剣士ヤジロベー   作:茶しば

1 / 2
オリジナル小説書きたいけどまだ文章を書くのに慣れてないので、とりあえずそこまで長くならなそうな二次創作を作る事にしました。

ヤジロベーの外見は原作より痩せています。
服装はそのままです。


剣士ヤジロベー

茹だる様な暑さの中で精神を集中させる。

この密林の樹木はデカくそこらの鉄塊よりも硬い。

そのうちの一本を前にし、腰に掛けた刀に手を伸ばす。

 

樹木の大きさ、密度、生命力を肌で感じ己の行動を想定する。

どの踏込み、どの速さ、どの強さで剣を振るうか。

あらゆる己が技を想定し、最適を選び出す。

 

「……………ッ」

 

想定した答え通りに刀を抜き放つ。

巨大な樹木は豆腐を切る様に刃を受け入れ、その役目を終える様に倒れ伏した。

 

この密林の樹木はとても高く売れる高級な木材なのだ。加工は難しいが、強度、耐久性、耐食性に優れて見た目も樹木の宝石と呼ばれる程美しい。

 

俺は度々この密林に訪れては修行の為にこの樹木を切り倒し、そのついでに丸太に加工して売り飛ばし路銀にする。

 

俺はある高みに至る為に武者修行の旅をしている。

一定の定職に就いていない為、今日の様にその強度の為、採集が難しい樹木や鉱石を集めて売るか、旅の途中で用心棒として雇われて金銭を得ている。

 

今日はそんななんてことのないいつも通りの日だった。空から子供が降って来るまでは。

 

切り倒した樹木の枝を切り落とし、丸太に加工してポイポイカプセルから出したトラックに積み込み、カプセルに戻すと上空で発破音が聞こえた。

 

上を見上げると500メートル程先に子供が空から落ちて来るのが見えた。

 

意識も完全に無さそうで俺が走って受け止めるのも無理そうだ。

確実にあのまま地面に落ちて悲惨な末路を辿るだろう。

 

地面に落ちた後に、弔いでもしてやろうと降ってきた場所に向かうと、少年の体は驚くべき事に原型を留めていた。

 

しかもまだ呼吸がある。

やたらとボロボロだが生きている。

 

仕方がないので俺のキャンプの寝床で寝かせてやり、夕食を調達する事にした。周辺でデカい魚を釣り上げ、丸焼きにするとその匂いに釣られたか、少年が目を覚ました。

 

「………はらへった」

 

「起きて一言目がそれかよ、大したやつだ」

 

「ん?……あれ?アイツはっ!?どこに行った!?」

 

少年は周囲を見渡し誰かを探している。

 

「おめぇは空から降ってきたんだよ、周りには誰もいなかったぜ」

 

「そうか……ところでオメェは誰だ?」

 

「そこは自分から名乗れと、言いたいところだが……俺はヤジロベー。武者修行中の剣士だ」

 

「そっか。おらは悟空。クリリンを殺した奴を追ってたんだけど……」

 

少年の腹の虫が鳴る。

相当に腹が減っているらしい。

 

「外にメシを用意してある、食っていいぞ」

 

「いいのか!?正直いい匂いがすると思ってたんだ!」

 

少年はボロボロの体からは想像がつかない様な身のこなしで立ち上がり、外にある魚の丸焼きに飛びつき、驚異的な食欲のまま巨大な魚を食い尽くした。

 

「ふぅ〜。腹いっぱい!」

 

「全部食い切るとは……」

 

「これならさっきの奴にも負けねぇ!筋斗雲ー!」

 

少年は空に向かって何かに呼びかけるも、何も反応が無い。

 

「くっそ、アイツ筋斗雲も殺しやがった!」

 

「おい悟空。落ち着けよ、落ち着いて考えて見ろ?ここが何処かもわかってねぇだろ?」

 

そう言うと少年はとりあえず落ち着き、周囲を見渡し、そして俺のところで目を見開いた。

 

「あー!!ドラゴンボール!?」

 

俺の首飾りを指差し叫んでいる。

 

「なんだ?ドラゴンボールってのは?」

 

「七つ集めると願いが叶う球だ。ヤジロベーが持ってるのは星一つだから……一星球(イーシンチュウ)だな」

 

「へぇー縁起良さそうだから持ってたがそんなもんだったとは」

 

「ヤジロベー。それ俺にくれないか?オラ友達が殺されちまってなんとか生き返らせてやりてぇんだ」

 

少年はすがるようにお願いして来る。

 

「いいぜ。……ただし俺と手合わせしろ。勝敗に関わらずこの球はくれてやる」

 

「わかった……なんとなくおめぇ強い感じがしてたんだ。食後の運動にちょうどいい」

 

 

 

 

 

 

俺と悟空は5メートル程離れて向き合う。

俺は刀を鞘から抜かず構えた。

 

先に動いたのは悟空だった。

俺が今まで見たことのない様なスピードで向かって来る。

俺は鞘にしまったままの刀を振り抜くが、手応えが無い。

 

「残像か……」

 

そのまま勘で刀を上に突き出す。

 

「おわっ!?」

 

悟空は空中でいきなり身を翻して回避した。

物凄い身体能力だ。これなら多少剣を抜いても問題なさそうだ。

 

「剣を抜くが……峰打ちだ。安心しろよ?」

 

距離はまだ5メートル。

腰に刀を据えて居合の構えをとって集中する。

殺す気はない、斬ることを考えず刀の峰で吹き飛ばす事にする。

悟空は警戒しているが、意識の隙間を狙えば問題は無い。

 

相手を観察し、タイミングを測り、一瞬で相手の懐まで移動して刀を抜き放つ。

 

「うがっ!?」

 

刀は悟空の腕に掠めて悟空を10メートル程吹き飛ばした。

完全に意識の隙を突いて縮地で近づいて居合を放ったが……完全にでは無いが避けられたか。

 

「いって〜っ、やっぱおめえ強ぇな」

 

「どういう反射神経してやがる。……これならどうだ?」

 

今度は手数で攻める。

悟空に接近しながら連続で居合を放つ。

悟空は猿の様な身のこなしで回避しこちらに頭突きを放って来る。

 

それを避け刀の(つか)を腹に叩き込む。

悟空は吹き飛ばされるがすぐに復帰してこちらに接近し絶えず攻撃を喰らわせて来る。

 

刀や腕で悟空の攻撃をいなし蹴りを加えるが、避けられ顔面に反撃を貰う。

 

「ぐっ、………まいった降参だ」

 

「え?…………まだまだこれからだろ?」

 

悟空は当然の様に続けようとして来る。

 

「悪いが俺は別に戦う為に剣を振ってるわけじゃねぇ。ある目的の為に剣を極めてぇんだ。これ以上戦っても戦うのは上手くなりそうだが、俺の目的には関係ねぇ」

 

「へぇー、そうなんか」

 

「お前と戦えば何か目的の為のヒントになると思ったんだが………ん?」

 

 

 

 

 

ふと嫌な気配がして空を見上げると緑色の恐竜の様な怪物が空から俺を狙って振ってきていた。

 

「うぉッ!?」

 

怪物はそのまま地面に突き刺さり俺を睨む。

 

「見つけたぞ!ドラゴンボールを」

 

悟空がその姿を見て声を上げる。

 

「あーっ!おめぇこの前のやつの仲間か!?」

 

「お前のダチを殺したって奴か、見た事ない種族だな」

 

怪物は立ち上がり悟空を一瞥する。

 

「殺し?そういえばタンバリンの奴がガキを二人殺したって言ってたか。まぁいい。まずはそこの男を殺しドラゴンボールを奪うとするか」

 

そう言って怪物は俺の方に向き直る。

 

「空からお前らの戦いを見たが、腕に覚えがある様だな?俺の名はシンバル!ピッコロ大魔王様の配下にして、お前を地獄に送るものだ!」

 

どうやらドラゴンボールを狙ってここに現れたらしい。しかし肝心のドラゴンボールは悟空に渡す約束をしている。

しかしピッコロ大魔王か………たしか昔話に出て来る怪物だったか?

こいつと戦えば何かヒントが得られるかもしれない。

 

「俺ぁ、ヤジロベーただの剣士だ。覚えなくていい」

 

俺の名乗りと共にシンバルは手の爪を突き立てようと突っ込んで来る。俺はとりあえず相手の様子を伺い回避に専念しながら悟空に忠告する。

 

「おい悟空!こいつには手を出すなよ。手を出すならドラゴンボールはやらねぇぞ!」

 

「えぇっ!?……わかった!手を貸して欲しくなったら言えよ!」

 

悟空はドラゴンボールを引き合いに出され渋々引き下がった。

 

 

 

 

 

 

 

俺は回避しながらシンバルという緑色の怪物を観察する。スピードは先程手合わせした悟空程度、パワーはそれ以下だが、表皮はそれなりに硬いらしい。何度か刀を軽く当てたが軽くキズがつく程度だった。

 

俺の勘はこの怪物と戦えば何か目的の為のヒントを得られると言っている。

 

シンバルはこちらの刀を驚異と取らなかったらしいが、攻撃の悉くを回避されてイラついている。

 

「ぐっ!キサマァ!これならどうだ!?」

 

奴こちらに手を向けて手のひらから雷撃の様なものを放って来た。

いきなりの事で驚き回避が遅れ少し腕を焼かれた。

 

「………そう言う事か、確かにそれは斬った事が無かった」

 

俺は慎重に相手の雷撃を回避しながら観察する。

シンバルから放たれる電撃は確かに速いが、純粋な物理現象の雷という訳でも無いようだ。だから相手の掌から放たれた瞬間を見て回避は出来る。

 

おそらく奴の中のエネルギーの様な物を電撃の特性を付与して放っているのだろう。

 

武天老師という伝説の武人はてから生命エネルギーを放出する技。かめはめ波という物を使うらしい。おそらく原理としてはそれに近いと俺の勘が言っている。

 

「………とりあえずやってみるか」

 

精神を集中させこれから起こる現象を観察する。

相手がこちらに手を向け電撃を放つと同時に刀を抜き放った。

 

「ぐわーっ!?」

 

雷撃に刀に触れた時に切断できずに感電した。

 

「大丈夫か!?ヤジロベー!」

 

「……も、問題ない」

 

悟空に心配されてしまった。だが大体理解できた。

自分の中の生命エネルギーを使用すればおそらくあの技に干渉出来る。

俺は納刀し目を閉じて集中する。

 

「くっくっく、どうした?万事休すか?」

 

自分の中の生命エネルギーを感じ取り刀を抜く右手に集中させる。

刀に手を掛け柄を通じて刃に生命エネルギーを流し込む。

 

あとはいつも通りだ、対象を観察し、想定、最適な方法で刀を抜き放つだけだ。

 

「くらえっ!」

 

シンバルの動作を見る必要も無い。

ただタイミングに合わせ居合を抜き放ち……

 

 

雷撃は両断された。

 

 

「なんだと!?」

 

「今まで物ばっか斬ってたからなぁ、エネルギーってのを斬るのは初めてだぜ………」

 

俺は自分の修行が一歩前に進んだ事を噛み締めた。

 

 

 

 

 

 

「だが、それがどうした!?お前じゃあ俺を殺せねぇ!ここで死ねぇ!」

 

シンバルは激昂しこちらに向かって飛びかかって来るが………

 

 

もう相手の強度は観測済みだ。

俺の居合は問題なくシンバルを両断し殺害した。

 

 

 

「すげえ」

 

悟空は驚愕に目を見開く。

悟空が今まで出会った達人は無手での達人がほとんどだったが、剣を使う人間でこれ程強い奴は会った事が無かった。

 

「よし………修行に付き合って貰ったからな。弔ってやるか」

 

俺は地面に穴を掘り両断した怪物を埋めてやった。

 

 

 




超強化ヤジロベー
直感D
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。