はい、遅れてすいません。
色々と学校生活が始まったりで、ゆっくり書く時間があんまり無くなったので、こんな事になってます。
因みに今回の回は結構、上条さんオマージュ入ってますんで、是非是非。そして、次回は日常回を2話ぐらいやって、キュアアルカナシャドウ襲来とウサノワール回やります。
幻想殺し。
名前だけを汲み取れば花丸皆勤賞だが、いかんせん名前の由来が分からない。
何故、拒絶と呼ばれた力に殺すが付くのか、更には願いを幻想と呼ぶのなら、この力は人々の願いを殺すとなる。名前のセンスは光るが、悪趣味な名前だと感じる。
___まぁ、名前の由来は色々あるんだが、俺にはどうにもこの名前がしっくり来る。
名前を考えて貰っただけ、感謝は必須だ。心を汲み取る目の前の白い人に、自らが感謝を思うと、何処か気恥ずかしいのか頬を掻く。
名前は決まった。幻想殺し、由来は不明だが厨二心をくすぐる名前に変わりなく、今後は感謝の右腕、名を幻想殺しと改め、俺は次にする事を思考する。
だが、既にする事は定まっており、それは現世への復帰。言い得て妙だが、どうにも俺は自らが終わる気配は感じられず、白い人は両手を上げ、降参の意を示す。
___そうだよ、お前はまだ完全には死んで無い。俺が、お前の魂を必死にこの世界に繋ぎ止めてる。いつでも復活は出来るぜ?
嬉しい情報だ。
まだ、俺にチャンスがあるのなら蘇る事に抵抗など無い。死の瞬間に、何も出来ず、壁にしかなれなかった己の不甲斐なさを、変える千載一遇の機会。
もう、何も出来ない男はこの場所にいない。力の使い方を知った、力の与えられた意味を知った。
俺の右腕は、願いの結晶だ。それは、まことジュエルとるるかが呼ぶ物と通ずる物がある。
だからこそ、自らが間違った歩みを進めば、この右腕はまた力を失う事になってしまう。人々が願った救われて欲しいという願いを俺は忘れてはいけない。
___止まる気はねぇか。
当たり前だ。まだ死なないのなら立ち上がる事が出来る、立ち上がる事が出来るのなら折れる訳にはいかない。
助けたい物が多過ぎて、自らの手に収める事が出来なかった自らの命も、他人の命も、全部を俺は救いたい。
___強情なこった。だが、別に止めはしない。
誰かの為に強くあろうとする存在を、目の前の白い人は、直感だが止める気は無いのだと感じた。
誰かは分からない、何かの思念体かはたまた魂の行く末を決める閻魔大王か、連なる名は恐ろしいが、どの名も目の前の存在には当てはまらない。
言い換えるのなら、こいつは俺の様な気がする。
死を経ての初邂逅を果たした白い人。こいつは酷く現実主義者で、超人的な物や存在を鵜呑みにせず、奇跡すらも妄想の戯言と片付けるような人物。
だが、自らが力及ばない理不尽に、こいつは爪を立てて抗う筈だ。
その人物がどうこうの話じゃ無い。記憶よりも更に深い場所、言い換えるのなら魂がこいつと俺を同一だと知らせる。
出会いなんてもんは存在しないが、こいつは『俺が知る前から』俺の中に宿っていた。
___とりあえず、基準点を目印にお前の体を造り直す。なんせ、この世界じゃお前が生きた記録は基準点…幻想殺し、しか覚えてねぇ。
体の製造。非現実的なその行為にすら驚愕を覚える事は無くなった自らの精神力の成長に脱帽しながら、自らが生き返る算段を整える。
まず第一に見誤っていけない事は、幻想殺しはあくまで『付属物』に過ぎず、己の身から幻想殺しが離れれば、俺はまた今回と同じ道を辿る。
今回は偶然の産物か、白い人との邂逅が自らの死を留め、チャンスを与えてくれたが、そう簡単に再び生き返る事は出来ない筈だ。
___概ね間違ってねぇが、一つだけ教えなきゃいけない事がある。
伝えたい、事?
___事象を拒絶する力でも、拒絶できねぇもんがある。例えば、超人的に生み出された存在が放つ物、生み出した物は拒絶できるが、存在する事象は拒絶できねぇ。
___例えばコンクリートとか、石とか、丸太とか、実存の物で作られたもんとか、実存が混入する物は拒絶できない。
要するに、俺が対峙したツバメを模した化け物が繰り出す攻撃や、生み出した物は拒絶できても、ひとえに存在する物…言い表せば、物理攻撃は拒絶する事が出来ない。
万能の力と呼ばれても、自らの力の制御に本来の力を失ったと思えば、若干の罪悪感を胸に抱くが、変えられ無いのなら仕方が無い。
だが、己の身の丈に合わない強力な力である事に依然として変わり無い。
___色々言ったが、お前なら上手く扱えるだろ。
最後の投げやりな言葉に、妙な緊張は薄れ、どこか張り詰めた雰囲気は消えた。
それを飲み込む様に、白い人は球体となった俺へと優しく触れ、一気に何かを流し込む。
力の源は不明だが、はっきりと今流れてるこの力が己の肉体を形作っていた血液、肉体、臓器、細胞の一つ一つだと知らせ、怖いほどに体はこの力を受け入れる。
未だに球体の事は変わらず、だが、遠い所で俺と深い繋がりを感じる『器』が作られ、引っ張れる様に俺の体は宙を浮かぶ。
___精々、頑張れよ。あんまり早く死なれちゃこっちも困るぜ。
最後の最後まで癪に障る言葉を並べる存在だが、俺を現世に留め、力を覚えさせてくれた事には、感謝の言葉じゃ足りない。
___そんな事思わなくたって、俺はお前の歩みと共に生きるしか快楽は覚えられねぇ、んだから、精々長生きしろよ。
___⬛︎。
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消えた世界で、奴が器へと入り込んだその刹那、『俺達』の存在は再び奴の体の中へと戻った。
本来はあるべき場所に戻ったのだ、なんせ奴の中に潜むのは俺以外に複数とおり、個々が神に匹敵するか、稀に神の想定すらも超える存在が奴の中を蠢き、あれよあれよと奴へとしがみつく。
俺は言ってしまえば、幻想殺しと同等の力の制御を担う存在であり、自らの力と蠢く奴らを『更に強い俺の力』で蓋をしている状態。
ましてや、これ程の力を幻想殺しが宿る前から自力で制御するのは不可能で、最悪の場合、自らの力で命を落とす場合もある『歩くタイマー付きの時限爆弾』を、奴は体に抱えている。
___全く、とんだ厄介もんだな。
力の種類は様々で、様々な概念を持ち、複数の能力を携える竜。力の源は不明で、見えないが、神をも浄化する透明な何かと、上げればキリがない。
『宿主を失い』生前の宿主と同じ、魂の輝きを持つ奴に宿るのは自由だが、前の宿主と違い、奴は自らで力を制御する特別な力は無い。
俺達はあくまで奴に宿る厄介者。厄介者は厄介者らしく大人しくするのが義務。
___とっとと帰んな、お前にやるもんは何一つねぇ。
軽くあしらう様に手を振れば、意外にも大人しく引く厄介者達。その礼儀深さを普通に行えれば喜ばしい限りだが、生憎とそうもいかない。
未熟者の半端者だが、奴の覚悟と成長には微力ながら逆立ちをするし、仮に奴が力を望むのなら、『自らの身を捨てる』覚悟がある奴には惜しみなく力を貸す。
___そうなってほしく無いのが、願いだ。
『奴と共に生きた』身からすれば、森亜るるか、帆羽くれあとの出会いは自らの野望すらも変えてしまった。
今までなら、厄介者と同じ奴の体を乗っ取る算段を地道に積み重ね、奴の器を我が物としていただろうに、本当に恐ろしい奴らだ。
そして、奴は今、全くの無縁の存在『明智あんな』へと手を伸ばそうとしている。
奴の手は、多くを救えないのを知っている。だが、その手を支えられる事は出来る。
___頑張れよ、『俺』。
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「……馬鹿、さみぃ!?」
目を開ければ、鉄製の硬い地面に大の字で倒れていた俺は、自らの格好が全裸である事を除けば、至って普通の目覚めである筈だが、肌を刺す様な鋭い痛みに飛び上がる様に起き上がった俺は、周囲の状況を確認し、絶望する。
周囲には、緑の布が掛けられた膨らみが数十個も鉄台に並べられ、高級感溢れる鉄の棚には、医薬品が綺麗に鎮座され、部屋の中には冷気と思われる煙が立ち上る。
これは、俗に言う死体とかを冷凍保存する部屋で、俺の体は右腕を基準点に作られたのなら、今の状況に説明がつく。
「ど、どど、どうやってここから出ろってんだ!?」
素っ裸で冷凍室に放り込まれた人間の活動時間は定かでは無いが、服を着ていての前提が崩れている想定は信頼ならず、もっと深刻な状況など言葉で説明しなくとも理解出来る。
が、現在の俺は猿よりも非力で無様なもの。道具に頼らなくては何も出来ない能無しに等しい、実際そうであるが。
幾ら自らの力を自覚しても、鉄の扉をぶち破る凄まじい筋力は俺には存在しない、特別を持ってしても、己は平凡という事を理解しなくてはならない。
「畜生、こっから行くなら窓…か?」
僅かに灯る空の光に導かれ、人一人は出入りが可能な窓を発見し、駆け出して駆け寄る俺は、窓を開け放ち、身を軽く窓から出す。
が、窓辺の外は海が見える美しい場所で、観光ならば一時の思い出になる事間違い無しだが、下へと視線を向ければ、その気は消え失せる。
「…無理だろ。いやいや、流石にな?」
落ちれば、無事では済まない事は確実で、骨折なんて生優しい高所の恐怖が、俺の精神を削り、脱出の光明を静かに塞ぐ。
___凍死か落下死。
考える死因は二つで、死ぬ事以外でこの場所を切り抜ける方法はゼロに等しいが、欠点がある。
第一に凍死は、低体温症で死に至るまで結構な時間を使い、更に死後、誰かに発見される時間を危惧すれば、俺が復帰するのは少なくとも数時間、あるいは数日、最悪の場合は数ヶ月、数年もありえる。
転落の場合、即死が可能で、すぐさま復帰は出来るだろうが、欠点があるのなら、周囲の目がある事で、全裸の男の死体が血塗れになって立ち上がれば混乱を招く事は確実。
___一つに二つ。
選ぶのなら、転落一択。
復帰早々死ぬのはやるせ無い気持ちはあるが、背に腹は代えられない状況下で、躊躇う必要は無い。
「…アイキャン、フライ!」
一息置き、全ての余韻を払い除け、窓から身を取り出した俺は、頭上から真っ逆様に地面へと落下していく。
高所の落下は最初の頃を思い出し、凄まじい風の抵抗が今は懐かしく、目も乾くこの感覚も全てが懐かしくて、『生きている』と実感する。
不謹慎な事に変わりは無いが、いつだって始まりはこうで無くちゃならない。
死ぬのは御免だ、けど知ってる奴が死ぬのはもっと嫌だから、戦うのだ。
着実に迫る硬い地面。助かる可能性はゼロで、即死は逃れられないが、死ぬ恐怖に大胆不敵と悪い笑みを浮かべる俺はゆっくりと瞼を閉じ、迫る死を受け入れようとした刹那、柔らかい感触が俺の身を包む。
「おっぶ!?」
突然の出来事に覚悟と恐怖は吹き飛び、慌てて己の身を包む柔らかな感触を手探りで確認する。
クッションやトランポリンとは桁違いの弾力に、目が痛くなる程のピンク色の柔らかい物体は、物体と呼ぶには生命感溢れる物で、人肌の様な暖かさが俺に疑問を植え付ける。
更に触り、最後に力強くこの弾力を鷲掴みにすれば、ポチ!っと可愛らしい声が響き、見る見るうちにピンク色の物体は萎み始め、その姿を表す。
「……ポチ野郎!?」
「ポチ!ポチ!」
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「ぽ、ポチタンがいない!?ど、何処行ったんだよ!」
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文明の力、衣を身に纏い全裸から解放された喜びを噛み締める俺は、頭上でアホ毛を弄るポチさん。否、ポチ野郎へと感謝の言葉を投げる。
色々と物申したい事はあるが、第一にこいつの力が無ければ、死の許容もその先の事も難航する筈だった故に、感謝の言葉は忘れてはいけない。
事の顛末を話すと、突然と現れたポチ野郎が体全身を使い、何かを伝えようとする所から始まり、俺は明智ちゃんの様に妖精の一挙手一投足から情報を得る事は不可能な為、首を傾げる。
涙目で訴えるポチ野郎を前に常人は、慈悲の念を浮かべるが、こっちは素っ裸で外に放り出されている状態で正常な判断が出来る訳も無く、無理難題でポチ野郎に衣服の調達を叫んだ。
___まじか。
叫びを聞いたポチ野郎は踏ん張る姿勢を見せると、体から男物の服を『虚空から取り出し』驚愕の声を心で呟く。
お供妖精はお供妖精でも、これ程に便利な奴は存在せず、未だにアホ毛を弄るポチ野郎の首根っこを掴み、その顔を見つめる。
「………ポチ?」
「だぁ!…クソ、今はとやかく言うのは後だ。とりあえず、明智ちゃんの所にいかねぇと。」
純粋無垢な表情に良心がやられ、今一度ポチ野郎を頭に乗せる俺は、全速で明智ちゃん達の元へと急ぐ。
主人公の様に、奇跡的な巡り合わせの機会を強く望むが、『幸運』とは程遠い人生を歩み続けた俺に、幸運は微塵も期待していない。
目印や合図も存在しない状況下で、信じられるのは自らの歩みのみで、復活し、生の余韻を振り切ってでも歩みを止められない訳は数えられない程にある。
救いたいと願った少女がいる。救われるべき少女達がいるから俺は意地が悪くとも進み続ける。
何度も言うが、力の根底を理解し、自らの力を思い出そうと、俺自身の力は何処まで行っても常人と大差は無い。
盤面を覆す頭脳も、行きたいと願った場所に行く事も、超人的な身体能力も俺には存在せず、主人公補正なんて言葉は現に飾りに過ぎない。
けど、信念が凡人を今だけは、運命へと争う『挑戦者』へと至らしめる。
「……諦められねぇよ。」
頑固たる諦めの悪さが、臆病者の体に鞭を打って、必死に稼働させる。
弱い事に依然変わり無く、今一度判断を見誤れば再び俺は命を落とし、今度は永久の別れをこの世界に告げなくてはならなくなる。
だが、『それがどうした』何もかもを中途半端で終わるくらいなら、死の瞬間、自らの命の炎が消えるその時まで、全身全霊で世の理不尽に抗ってやる。
___手足が無くなっても、必死に全部でしぶとく生きてやる。
走る、走る走る走る走る走る。覚悟が、疲労に溺れ、鉛の様な重い体に熱を注ぎ、止める事をしないでくれる。
病人は大人しくしているという前提を破綻させ、一度死に体となった体を無理矢理に動かすリスクは計り知れないが、絶対に止まらない。
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攻守一体の攻防を私とみくる、ハンニンダーは繰り広げている。
無事にみくると合流を果たし、プリキュアへと変身を遂げた私とみくるは、立ち塞がる強敵なハンニンダーを前に、初戦とは考えられない程に動きを合わせ、ハンニンダーを翻弄する。
みくるの長所であるバリアを駆使し、空中を飛び回るハンニンダーに攻撃の一手を喰らわせ、私もプラキットを用いて、ハンニンダーを攻撃する。
前回とは違い、防戦一方の状況を回避し、徹底的に攻めの姿勢を崩さない私とみくる。でも、ハンニンダーを生み出すか怪盗団ファントムの一員ニジーも一筋縄では行かない。
「…随分と威勢は良いが、こちらも華やかなフィナーレを飾ろうじゃ無いか!」
ニジーは辺りに響く程の指を鳴らし、私とみくるは突如として攻撃を止め、上空へと飛び去るハンニンダーを見る。
瞬間、二体のハンニンダーは融合を果たし、一つになる。連携攻撃の苦戦は消え、私は思わず油断を隅に置くが、一つになったハンニンダーが弱点を見せる事は無い。
目を離せば、瞬く間に私とみくるを吹き飛ばし、翼から発生する風で周囲の海は見違える程に荒れ、私とみくるは凄まじいハンニンダーの機動性に驚愕を示すが、これだけでは無い。
更に、飛び回るハンニンダーの周囲には暗黒の光が無数に現れ、ニジーが指示を出せば、私とみくるが反応出来ない速度で光線を出すハンニンダー。
みくるのバリアすらも間に合わず、一斉に光線を浴び続ける私とみくるは、その体を砂に沈め、悠々と空ではハンニンダーが飛び回り、ニジーはそれを嘲笑う。
「…ははは!見ろ、この空の天候は、まるで君達を表している様だ!」
太陽が顔を出さない澱んだ曇り空を見上げる様に倒れ伏す私達に、ニジーの言葉は胸を抉る様に響き、私の目元には自然と涙が溜まって、両腕で顔を覆う。
そして、みくるの側で、私は言葉を落とす。
「…私ね、傘を届けようとしたんだ。」
「……え?」
分かってる、今じゃ無いって事ぐらい自分でも分かる。でも、今じゃ無いと逃してしまうと思った。
「でもね…その時、見たんだ。みくるが友達と楽しそうに話すのを…そしたら、また思い出したんだ、私はこの時代で、この世界で一人ぼっちなんだって。」
「…ユウトさんのお陰で、みくるをジェット先輩をもっと信用できる様になったんだ。…でも、私の弱さが、ユウトさんを死なせて、みくるにも迷惑を掛けて……ごめんね。」
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「……そう、だよね。…ごめんね、あんな。」
当たり前だ。同世代の私でも、この子は生きてる時代、世界が違うのだ。寂しさと孤独が一時は彼女の心を閉ざし、深い闇を彼女の心に掛けていた。
それを、ユウトと名乗る人物が優しくだが僅かに解き、彼女が今一度私達に向き合う機会を与えてくれた。
それを、私は台無しにした。命を捨てる覚悟で、私達を救ったあの人は私よりも懸命にあんなを理解して、寄り添う努力を重ねていた筈だ。
私にも生活はあるが、それ以上にあんなは私の大切な友達で、大切な相棒。
あんなは、私に向き合った。そして、今は私があんなから逃げる様に遠ざかった。今、私は全てが過去のあんなと同じで、私こそが謝らないといけない。
「…私の方が、逃げてたんだ。あんなには、ユウトさんが…あの人が居るから、私は要らないんだって勝手に一人で判断して、ごめんね…ごめんなさい。」
心の隅で、私はユウトさんがあんなの心を埋めてくれる物だと勝手に思っていた。
全然違う、あの人はそれをきっと望んでいなかった。それは、ただの強い依存で、あの人が求める理想とは掛け離れている。あの人は一人であんなが笑える道を示したのだ。
それに、私は強く嫉妬を覚えたのだ。私がどれ程の時間を掛けようと、心を開かなかったあの子の心を解いたあの人に、強い嫉妬を覚えて、自然とあんなはユウトさんが何とかしてくれるなんて、独りよがりな考えが浮かんでいた。
___この場で悪いのは、あんなでは無く、私だ。
あんなは変わる為に動いて、私はその意図を汲み取らず、あんなに辛い思いと、選択を強いた。
そして、そのいざこざに、あの人は巻き込まれて、死んでしまった。償え無い罪の重さに、私は涙で顔を濡らし、嗚咽を漏らす。
そんな私を、あんなは手を握って、笑い掛けてくれる。
「…ミス、ティック。」
お互い酷い姿で、怪我だらけのその体には似つかない、眩しい笑顔をあんなは浮かべる。
前までに見た『暗い瞳』はそこには無く、私を射抜くのは『まことの輝き』を眩し過ぎる程の瞳。
「…さぁ、時間だ!ハンニンダー!忌々しいプリキュアに、苦痛の贈り物を!」
ハンニンダーは、これまでの比にならない程の高出力の光線を私達の前で貯め、その半端ではない威力を前に、私とあんなは、お互いの存在を確かめる様に強く、その手を握り締める。
奇跡なんて、起こるか分からない。でも、幾度と無く困難を切り抜けた私達は、奇跡の中で戦い続けた。出会いも、プリキュアとなった事も、全部が奇跡の連続で、私は、強く奇跡を願う。
___今だけは、私達に奇跡を。
瞬間、凄まじい轟音と、熱を帯びた高威力の光線が、無防備な私達へと迫る。
立ち上がる事も出来ない、ただ双方が強く手を握り続ける、死を迎える最期の人間の行動にも思えるささやかな行動。そして、強く願った奇跡は、本来はこの場にいる筈の無い少年を戦場へと手繰り寄せる。
硝子細工が割れる様な甲高い音が、私達の耳に響き、僅かな動きで視線だけを前に映す私は、その光景を見た。
信じられないと、言った方が正しいだろうか。人の理が通用しない文字通り異次元な戦いに不釣り合いな、黒髪の短髪に黒のズボンと、白のワイシャツに身を包む少年。
更に、頭に乗っかるのは、あんなのお供妖精ポチタン。戦いの場には恐ろしく不釣り合いな二人組だが、利害は一致している。
妖精は、『彼女達』を、少年は『同じ境遇の少女』を『助ける』この信念が、今二人が戦場に立つ理由で、形はどうであれ、二人の介入は、文字通り奇跡の様な物。
「……ポチ!」
少年の頭で、存在感を示す様に可愛らしく手を振るポチタン。そして、頭にポチタンを乗せる少年は、ゆっくりと彼女達へと振り向く。
「……あぁ。」
その声は、明智あんなから出た物だ。それもその筈だ、本来はこの場にいる筈の無い人で、私の弱さが死なせ、私に出会った人達の大切さを教えて、立ち上がる事を教えてくれた人。
そして、隣で一緒に歩いてくれると言ってくれた二度と出会えないと思った『特別な人』は今、この地に足を着いている。
その事実が、あんなの心を優しく包み、再びあんなに立ち上がる理由を与えてくれる。
「そう簡単に俺がくたばるもんかよ。……助けに来たぜ、お前ら!」
右腕を掲げ、そう宣言する少年は今、この場で凡人のベールを脱ぎ去り、奇跡を手繰り寄せる
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男なんて生き物は、格好付けな生き物なんだ。俺は最弱で、この場で息をすれば掻き消される様な弱者。にも関わらず、俺は再びこの場に舞い戻ってきた。
頭に乗っかるポチ野郎は、瞬時に二人の元へと駆け寄り、俺も倒れる二人へと駆け寄る。
「…ったく、怪我が絶えねぇな、お前ら?」
「いや、いやいや!そんな事より、どうして…死んだんじゃ、無かったんですか。」
「んにゃ、普通に死んだ。あの場で死んで無い嘘はつけねぇし、そんな事で乙女の純情を踏み潰す駆逐野郎になるつもりはない。」
驚愕を前に、目の前のピンク色の少女、予測だが小林みくるは死人を見る様な目で、未だに俺を見つめる。
それはそうだ、俺は彼女達の目の前で命を落とした。衝動的な行動と言え、彼女達の前で残酷な場面を見せつけた当事者からすれば、みくるちゃんの瞳に宿る『罪の光』が俺の良心を抉る。
「…まぁ、一旦は全部終わってから話すとし……で!?」
「ユウトさん!」
みくるちゃんから視線を離した刹那、視界の隅から爆発的な速度で俺に飛び付く紫の物体が現れ、あまりの威力に俺は転がる様に吹き飛び、胸の中に飛び込んだ紫の少女を抱き止める。
「あ、あん、あんあん、あんなちゃん!?」
「良かったよ…い、生きてる。生きてるよね、ユウトさん。ユウト、さん。」
好みドンピシャの年下の異性に抱き付かれるご褒美を受けながら、俺の胸の中で涙を流し、存在を確定させる様に俺の名を何度も呟くあんなちゃんに、再び罪の意識が湧き上がってくる。
こんな俺の為に、彼女は泣いてくれるのだ。否、優しいからこそ、誰の命でもあんなちゃんも、みくるちゃんも涙を流せる。
度が過ぎた優しさが、二人を苦しめているのだ。この優しさは美徳で、尊ばれる物だ。でも『神様』は『運命』は、その美徳すらも容易に踏み躙り、彼女達に絶望を運ぶ時もある。
神々の気まぐれはなんとも恐ろしい物で、彼女達に罪は無い。ただ巡り合わせが悪かっただけだ。
「…とりあえず、生きてる。ちゃんとここにいるし、呼吸もしてる。つか、君との約束も全然果たせないで死ぬのは、真っ平ごめんだ。」
「…やく、そく?」
「言ったろ?…君が幸せになるまで、『ずっと』隣に居るって。俺は、君を絶対に置いて死なないし、君の笑顔を隣で見ていたい。」
「相棒の座は無いし、先輩の座も無いけどさ。君の近くで俺は、君の笑顔を見たいし、君の力になりたい。…だから、君の近くで君が幸せになった場所に俺を置いていて欲しい。」
「多分…それが、俺に出来る唯一の償いだと思うからさ。」
彼女の肩を優しく掴み、腕の中から彼女を解放する俺は、あんなちゃんの頬を流れる涙を、指で優しく拭ってあげる。
俺は、彼女の特別にはなれてるとは思っていない。でも、彼女の近くで、一緒に彼女の幸せを感じ、笑顔を見せる事が、俺なりに彼女へと返せる物だ。
一緒にいると約束しながら、目の前で命を投げ捨てる様な暴挙を取った俺には、これぐらいしか償い方を知らない。
「…じゃあ、これが終わったら全部話してもらうから。どうして生きてるのか、何もかも、全部。」
「全部って、どんぐらいだ?」
「全部は、全部。…だって、『ずっと』一緒に居てくれるなら、私だってユウトさんの事、全部知りたい。」
「……分かったよ。でも、今は目の前に集中だ。」
俺の目の前には、怒り心頭といった様子の美青年が、黒手袋を着用する拳を強く握り締め、憎悪を宿す鋭い視線で俺を射抜く。
相手の狙いは、今この場で俺へと変わった筈だ。美青年の目的が何にしろ、彼女達を仕留める事が優先事項で、後一歩の所で邪魔に入った俺を危険分子と彼は判断した。
「…二人とも、あのバケモンの事は任せる。俺は、あいつをぶん殴ってくる。」
「だ、駄目ですよ!第一に、貴方はプリキュアでも何でもないただの一般人で。」
「無策で挑む馬鹿がどこにいんだよ。無力で戻った所で、同じ二の舞になるだけだよ。任せろって、もう簡単には死なない。」
「……分かった。任せるよ、ユウトさん。」
「…アンサー!」
「ミスティック。…ユウトさんを、信じて。」
随分と、あんなちゃんは俺を信用してくれている。その事実が、俺の闘争心を掻き立て、敗北の二文字を選択肢から除外してくれる。
背に向けられる不安の感情は、みくるちゃんが一般人である俺を戦闘に参加させる事を危惧する物で、それが正しい。
でも、負けるつもりは微塵もない。
「…ポチ野郎、二人の事は任せた。それと二人とも、俺は、お前らなら奇跡を起こせるって信じてる。だから、期待させてくれよ、名探偵。」
背に刺さる不安の芽は消え、彼女達は強く互いの手を握り締め、その手に重なる様にポチ野郎が乗っかり、眩い光を放つ。
それを見れば、俺もやるべき事を果たさなくてはなら無い。固く、強く右拳を握りしめる俺は、歩み寄る様に怪盗衣装に身を包む美青年へと迫る。
「さぁ、こっからは男と男の喧嘩と行こうぜ。言っとくが、俺を殺した罪は重いぜ、グリーンナルシスト。」
「ははは!本当に、初対面ながら、ここまで人間に憎悪を抱いたのはプリキュアを除いてキミだけだ!…あぁ、腹立たしい、本当に!」
最初に仕掛けたのは、相手の方だ。長いローブから、数枚のトランプを取り出し、渾身の力を込め、トランプを飛ばす。
刹那、飛ばされたトランプは煙を上げながら肥大化し、俺の背丈と同等の巨大なトランプ、言い換えるのなら『トランプ刃』が無数に俺目掛け飛んでくる。
回避は不可能。避けた所で、追撃が来れば俺は瞬時に切断されるか、刃が地面に突き刺さる衝撃で、身動きが封じられるかのどちらか。
無数のトランプ刃は城壁の様に俺に迫る。だが、今の俺はもう違う。城壁の様にも思えるトランプ刃達目掛け、俺は右手を突き出す。
甲高い音と共に、トランプ刃はその形を元の手の平サイズへと戻し、城壁の一部は人一人が容易に通れる隙間が生まれ、俺は無傷でトランプ刃の城壁を切り抜ける。
美青年の顔は、見る見るうちに驚愕に染まるが、瞬時に奴の顔は不気味な笑みへと変わる。
「へい、ベイビー。戦いの場で油断は命取りだ!」
そう言う美青年の声に、突然と走った死の予感が、俺の全身に危険信号を鳴らす。
幾ら特別な右手を持とうと、逆に言えばそれだけで、物理攻撃で攻められれば成す術もなく倒され、膨大な質量や数で押されれば必ず、拒絶にも限界は来る。
故に、俺の行動は
美青年は、予想を上回る不気味な少年の行動に驚愕の色を顔に表すが、瞬時にその表情は愚か者を見下す悪党のモノへと変わる。
自殺行為にも思える突拍子の無い奇行。目前まで迫る死を背に受け、守りの姿勢を固めず、己の命を賭けてでも倒す覚悟。
だが、少年の脚力の前にトランプ刃が迫る速度の方が大きく上回り、着実に少年の無防備な背へと残酷な死が一気に迫る。
ある怪盗は自らの勝利を確信し、ある少年は自分と自らの仲間を信じ、走り出す足を止めない。
その時、少年の背に迫るトランプ刃が一斉に介入した何者かの妨害で撃ち落とされ、俺は笑みを溢す。
誰の妨害か、それは聞くまでも無く彼女の物で、この世界で俺が唯一命を預けられる大切な人だ。
___神様、あんたがもし存在するんなら、こんな理不尽をあんたが許容するんなら。
美青年との距離は殆どゼロに等しく、ここまで来れば、俺の土俵だ。
美青年は最後の抵抗か、小細工無しの己の拳を握り締め、その拳は俺の腹部へと弧を描く様に迫るが、既に勝敗は確定している。
___それが、本当に正しいって思ってんなら。
世界がスローになり、俺の拳と美青年の拳だけが動く映画の様な世界で、互いの拳が双方へと迫る。
が、先に俺の拳が美青年の横面にありったけの力を込めた拳をめり込ませる。
その時、怪盗の少年の目に映ったのは身に覚えのない少年の姿だ。
ツンツン黒髪の少年、顔も姿も大きく異なる少年。だが、直感的にこの少年が目の前に立ち塞がる少年と同じ魂の輝きを持つ人物だと知らせる。
同じく武力の無い弱者の両者。が、絶対に勝てないと思わせるその姿は、まるで希望を体現している様に見えて、心の何処かで怪盗の少年は自らの敗北を悟る。
「…まずは、その幻想をぶち殺す!」
刹那、怪盗少年の体は遥か後方へと殴り飛ばされた。
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「…消えた?」
殴り飛ばされた美青年へと駆け寄る俺は、突然と奴の体から緑煙が立ち上り、煙が晴れれば少年の姿は何処にも無かった。
殴り飛ばした右拳には嫌な感触が残り、自らが生まれて初めて武力に頼った事を噛み締める。
だが、救えた物は確かにあった。
「…ユウトさん!」
思いに耽る俺の耳に響いたのは、元気溌剌な彼女の声。
初対面の時の探る様な声は形を顰め、今は年相応の声へと変わった事に安堵を覚えると同時に、何処か違和感を覚える。
___なんか、熱っぽくない?
「あんなちゃん?」
「…どうしました?」
「い、いや何でもない。…てか、こうやってヒロインが主人公を出迎える展開は、決まって名シーンとなる…まるで、あんなちゃんは俺のヒロインかなって、冗談を言ってみたり。」
「私は、ユウトさんのヒロイン…ですか?」
「ん?」
「…嬉しいです。」
___あれぇ?
何処か湿っぽく、甘酸っぱい雰囲気があんなちゃんから漂う。それと同時に、鋭い絶対零度の空気がひしひしと周囲に伝わる。
「…ちょっと待ってくれ、あんなちゃん?いや、明智ちゃん。」
「……あんなじゃ、無いんですか?」
「あんなちゃん。」
ずるい、何て恐ろしい子だ。目を顕せ、庇護欲を唆る上目遣いに反感する事は不可能。
この空気が続けば、俺の命は危うい。それならばと、助けを求めようとみくるちゃんと、遅れながら現れたジェットへと視線を向ける。
が、みくるちゃんは首を横に振り、ジェットは心底呆れた様な表情で俺を見つめ、自らの終わりを悟る。因みに、ポチ野郎は呑気に空中で踊っている。
「あんなちゃん?じょ、冗談でもそんな事は言っちゃいけないよ?…ほら、男はケダモノって言うじゃん。」
「…ケダモノ?」
「畜生!何でここでは天然なんだよ!…可愛いかよ、畜生!」
恐ろしく情緒が安定しない危機的状況の中で、あんなちゃんの背に映る森亜るるか。
彼女が邪気を纏った怒りある気配を全身から溢れ出させ、彼女の手にはロッドが握られ、同時に生殺与奪の権も握られる。
「…それよりも、ユウトさん。あの言葉、嘘じゃ無いんですよね?」
「あ、あの言葉?…俺なんか言ったかな。いやいや、そんな事よりもだろ。」
「あの〜、ユウトさん?」
「ごめん、あんなちゃん!此処は一旦帰らせてくれ、俺の命の危機なんだよ〜!」
水を前にした猫の様に、凄まじい勢いでこの場から駆け出した俺は、出来うる限りの最高速度でるるかの魔の手から逃れる。
蘇って、助けて、感謝の余韻に浸りたいが、彼女はそれどころでは無い。
再び始まった命を賭けた鬼ごっこ。
最後まで締まらない少年は、夕陽の街へと駆けるその姿を、一人の少女は永遠に見つめていた。
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「…嵐、みたいな人ね。」
「そうだな。…折角、僕が神妙な気持ちになったってのに、あいつは何一つ変わってないな。」
「でも、ユウトさんは生きてる。ちゃんと、生きてたんだ。」
走り去るあの人の背を見続ける私へと、ジェット先輩とみくるは歩み寄ってくる。
本当に、変わった人だ。私達が、あの人の死を悲しみ、罪悪感に胸を締め付けられる中で、平然と私達の前に現れて、様々な私達の葛藤や苦難を簡単に吹き飛ばしてくれる人間性。
稀に、不快と思う人はいるだろうが、私はあの人が生きて、あの口から飛ぶ軽口と、一番欲しくて、一番優しい言葉を投げてくれるあの人を嫌いになる訳が無い。
感極まって胸に飛び込んだあの光景を思い出す度、胸がうるさいぐらいに高鳴り、あの人がくれた言葉の数々と宣言に、あの人が欲しくて堪らなくなる。
愛しくて、光をくれるあの人を想えば、どうして私は胸がうるさくて、顔が凄いぐらいに熱くなるのだろう。
「…あ、そっか。」
理解した。
理解してしまった。あの人の生き方が、あの人の言葉が、あの人の優しさが
「…私、ユウトさんの事…好きなんだ。」
「「……え?」」
「……あ。」
心に収まらず、思わず喉から声が溢れた私の言葉に、ジェット先輩とみくるは大きく目を見開き、その瞬間、二人の大きな声が海場へと響き、一斉に木々に止まる鳥達は、羽ばたいて行った。
「ポチ?」
因みに、誤字脱字や漢字の指摘は我ながら初めてチャッピーに頼りました。んで、そこにちょちょっと手を加えて投稿しました。
これって、一応AI使用って事になるのかな?
最後に、どうして、ポチタンはジェット先輩の所を離れて、ユウトの所にいたのかな?