飛行船から降りて来た怪物と対峙する。
何度か見た魔族とは桁違いの力を持った存在だと一目で分かる。
「オメェがクリリンを殺してドラゴンボールを奪った奴の親玉か!」
「その通りだ。私の配下を二人も倒した様だな」
「俺とそいつで一匹ずつ倒したさ、あんたはどうかな?」
目の前の怪物は俺と悟空を値踏みし笑い始めた。
「どうやらピッコロ大魔王の恐ろしさを知らぬ様だ。武道家は残らず皆殺しだ」
ピッコロ大魔王の言葉と共に悟空が飛び掛かり戦闘が始まった。
最初の方は悟空が少し優位に戦いを進め、ピッコロ大魔王が膝を付く場面もあったが、ピッコロ大魔王が本気を出した途端に形勢は逆転した。
パワーもスピードも悟空とピッコロ大魔王とでは大きな差がある様だ、どれだけ悟空が果敢に攻めようと、ピッコロ大魔王はそれを嘲笑うかの様に簡単にいなし、悟空を嬲るように攻撃を加えている。
俺はその様子を見てピッコロ大魔王を相手にした場合の検証を行う。自分と相手には圧倒的な力の差があり、今の俺の攻撃ではせいぜい裂傷を負わせる事しか出来ないだろう。
ピッコロ大魔王を切断する為には刀に生命エネルギーを込めるだけでは足りないのだろうと感じている。
悟空は最後の反撃の為にピッコロ大魔王から離れ独特の構えを取る。悟空の手のひらに大量の生命エネルギーが集まって圧縮されている。
「かーめーはーめー……波!」
悟空の手から放出されたエネルギー波は物凄い勢いでピッコロ大魔王に向かっていく。ピッコロ大魔王はそれを見ても避けずに正面から攻撃を受け入れた。
「クックック……今なにかしたかね?」
悟空のかめはめ波はピッコロ大魔王に少しも効いていない。悟空もそれを見て絶望の表情を浮かべている。
「今度はこちらの番だ………はぁぁぁあ!」
ピッコロ大魔王は両方の掌に先程の悟空とは比べ物にならない程のエネルギーを込め、2度に分けてエネルギー波を放った。
一度目は悟空が跳躍する事でなんとか回避する事が出来たが、二度目の攻撃は空中で身動きが取れずに直撃してしまった。
悟空は地面に落下し、意識を失っている。
正直生きているのかも怪しいだろう。
その悟空からピッコロ大魔王はドラゴンボールを奪い取った。
「さて………今度は貴様か?途中から乱入する気概すら無いとは……よほどこのピッコロ大魔王が怖いと見える」
「ああ、怖いね。実はあまり闘うのは好きじゃ無いんだ」
ピッコロ大魔王がこちらに向き直り余裕の表情を浮かべている。
おそらくかなり油断している、一撃ならば不意を突いて攻撃を喰らわせらせるだろう。
しかし深い傷を負わす事は出来ないだろう。先程の攻防で悟空のかめはめ波は全く効いていなかったのを見てそう確信している。
どうすれば相手を切断出来るか。
俺はいつもそれを考えて修行に励んでいる。
それは生物であろうが、物質だろうが同じ事だ。
…………方法は思い付いた。
それが成功するかは別としてやってみる価値はある。
ピッコロ大魔王を正面にして俺は腰の刀を掴み居合の構えを取る。
相手はそれを見ても驚異とは捉えず静観している。
掌から刀に生命エネルギーを流し込むだけでは足りない。
刀を身体の一部に、自分の体内と同じ様に生命エネルギーを操作する必要がある。
俺はありったけの生命エネルギーを掌に集め、刀に浸透する様にエネルギーを込めた。そこから更に切先のみにエネルギーを集め圧縮する。
先程の悟空のかめはめ波は生命エネルギーを圧縮する事で威力を高めるエネルギー波の攻撃であろうと推測出来た。
しかし圧縮したエネルギーでもピッコロ大魔王の持っている力に弾き返された為にダメージが無かったのだろう。
通常の圧縮では効果が無い、ならば圧縮したエネルギーを更に薄く展開して回転させればいい。
鞘の中で自分の生命エネルギーを操作する。
切断方法は想定出来た。
あとは居合を当てるだけだ。
精神を集中させ先程のピッコロ大魔王と悟空の戦闘を思い返し相手のスピード、行動を予測する。どうすればどの迎撃をしてくるのかを考え予測が完了した。
「さあ………来たまえ」
ピッコロ大魔王の挑発と共に俺は走り出す。
スピードを調整し先程の悟空のスピードより少し劣る程度の速度で真っ直ぐピッコロ大魔王の元に走る。
ピッコロ大魔王は迎撃の為に右腕での抜き手を放って来た。
しかしそれは先程の悟空との戦闘で見た。
調整していたスピードを自分の全力に変えて抜き手のタイミングをズラしピッコロ大魔王の懐に潜り込む。
潜り込んだ時点では多少驚きはした様だが、まだ余裕の表情のままだ。
俺は最速で居合を放つ。狙いは抜き手を放ったばかりの右腕。
定石通りに骨は狙わず、肘の関節を狙って腕を両断した。
「ぐわぁぁぁッ!?き、貴様ぁ!」
反撃に左腕で殴り掛かって来たが、俺には回避する余裕が無く喰らってしまい10メートル程吹き飛ばされた。
立ち上がりピッコロ大魔王の方を見ると切断された右腕にエネルギーを集め力を込めている。
「がぁぁぁぁぁぁぁッ!……はぁ、はぁ、はぁ」
両断された肘から先の手が再生し、元に戻ってしまった。
俺は先程の一撃で殆ど力を使い果たしてしまっていた。
これ以上の戦闘は出来そうに無い。万事休すかと思われたが、
「ぐっ、……………貴様は必ず殺す、覚えておけ」
ピッコロ大魔王はそう言い残すと自分が乗ってきた飛行船に帰って行った。どうやら先程の腕の再生でかなりの力を使った様だ。引き留めて殺されても仕方がないので俺はそれを黙って見送った。
新技
気円斬ブレード
刀に気円斬の様なものを展開する。
大抵の物は切れるが、力の差があり過ぎると効かない。