明るい子が折れる瞬間がもっとも輝く瞬間であるけどその分折る難易度も高い…ふふ、興奮しちゃうじゃないか…♥
ちなみに掃除屋戦入れたかったんですが文字数もかさむので泣く泣く消しました
家に帰り深呼吸をする。そしてカバンを除く。
教科書が見え、筆箱、財布が見え…その最奥、黒い袋に厳重に包まれた奥から紫に光るガラスのような欠片を取り出した。これは欠片。
キヴォトスと都市を繋ぐ。私にとって変えが効かない大切な欠片だ。
それを虚空に向かって振りかぶり、空間に切れ目を入れ、断つ。
私の家族がいる所へ繋がるように、と。
そうして開いた欠片と同じ色の光る次元を見てポツリと呟く。
「さてと…怨恨を晴らす前にヒースクリフのところに顔でも出そうかね」
私が中指に入ってから面倒を見てくれた仲がいい弟分のことを思い出しながらポータルに入る。
吐き気と浮遊感、脳に何かが差し込まれるようなとてつもなく不快な感覚にクラクラしながら耐えていると…私は薄汚れた路地裏に立っていた。近くには残虐に切り刻まれた死体がゴロゴロ落ちている。
掃除屋に処理させる気かな……うっ、気持ち悪い…
「あー…何回やっても慣れないな…」
乗り物酔いみたいなもんだ…酔いやすい体質だから尚更気分が悪い。
ただ初めの頃は慣れない環境と恐怖で何度も吐いていたが…流石に慣れた。だてに何回も次元移動してないからね…
「さてと…まずはヒースに会いに行くか〜」
紫のコートについたフードを深く被って仕返し帳簿を取り出し目立つように腰につける。
そして裏路地から出るとすっかり夜でまだ掃除屋が出張る時間ではないものの急がないと行けないようだった。
制服が汚れないように歩きながら銃を持って慎重に進む。
後ろから襲われるかもしれないからね…そうなる前に気づいて帳簿に従って殺すけど。
「よー、元気かー?」
「長姉様!」
中指のアジトとも言えるビルにはるばる足を運んで声をかけると驚いたような声が浴びせられた。
「どうしたんですか、こんな所まで…」
「ちょっと顔出しただけ。でも急ぎの用もないしちょっとゆっくりしようかな……どう?帳簿の処理は」
「あ、順調です!」
それは良かった。家族たちの成長を見るときほど嬉しいことはないからねぇ…
にしても末妹に末弟も増えたなぁ…中指は比較的アットホームな指だからそりゃ参加者も増える。家族が増えて嬉しいよ。
親指は上のやつに口開いたら下顎砕かれて死ぬけどここはそんな事ないし、理不尽な指令とやらのせいで死ぬこともないし、定期的に芸術もどきを提出するとかいうこともない。小指はぶっちゃけそんな知らん。
ちょっと抜けれないだけで明るく結びつきが強い職場だってのに……手を出されたら頼れる兄貴と姉貴が変わりに仕返ししてくれるのに……
うーん、なんでそんなに怖がるんだ…?見た目か?理解できないな…
「長姉様!!これ食べまするか!?!」
「お、どうしたの?」
「近くで売ってたチキンでありまする!!」
「…夜ご飯まだだしいただこうかな。いただいちゃって悪いね。名前、何ていうの?」
「構いませぬ!!!あ、当人はドンキホーテ!末兄様の手下でありまする!!先日はほかの家族たちと一緒に歓迎のパーーティィィ!!!を開きもしました!!!えへへ…楽しかったでありまするなぁ……」
元気あって何よりだ。
へぇ、ウンボンのチキン酒場、か…余裕があったらいつか行ってみたいところだ。
「ん、美味しい!」
「長姉様も気に入ってくれたようで何よりでありまするな!!それでは私は正義に従って中指に仇なす者に報復してくるがゆえ!!だれか着いてくるものはいませぬか!!?」
「あ、じゃあ俺一緒に行くよ」
「俺もいいか?」
嬉しそうに笑う彼女の頭を撫でてやりながら晩飯代わりのチキンをもう一個いただく。なんとも愛嬌があって可愛らしい。
ただ…ヘルメット団撃退して思いの外疲れてたんだな……いや、まだ寝るな。帳簿処理する約束だろ…
「姉貴、いたんですか」
「やっほーヒースクリフ!久しぶりだね」
「あぁ、久しぶり…だな…」
敬語はいらないと言っているのに……
家族なんだしそれくらい全然許すけど。慣れの問題か?どっちにしろどうでもいいけどさ。
「そういやなんか数人居ない気がするけど…?」
「シンクレアとムルソーのやつは8区の方でヘアクーポン泥棒を追いかけてもらってる所だ」
「8区…結構遠い所まで逃げてくれたね…なんでわざわざ逃げるようなことするんだろ?ちょっと11回くらいぶっ殺すだけなのに」
「おかげでオレの髪もボサボサだ…意地汚いクソ泥棒…見つけたら絶対ぶっ殺してやる」
殺気をにじませながら好物のローストダックを食べているヒースクリフを見てから私は立ち上がった。
ここ数日彼の髪はフサフサ〜を失って少しボサついている。見るに耐えない髪質とヘアクーポン泥棒に対する怒りで彼の執行の激しさも日を追うごとに増していく。
哀れなヘアクーポン泥棒…全てお前のせいだけど。私からも見つけ次第怒りの報復をしてやろう。
「じゃあ今日の分の怨恨を片付けてくるよ。あ、そのまま帰ると思うから次来た時は一応私の好物用意してくれると助かる。分かってるよね?鉄板焼」
そう伝えてから壁に立てかけておいた遺物を手に取り、外へ飛び出した。
中指。ここ都市の裏路地という無法地帯を股にかける五本指の内の一つ。
特徴は義理と仕返し。構成員の絆が厚く、中指の者、その友人、家族、所有物に手を出したものは中指によって地獄の果まで追い回され処刑される。
私は生き残るためにひたすら中指怨恨を晴らし続けてトップである長姉まで上り詰めた。
あの家族殺しの疑惑がかかっているマティアスとは違う、正真正銘の長姉だ。
今日処理するのは中指に対する侮辱と暴行を働いた愚か者だ。一度見つかったらしいが仕返しの途中に逃げ出したらしい。逃げなかったらそこまで重くならなかったのに…ホント、バカな奴らだ。
制服のシャツの前を開けるとさらしと腹の前面に無数に刻まれた怨恨の入れ墨が姿を表した。
これこそが私が今まで家族に貢献してきた分と私が長姉であることを示してくれる。
「さてと…おい!!いるんだろ〜?」
扉を叩いて音を出す。静かだが…だがいるな。
隠れても意味ないってのに。
「お前らは12条56項P列。中指所属人物への罵倒、攻撃をしたらしいな?」
するとガタガタと音がして恐怖に震える声がした。
「だ、だって…!知らなかったんだ!中指だったなんて!!」
「紫のコートと義理の鎖、目立つ帳簿があるのに?」
そんなチャチな言い訳が通ると思ったら大間違いだ。
早速扉を蹴破って風通しを良くする。
これで夜の風がよく通るな?
「中指の長姉に殺されること、光栄に思うんだな…ったく、何もしなけりゃいいのに…バカは湧くもんだ」
「だっ!だから——!!」
でもこうして仕返しができるのは嬉しく思うよ。頼られるってのも案外悪くない。
それにバカを見るのは楽しいんだ。
「だから速攻処刑してやらなきゃならないんだよ!!」
頭を掴んで壁に叩きつける。
後頭部が潰れて白い頭蓋骨が壁に付着する。あんまり制服は汚したくないんだしさっさと済ませよう。
「武器を使用した綺麗な首の切断!」
懐からナイフを取り出して首を跳ね飛ばす。血が頭にかかってしまった…あーあ、めんどくさ……
洗ってもなかなか落ちないからめんどくさいんだよ…
……ここに来てしまった頃は内臓や血にいちいち怯えていたけど…今ではむしろ…楽しんでいるかもしれない。
「…もうとっくに壊れちまったのか……」
友達には見せられないな。こんな醜態は。
「あ、仕返し完了」
顔の原型がないほど砕け散っていた頭らしいものから足をどけて脳症を振り払いながら帳簿に一本線を引く。
まだまだ片付けるべき怨恨はまだまだ残ってるんだ、こんな所で気を落としているわけにはいかない。
「だってまだまだ夜は長いんだ」
◼️◼️◼️
都市の夜を駆けながら怨恨を処理する。口に銃口をねじ込むと恐怖で顔が引きつり涙が頬を伝う。
「ばーん」
「あ…がっぁっ…!」
また一件片付けた。
「あれ、姉貴?」
「シンクレア、帰り?」
「ああ、はい。兄貴が忙しいって言ってましたから僕達が怨恨を片付けた所です」
「うむ。53件の怨恨を処理した」
「そっか、報告ありがとう。私はもうちょっと帳簿処理するからかえってご飯にしな。ドンキちゃんが用意してくれたチキンがあるよ」
弟たちと偶然合流したので数言かわしてまた手を振り別れた。
本来ならありえなかったことだ。銃弾一発で人が死に、私がキヴォトスで最大の禁忌を犯していることなんて。
でも私は中指であり、長姉である。だから…こんな所で止まってちゃいけない。
どれだけ辛くても…泣いちゃ…いけないんだ。
「8条20項A行6番目。関係者全員の即決処刑。…ヘアクーポンの罪は重い」
「クソッタ——」
「中指の構成員の侮辱……手足も折ってやろう」
義理の鎖を握りしめてそれごと頭を殴り潰す。即死しないように手加減して…左足を踏み潰す。
仕返し対象に仕返しするってのはだいぶこちらの骨を折るからむやみな報復とかは勘弁してほしいところだ。
「折るって言うより潰すが正しいかな」
聞く者のいなくなった路地裏で小さく呟き、件の関係者の罪を精算しに行こうとした瞬間、後ろから声がかかった。
「姉貴、いるのか?」
「ヒース、どうかしたの?」
「ヘアクーポン泥棒の一人をぶちのめした所だ」
「奇遇だね…私も中指を侮辱した愚か者に仕返しした所。…一緒にヘアクーポン泥棒狩りに行こうか?」
「いや、オレだけでも…」
「いいって。家族で助け合うのは当然でしょ?」
む、全然気づかなかったな…ヒースと言ったらあの音楽なのに。気づかないほど執行に没頭してたみたいだ。
伸びをして肩にのしかかる重圧を振り払うように血がべったり着いた手で頭を撫でつける。
もっと気楽に、めんどくさくいこうよ〜そうすりゃすこしはラクになれるんだ。
「…ヘアクーポン、いくら貯まってる?」
「使うのか?」
「そうしようかなって」
「50枚。マティアスの野郎に盗られるから多めに貯蓄しておいている」
「そっか。ありがとう」
月が浮かぶ空を見上げる。今は12時半、掃除屋が来るまであと2時間43分…うん、怨恨はまだまだ片付けられそうだ。
他の怨恨も処理して…ヘアクーポン泥棒を追うんだから…8件処理できたら良いかな。だてに長姉やってないから。
速攻処刑だ。
「ちょ、なんで…!私は何も…!」
「あなたの兄が中指を脱退しようとしてね…連帯責任で処刑だ、お前も。あ、気になることがあるんだけど…こういう時って何回殺せば完了って見なされるのかな?」
これに関しては申し訳ないと思うけど…恨むなら兄を恨んでくれ。
部屋という部屋に飛び散った血と拳と鎖にベッタリと付着した肉を振り払いながら部屋を見渡す。
「…お母さん?」
「あ、まだいたんだ」
小さい、4歳くらいの子ども。お母さん、か…中指の仕返し対象は血縁関係のある全て。
子どもも例外じゃない。ただ…やっぱ慣れないな……子どもを殺るってのは。
「いや、余計なことを考えるな。私は中指の長姉なんだ」
「誰…?お母さんは…?」
「ごめんね」
そうつぶやいて拳を振りかぶった。
◼️◼️◼️
帳簿に線を引きながら今度こそ外に出る。死体は掃除屋共が処理してくれるからこのままでいい。
私が壁をぶった切ったから天井が崩れ去れば建物とはみなされずに掃除屋が通ってくれるはずだ。
「それにしても姉貴が中指に入ってからどんくらいたったんだ?」
「よく覚えてないけど…なんだかあっという間だったね〜。初めの頃は人を撃つスタイルだったけど…覚えてる?あの弾が建物貫通仕掛けたやつ。あの頃は分かってなかったけど後少しで頭が来る所だったよね」
「あれはオレもヒヤヒヤしたな…」
ははは、と乾いた笑いを発しながらそれを思い返す。初めての帳簿執行の日、半ば半狂乱になりながら残香を乱射してたら壁に弾がめり込んで…いやぁ、びっくりした。
身体中に入った入れ墨を撫でながら歩く。
「でもヒースは8区の方から来たでしょ?観光でもしてたの?」
「あぁ、シンクレアの野郎に促されてな。あと南部の兄貴姉貴に挨拶だ。泥棒を全員処刑するのもだけどな」
「シンクレアは優秀だね。長弟になる話も出てきてるんでしょ?」
「あとは最終確認して姉貴が了承すれば、だ」
つまりシンクレアも入れ墨まみれになる日も近いってことだ。成長を感じて姉さん嬉しいよ。
「あのパツキンの新人もすげぇよ。屈託のない笑顔で帳簿処理してたらしいからありゃすぐに長妹になれるな」
「ドンキホーテ、だっけ。素直で可愛い妹だし家族仲も良好そうだ」
そんな弟妹の話に花を咲かせながら古臭い建物の前にたどり着いた。
ヒースクリフが扉を殴り飛ばし、私が遺物で穴を開ける。
「なっ、何だお前らは!」
「とぼけんなって…分かってんだろ?ヘアクーポンだよ、ヘアクーポン!うちの弟の、盗っただろ」
「ようやく見つけた…!オレのヘアクーポン泥棒……!動くなよ!全員…処刑してやるからな!!」
「中指!?ここまで追ってくんのかよ!!」
「そ、中指は忘れない。お前らもよく知ってるでしょ?お前達のためにわざわざ長姉が出向いてやってんだ。ガミガミ言わずにクーポンさえ出してやったら一行くらいは消してやる」
一行消した所で死ぬ回数が一回減る程度だけど、それは隠しておこう。罪人が目に希望を灯している姿が一番面白いから。
長姉と末兄の登場に身を震わせる大罪人を冷たい目で見据えながら大きな音を立てて鎖で覆われた足を椅子におく。
「はっ…ハハハ!もしそのクーポンとやらを使ったって言った――ぐあぁっあ!?」
「だってさ。中指の所有物を窃盗、使用。言い逃れしようとなんだろうと…速攻、処刑だ」
肋骨を何本か折るような位置で踏み潰す。
「…マジか?おい、それマジで言ってんのかよ?ははは…帳簿に何行書けば良いんだろうな、あん?」
「こりゃあだめだね…さっさと処刑してやってから次行こ」
「いや、姉貴は他の怨恨を処理しに行ってくれ。ここはオレだけでやりてぇんだ」
「はっそっか…じゃ、ここは任せるよ」
外に出ると同時に怒りの声と悶絶の悲鳴が聞こえた。
ディナーのBGMにちょうどいいな。
ジャラジャラと鎖を鳴らしながら帳簿をめくり、家族が晴らしている怨恨を見ながら歩く。
ふむ、この近くに一件…そしたら芋づる式に……ん?
「…待って、今何時だ?」
最後に時間確認してから結構時間経ってるはずじゃない?
「あぁもう…!」
感覚的にそろそろ掃除屋の夜だ。掃除屋はまずい。死にはしないが滅茶苦茶めんどくさい。
私が掃除屋程度にやられるわけないがめんどくさいのだ。掃除屋をキヴォトスに入らせないようにしなきゃならないから……
「っと、考え込んでる暇はないな」
カバンから紫の欠片を取り出し切り裂く。そしてキヴォトスを想起する。
私の日常。私の友達がいる所。私のすべてがあった所。そして、かけがえのない皆がいる所。
次元が開く。
◼️◼️◼️
「ご帰還〜…」
見慣れた廃墟の土地にため息を付く。やっぱり精神的に落ち着くのはここだ。
さて、本格的に遅くなる前にさっさと戻らないと。
制服と紫のコートにベッタリと付きまくった返り値が地面に落ち、一本の線を引く。
めんどくさいし掃除しなくてもいいか…あーでもお風呂は入んないと。
制服…は変えがあるから良いとして…洗濯もしないとな。鎖とコートは戻すのがめんどくさいしこのままでいいだろう。
「ただいま…」
何も無い部屋。机があって、ベッドがあって、入学式の頃皆で撮った写真があって(私はシロコとノノミと肩を組みながら笑っている)、そして制服と中指の皆で撮った私が末妹の頃の写真がある。
でも、それだけ。他には何も無い。いや、あるんだろう。雨風しのげる家があって三食ご飯も食べれて。
そして…未練を残せそうなものが何も無い。ただ…写真だけ。
「…いや。何を言ってるんだ私は…大切な物なら溢れてるだろ……」
疲れてるんだ。ヘルメット団に部外者の訪問。そして帳簿の処理。
それらが重なって…ちょっとナイーブな気持ちになってるだけだ。何も異常はない。以上。
「風呂入ろ…」
でもまずはこの血を洗い流さないとだ。
また朝になったら学校が始まるんだから。
見鷹アリサ
オリキャラ何人まで追加していい?
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主人公だけでいい
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一人
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二人
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三人
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四人
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これ以上