かい模様が刻まれており、如何にも色々と高そうな宿に観える。入口も言葉には表し難しいが、かなり立派である。
「とりあえず、此処で取れるか、入ろう、イデナ」
「そうだね」
扉を開け、中に入る。其処は、御伽噺の様な
「高そうだな...」
「やめとくか?...」
「一応、空室状況でも確認しよう」
そうして、フロントへ行く、従業員も身形は高そうな服に、上質な化粧に肌、我らとは違う所がまた良い、文化的にもな...上質を零落させて、堕落させたいと感じる、既にもうしたが。
「二部屋空いてる?」
「ちょっと待ってくださいね..今確認します」
「なぁ、ミュハ、こんなところに泊まる金は在るのか?」
「有るに決まってる」
「...え?」
「舐めるなよ、こう見えて、財政力は有るんだぞ」
「そう..なのか...?」
ブルジョワから
どうせ、みんな死ぬんだから、多少早く死んだって仮定すれば大したことじゃない。
「二部屋空いてますよ」
「じゃあ、其れで...」
「解りました、其れでは部屋に案内しますね」
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ガチャと開く宿泊部屋の扉、曜々と光る照明。
「之で一人部屋!?」
とイデナが驚く、其れも其の筈、扉の先には、上質上級の素材で出来た
私の方も同様、まるで貴族な部屋だ。
「では、ごゆっくり...」
従業員は去り、私とイデナは部屋に割かれ、独りで過ごす。
夕食は宿に有る食堂でも行こうかな。毛皮の羽織をベッドに放り投げる。
「はぁああ~疲れた」
そう言って、机に座り、煙草取り火点け、一服する。右手に煙草を持ち、口から溢れる白煙を出し、左手に載せる、その時、煙は灰皿に換わる、煙に換えて収納していた。
「はぁ~」
煙草から垂れる燃え灰を灰皿に落とし、天井を見上げる。
最近は、だいぶ”本心”が落ち着いてきた、順調だ。だが、又、可笑しくならない様にしないとな...
「また死人を出すことになるからなぁ...」
既に、私の掌は氷塊の様に巨大で多量の血が流れている、其れは私の血では無く、他者の血だ。
決して正義とは言い切れない物だが、全て自己防衛と言えば難なく済むことだ。
大丈夫、まだ
だけの話だ。だが、裏に潜む本心はかなり暴れようとしている。裏の本心は言わば、私の血の中に在る獣の血だ。表が人間で裏が獣、其の獣の血が
餓狼か、将又、神話や逸話にでも出て来る多殺の獣の様に感じる。父方の北方の神話にでも出て来る
存在したとしても...私なんかとは違う物だろう。いや、そうかもしれない...
だが...もし、私の血に
だから、この世の中、手を血で染めても合法なんだよ。其れは私にとって”正義”なのだから、不幸は蜜の味、殺しは世の中の甘味料なんだよ。皆どうせ、いつかは死ぬ、老衰か事故か病か他殺か、寿命の変動と考えれば、大したことでは無い、
「また、いつかは他者を...
恐れる事では無い、殺しと言っても、自らの手で血塗る以外にも瀕死からの見殺しでも良い、事故の様に見せれば良い、所詮
「はぁ、亦
煙草は能力の供給源にして、裏を抑える一品だ。
どうやら、煙草やその紫煙が裏の獣には力を弱める様で、煙草を吸うと落ち着くのだ。決して、中毒では無い筈だが、耐性を持ち始めている気がする、不味い事だ。また、命狩りをする事に成る。
(周りの者には迷惑を掛けたくないのだがなぁ...)
灰皿に煙草を勢い良く押し付ける、皮剥けた果実の様に花開く煙草に朦朧と燃える煙草の火と薄霧な紫煙、灰皿に散る煙草を採ろう"勝手"にする、右手を左手で止める。
(暴れるな
抑える右手を離し、灰皿に乗る、瀕死の煙草を拳の形で潰す、ドンと言う音で葬った。
すると、左側の腕と手の感覚が戻って来た。
全く訳が分からない、複雑怪奇。
(はぁ...私は何者だろう、獣と人間、理性も思考も雪と墨じゃないか、文明を創った人間と自然を
両足を机上に組む様に乗せ、又、喫煙を始める。コートの
「中毒で殺して、証拠不十分で済むしな、
今思えば、こんな物騒?な事を考えているが、表の思考だからなぁ...裏は、どんな思考をするのだろうか?無差別殺人でも考えるのだろうか?
(この裏に潜む、獣と一度でも接してみたいな、そいつはどう思うのだろうか)
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「いやぁ~、なんて豪華な部屋なんだ、こんな部屋初めてだ...何か逆に落ち着かないな...」
あの
いや、もしかしたらな、意外と何かしらの商売で儲けてる可能性も有るしな、深く考えないで置こう。
「あぁ~終わりだよ、此の国...」
絶対革命起きて、内戦とか起きるわ之、其れなら、母の国に亡命するしかない、だが、シャベリン経由...夏場に行くしか無いのか...あんな極寒地、冬季にでも行った凍死するだけだ。鉄道も不十分で、過激的な東方民族しか居ない、いくら私が東方の血が流れていても、必ず何かしら、変な事に巻き込まれそうだなぁ。
「何か、腹減ってきた。何かこう、腹に溜まる物が良いな...芋料理に肉料理、ジョッキに酒注いで、一気飲んで...たまらないなぁ...早く食べたいなぁ...」
翼に生える羽を弄る、退屈の証明現象だ。喫煙したいが、何か豪華すぎて、煙草の匂い付き添うで気が引けるしなぁ...
(何すればいいのだろうか...)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続