よりょしゅく
結末とか何にも決まってないけどダラダラ書きます
たどり着いた部室の前、ふぅ、と息を整えてカバンに仕返し帳簿の重みを感じながら扉を開く。
「おはよう。…早いね」
「おはようございますアリサ先輩!」
いつもの部室の扉を開けてすでに集合していた後輩たちに挨拶をする。
やっぱりシロコがいないな。自転車がないから察してはいたが結構遅くに来てしまったはずだけど居ないということはまだ登校途中なのか。
「ホシノ先輩…はいつも通りだな」
「またお昼寝してるみたいですね〜」
いつもどこかに消えてはいつの間にか戻ってきてノノミの膝の上を満喫している先輩のことを思い浮かべてため息を付きながら自分の定位置に座り、白髪とそれに混じる少しの赤い髪をいじる。少し赤髪が混じっているから仕返しした時の返り血を落とす手間が省ける。
ヒースクリフからは落とせと言われてるけど返り血の処理はめんどくさいのだ。
「ん〜眠い…」
「連絡もまだ来てませんね…」
「いつもの事よ!」
首を傾げるノノミともう慣れたセリカちゃんの怒る声を聞きながらアヤネちゃんを膝の上に置く。今日はちょっと夜ふかしして帳簿処理してたから眠い。
夜ふかしはするもんじゃないな…都市なんてストレスが溜まるだけのところなんだし尚更疲れて眠気も倍増。
「わっ…」
「それにしても暇だな…よしアヤネちゃん!じゃんけんしよう!」
「い、いきなりですね…」
眠気覚ましに困惑するアヤネちゃんの頭を撫でながら椅子に座り直して頬をつつく。
それにしてもうちの一年は反応がいいなぁ。いじってて面白いから実に弄りがいがある。
「…シロコにもやったらどんな反応するかな…」
「ん、何の話?」
そこで扉が開いてシロコが入ってきた。女性の大人の死体らしきものを持ちながら。
暑くて干からびたか…
「あ、おはようシロコ。……そっちの死体は埋める?」
「し、死んでる!?まさかシロコちゃん、拉致してきちゃったんですか!?」
「死体!?シロコ先輩、まさかついに犯罪に手を染めて…!」
いや焦りすぎでしょ…シロコならいつかやると思ってるけどさ。
「い…生きてる…生きてるよ…」
「生きてた」
死んでたとしても埋めればいいけど生きてるならそれに越したことはない。
とりあえず水をぶっかけてやろうか…いらない?そっか…
「で、このふし…人はなんで持ってきたの?」
「今不審者って言った?」
言ってないよー。うん、ほんとほんと。
「倒れてたところを拾ってきた。この人うちの学校に用があるんだって」
「なるほどなるほど…つまり金品を盗もうとする泥棒で行き倒れだったと…」
「アリサ先輩は話をややこしくしないでください!」
「後半はあってる」
それはさておいて目の前の女性を後輩達とノノミで観察する。
髪に着いた砂粒…スーツは泥と砂で汚れきって顔は…優しそうだけど頼りなさそう。
なんでここに来たのかはしらんが目的を聞き出し次第、さっさと帰ってもらおう。
「…アリサ先輩…」
「うん…」
「え、何その目…」
…私がいけって?この言葉を最大限選んでも不審者がふさわしい人に?なんか…体中砂だらけの大人に…?
でも後輩ちゃん達とノノミの視線が痛い…しょうがない、ここは私が行こう…
「それで、あなたはなんでこんな所に?ていうか名前は?」
「アビドスからの支援要請を受けて来たんだけど…あぁ、私は連邦捜査部シャーレの先生だよ!よろしくね!」
先生。あまり耳慣れない言葉に首を傾げているとアヤネちゃんが興奮気味に声を上げた。
アヤネちゃんが何度も支援要請を送り続けて何度も形式的な連絡という形の無視を決め込まれた事は記憶に新しいがようやくそれが通ったか…
「いやぁ、なんども無視を続けられてようやくマトモな人が来た…何度連邦生徒会に殴り込みかけようと思ったことか!殴り込みかける前にきて良かった良かった!」
「その度にノノミ先輩とホシノ先輩がなだめて大変だったんだからね!」
でもこんなボロ臭い土地に割くリソースがあるくらいなら今話題のエデン条約とやらに注目したいんだろう。裏路地と同じで金と力がない奴はこうやって打ち捨てられていくのみ、だ。
「ふふっ…仲良いんだね、君たち」
「そりゃあ全校生徒六人しかいませんからねぇ…正直今年、二人も入ってきてくれたことが奇跡ですよ。……っと、雑談は此処までにして…んじゃ私はホシノ先輩連れてくるからテキトーに場繋げといて〜」
そういって一旦部室の外に行き、少し考える。
ホシノ先輩は空き教室で寝てるか屋上で天日干しされてるかの二択。今日は…日も照ってるし屋上かな。
いたらラッキーなホシノ先輩ガチャだ。
「ホ〜シノ先輩?」
「んみゃ、アリサちゃん?」
「やっぱここにいた。カラカラホシノは見たくないし…紹介したい人もいるからホラ立って!」
よし当たり。今日はいいことあるかもな。
私に持ち上げられてうへ〜!と鳴く先輩をアビドス唯一らしいマットから引き剥がし、猫よろしく抱え上げる。べつにマットくらいうちの家族たちに言えば変えると思うけど…怪しまれちゃいけないな。
「うへ〜アリサちゃ〜ん!おじさんにはもうちょっと優しくしてよ〜!」
「まだおじさんって年でもないし言うならおばさんでしょ…っと!」
ガラガラと扉を開けてホシノ先輩を中に入れ、床に下ろす。これでよし、と。天日干しでカラカラホシノになるのもいいけどせっかくノノミの膝があるんだからそっちを使えばいいのに。
「小鳥遊ホシノだよ、よろしく…」
「私は見鷹アリサ。これからよろしくね。シャーレの先生?」
自己紹介をして握手をしようと手を伸ばして……校庭から響く叫び声に顔をしかめた。
「…いつものだな」
「ですね…」
「汚物は消毒だー!アヒャヒャヒャ!!!」
…中指構成員の友人、親族の侮辱ってことで帳簿に書いていいかな……あ、私の侮辱も兼ねてるか。
流石にめんどくさいからしないけど。さすがにここに都市のルールを持ち込むわけにはいかないしヘルメット団は目の前の奴ら以外にもうじゃうじゃいるんだ。コイツらは…えーっと…何ヘルメット団だっけ…?
名前はどうでもいいけどいちいち速攻処刑していたらきりがない。
なんにせよそれはそれでこれはこれだ。
「銃弾の数も少ないってのに…」
「これじゃゆっくりお昼寝できないじゃないかー」
「大丈夫よ先輩!いつも通り返り討ちにするだけよ!」
それもそっか。一応我が愛銃である残香に弾を込める。長兄との義理巡礼でもらった異物兼遺物があるけど今はいいや。わざわざ持ち出す価値もない。
たかがヘルメット団、さくっと適当にいなして終わりだ。
「じゃあ、私らに手を出してきたこと、後悔させてやろう!」
そう言って校庭に飛び降りた。
◼️◼️◼️
飛び降りると同時に銃弾の雨が私に降りかかる。サブマシンガンで応戦しながら走り抜け近くの遮蔽物に隠れる。
物量は正義、だったか…めんどくさいな。
「敵を倒す時は頭を狙う…ヘルメットで守られてるけど」
「だったらヘルメットごと撃ち抜く。完璧」
「ハーハッハッハ!!お前らの物資が尽きかけているのはお見通しだぁ!!」
「あいつら、なんでそんな情報まで…」
いや深く考えている隙はない。ただ敵を倒すだけなんだから。
いつの間にか校庭に降りていた先生の支持でシロコが敵の注意を引きつけ、その隙にホシノ先輩とノノミが注意散漫になったやつを倒していく。
「速射!」
銃弾を的確に敵の腹にお見舞いする。でもこうやって撃ってるだけじゃ物足りない。
「よし…」
ロッカーの後ろから飛び出して銃本体を逆手に持って銃底をヘルメットのゴーグルに叩きつける。
ゴーグルが砕け、目が晒される。
「見通しが良くなっただろ?」
「うわぁぁ!やめろー!」
油断した隙に腹を蹴り上げ、無防備になった腹に拳を入れる。
「シロコ!」
「ん、分かった!」
後ろに吹き飛んだヘルメット団をシロコの攻撃が確実に意識を刈り取る。
「ナイス、シロコ!」
「ん、大したことない」
「アリサちゃん、後ろ!」
タブレットで指揮を取っているらしい先生の声に振り向くと無数の銃口がこちらを睨んでいた。
これはどうしようか…生身で受けてもいいけどそれは流石に痛い。
「シロコ、それ貸して!」
「分かった」
渡された気絶したヘルメット団を掲げて盾にする。するとたったそれだけで引き金に当てていた手が固まる。
引くも戦うも今がチャンスだ。
「うへ〜容赦ないね〜…おじさん怖いよ〜」
「だからおじさんじゃないでしょ…」
ぽいっとヘルメット団を投げて怯んだ隙に一気に走り寄って雑魚を掃討していく。
先生に指揮の才能があったのかは知らないが今までの比じゃない速度で面白いくらいに敵が倒れていっている。
これが大人の力なのか…
「隙あり!」
「ホシノ先輩」
「分かってるって〜」
後ろでまだ気絶できなかった雑魚が先輩に奇襲をかけようと銃を構えたが振り向いた先輩にまた銃弾を浴びせられて今度こそ倒れ伏した。
…倒れ伏したよね?
ま、これで残ったのはボスとも言える赤い服のやつだ。
「あ…て、撤退〜!」
すたこらさっさと気絶しなかったヘルメット団の残党が気絶しているのを抱えて去っていった。
でも背中ががら空きだな?よし、ここらでもう一発……
「ふたりとも、追わなくていいからね〜」
「バレてた…は〜い」
「ん……」
二人して少し残念に思いながら武器を下ろし最後までしっかり撤退する姿を見てからアヤネちゃん達の所に戻る。
何はともあれ、ヘルメット団掃討完了だ。
「カタカタヘルメット団の撤退を確認しました」
「皆、お疲れ様」
アヤネと先生のねぎらいを耳にしながら伸びをし、学校に戻る。
キリがないと言えどいい運動と暇つぶし位にはなるだろう。あいつら弱いしから万が一があってもどうとでもなる。
「なんか戦いやすかったね」
「ん、すごく状況が見えた気がする」
そう話しながら部室に戻る。ふぅ、体を動かすと気分がいいな。
「にしてもあいつらも懲りないな…つい最近ボコボコにして物資奪い取ったばかりなのに」
「それの仕返しじゃないの〜?」
ヘルメット団は忘れない。中指も忘れない。どうせすぐにまた戦力を整えて襲来してくるだろうね。
カタカタであれ別のヘルメット団であれ敵はウジャウジャいるんだし…ふぅ、めんどくさ。
部室に戻なりホシノ先輩がまた脱力して机に寝そべった。
「いや〜今回も勝ててよかったね〜」
「勝たなかったら雑魚が学校荒らすけどね」
「ざ、雑魚…」
何さその顔…雑魚には変わりないでしょ。
仕返しにアヤネちゃんのほっぺをムニムニしていると話はヘルメット団の対策の話に切り替わった。
あのホシノ先輩が切り出す。
「ヘルメット団だけどこのままだときりがないでしょ?だからおじさん、作戦を考えてきました〜!」
「……!?あのホシノ先輩が!?本物ですか!?」
「シロコ、明日の天気は?槍?手榴弾?私は剣を推すね」
「ん、残念だけど晴れ。槍も剣も降らない」
「いや~その反応はいくら私でもちょーっと傷ついちゃうよ〜おじさんだってたまにはちゃんとやるんだよ〜?」
まじでたまにしかやらない先輩が自分から改善案を切り出すとは…うん、めっちゃ失礼なこと言ってるな。
でもやっぱり爆弾が降るのかな?
「で、明日の天気が爆弾と槍の雨あられであることが確定したわけだけど、どんな作戦?」
「しれっと変なこと言わないで!」
「まぁまぁ、そう怒んないでよセリカちゃんもさ?」
冗談はさておき作戦というものは倒しても倒しても戻ってくるヘルメット団が攻め込んでくる前に先に拠点を襲撃して倒そう、という案だった。先輩でも意外といいアイデアが出せるんだな。見直した。
「意外だね…」
「そんなに信用ないかー!?」
まぁないな。いつもサボってるホシノ先輩だし。いつも昼寝してるホシノ先輩だし。
先輩にこんな事印象持ってるの知られたら殴られそうだな…しないと思うけど…どうだろう。
「じゃあさっそくだけどいこうか?」
私はそう声をかけ、友人と共に再び砂を踏んだ。
◼️◼️◼️
学校からそう遠くない所、ヘルメット団のアジト。
外では先生の指揮の声と銃撃音が響いている。それをBGMにして弾薬庫を爆弾と銃で壊してまわった。
武器という武器を破壊し尽くして攻撃の手段を無くしていく。
お、食べ物ってことは…ここは補給庫か。よし。ここも燃やし尽くしてやろう。
「補給庫、弾薬庫を破壊。あとは火薬に火をつけるだけ」
『オッケ〜こっちもそろそろ…片付きそう』
通信越しに声をかけると同時に戦闘も終わったらしく応戦の声が止んだ。
これで仕事はほぼ完了だ。
「じゃあ爆破させるから退避してね〜」
『アリサちゃんも気をつけてねー』
言われなくても分かってるさ。
「んじゃ…ミッションコンプリート、だ」
燃え残った全てに火をつけ、ヘルメット団のアジトが燃えるさまを心地よく思いながら皆の所にもどる。
これでしばらくは静かになってくれるだろう。皆も大きな怪我はなさそうだし良かった。
「ま、なんであれ、これでヘルメット団のこともしばらく考えずに済むし一息つけそうだね」
「ありがとう先生!これで借金返済に取り組めるわ!」
おー、セリカちゃんがデレてるー珍しー
でも借金の事言ってよかったかな?
「借金って?」
「あっ…それは…」
「待ってアヤネちゃん!」
口を滑らせたことに気づいたらしいセリカちゃんが慌てて止めようとするもホシノ先輩に止められる。
ま、でも一応相談役は増やしたほうがいいと思うけどな。特に首を突っ込んでくるってわけでもないだろうし。
どうせ何も変わらない。
「一旦大人に話したほうが少しは楽になると思うよ?罪を犯したわけでも隠すようなことでもないしさ」
「で、でもついさっき来たばかりの大人がこんな学校のことなんて気にすると思う!?他の大人たちと同じでどうせまた見捨てるに決まってるのに……!私は認めないから!!」
そう叫んでセリカちゃんは行ってしまった…だいぶツンが多めだな…今日は。
でも今日は部外者の登場にヘルメット団の襲来と比較的濃い一日であったしストレスが溜まってたんだろうな。
「私、嫌われるようなことしちゃったかな…」
「気にしないでいいよ、先生。アビドスは悪い大人に騙されてきたからね、そういうのに敏感なのさ。ま、セリカちゃんも悪意あっていったんじゃないんだし…根気強く絡んでいれば仲良くなれるよ。たぶん」
「そ、それで借金っていくらくらいあるの…?」
しょんぼりしてる先生の背中を擦りながら慰める。
セリカちゃんは頑固だからねー新しいものに警戒心が強いんだ。
「それが…ざっと9億円くらいなんだよね…」
「これが返済できないと学校は廃校、銀行の手に渡ることになってしまいます」
「借金の理由もこの砂のせいなんだよね…はじめの方は積もる砂の量も少なかったんだけど徐々に増えて、撤去の費用も大きくなっていって…んでその後はお察しってこと」
「なるほど…私にできることがあったら何でも言ってね!」
「お人好しだね〜先生」
「そりゃあ私は君たちの先生だからね」
…なんだかんだで私たちの話をちゃんと聞いてくれたのは先生が初めてかな。
物好きと言うべきか、お人好しと言うべきか。どっちにしろ先生は…少しは信じてもいいかもしれない。
もしかしたら…可能性はあるのかもしれない。
ただ…もしアビドスに手を出したら。
その時は誰であれいつであれ、必ず仕返ししてやる。
見鷹アリサ
【ポジション】STRIKER
【レア度】☆3
【属性】爆発/重装甲
【適正】市街良、屋外最良、屋内普通
【役割】アタッカー
【固有武器】残香
【愛用品】入学写真
アビドス高校所属の二年生。
誕生日は6月14日、身長は175cm。
好きなものはアビドス、仲間、甘い物
嫌いなものはアビドスと仲間に手を出す奴ら
髪色は白髪に赤のメッシュと目は紫色
アビドスの制服に紫のコートを着ている
どうやら一週間前まで原因不明の昏睡で入院していたようだ