日本国召喚二次創作 オルビスの旗、異世界にて翻る 作:仮称5419号艦
三大文明圏と呼ばれる地から東に広がる大東洋。この海域の文明圏から程近い場所に一つの島が浮かんでいる。その島の名はロデニウス大陸。本来ならば大陸と呼ぶには小さく、島と呼ぶには大きいというなんとも言えない土地であるが、慣習的に「大陸」と呼ばれているという。
この大陸には現在、3つの国が存在している。北東地域には肥沃な土地に広大な穀倉地帯を抱える農業国家の『クワ・トイネ公国』、南東地域には砂漠が広がり作物こそ育たないものの岩山が天然の防塁となり難攻不落として知られる『クイラ王国』、西部地域には人間至上主義を掲げ、他の国を飲み込みロデニウス大陸統一を目論む『ロウリア王国』。
クワ・トイネ公国とクイラ王国はどちらも、総人口の三分の一ほどがエルフやドワーフ、獣人等のいわゆる「亜人」と呼ばれる人々が占めている。そのため、亜人殲滅を掲げるロウリア王国とは友好が保てず、両国で協力して国家進攻の脅威から身をまもっているのだ。
そんな毎日が続いていたある日、夜が一瞬昼間のように明るくなった。世界中で語られているとある伝承と真逆のその現象に、あるものは恐れ、またある者は救いだと喧伝していたという。しかしそれももう何日も前の事。
《定期通信。こちら第3飛竜隊》
「こちら管制塔。報告どうぞ?」
《国境付近の穀倉地帯は異常無し。クワ・トイネ公国は本日も収穫日和!》
穀倉地帯の住民からはワイバーンの飛ぶ回数が増えたと思われてはいるものの、いつも通りの日常が戻ってきていた。
―――中央暦1639年1月24日午前8時―――
Side:哨戒任務中の竜騎士
透き通るような青い空の下、クワ・トイネ公国第6飛竜隊に所属している竜騎士マールパティマは相棒のワイバーンを駆り、公国北東方向の哨戒任務についていた。公国東には海が広がるばかりでなにもない。昔から幾多の冒険者が新天地を求め進攻していったそうだが、帰ってきたものは今まで一人もいなかった。
その海域を哨戒飛行する任務の必要性は何度も議論されたことがあったものの、仮想敵国であるロウリア王国は軍船・飛竜隊共に公国より数・質共に優れており、何らかの方法で東側から回り込んで攻めてくる可能性(三大文明圏には『竜母』なる海上で飛竜を運用するための船が存在するという話もある)を捨てきれず、単騎ではあるが定期的に哨戒を行っているのだ。
「?!」
彼の視界の端で何かがキラリと光る。友軍かとも考えたが、この近くを飛行する予定は無い。最悪の想定が当てはまってしまったのか、その確認のために相棒である飛竜の頭を向けた時、その光った方角から何かが近づいていることに気が付いた。それは瞬く間に大きな影となり、次第にその全容をはっきりとさせてくる。その姿は、自身が乗るワイバーンとは全く違う形をしていた。
「これは………羽ばたいていないのか?」
その飛行物体は緑色に塗られており、両翼中央寄りに付いた何かがぐるぐると回っている。胴と翼端には発光する何かがあるようで、規則的に点滅を繰り返していた。
高度差はほとんど無い。彼は通信用魔法具を用いて司令部に報告する。その後、一度すれ違ってから距離を詰めるつもりだった。
「こちら第6飛竜隊所属マールパティマ。我、未確認騎を確認。これより当該騎後方へ回り込み、確認と警告を行う。現在地は………」
通信を行いながら未確認騎とすれ違う。胴体と翼に赤い丸が描かれているのが見え、あれは自分たちのワイバーンの尾につける所属旗のようなものだろうかと考えながら愛機を反転させ羽ばたかせた。
ワイバーンの最高速度は時速235km。三大文明圏には品種改良で速度がさらに上昇した上位種が存在するという話はあるが、少なくともロデニウス大陸内では最速の生物であり、馬よりも早く機動性にも富んでいる。その速力からくる重たい風圧に飛ばされそうになりながらも一気に距離を詰めるつもりだったが、彼はすぐに、まったく追いつけないどころか引き離されていることに気づいた。
「くそがっ!!なんなんだ、あいつは!!」
驚愕しながらもせめて何か情報を伝えなければ、と再度通信を行う。
「司令部!司令部!!緊急通信! 我、国籍不明騎を確認しようとするも、速度が違いすぎる!だめだッ早すぎて追いつけない!」
≪こちら管制塔。落ち着いて。騎の特徴は?≫
「飛行物体は緑色!硬質に見える外装と国籍表示と思われる赤い丸が特徴で翼を羽ばたかせることなく飛んでいる!少なくともワイバーンや古竜ではない!生物かどうかすら不明!至急応援を!」
Side:第6飛竜隊基地
基地に所属する通信員のカルミアは魔信(魔力通信)から聞こえてきた要領を得ない通信に困惑しながらも、上司を呼び出しつつ何とか情報を纏めようとする。
「種別・国籍了解。速度や向かう方角は把握可能か?」
≪現在は基地北東方向約130km付近をマイハーク方面へ進行中!速度は………だめだ、早すぎて追いつけないことしかわからない!!≫
「了解!」
ちょうど分かったことを書き留めたタイミングで上司の通信指令が彼の場所にやってくる。彼は口頭で伝えるとともにそのメモを手渡した。通信指令は情報を聞きながら列強国の中に飛行機械という非生物を操る国があるという情報を思い出し、まさかと考えるとともに即決を下す。
「待機している飛龍は全力出撃!単騎のため偵察の可能性が高いが万が一攻撃を受けたら軍の威信にかかわるぞ!」
ワイバーンでも追いつけない未確認騎がよりもによって、クワトイネ公国の経済の中枢都市マイハークに向かって飛んで来ると言う。司令部は蜂の巣をつついたような騒ぎになりながらもおそらくすでに本土領空へ進入しているはずの不明機に対処するために全区画へ指令が流れた。
「第六飛龍隊は全騎出撃。マイハークへ接近する未確認騎あり。すでに領空内に侵入していると思われる。発見次第撃墜せよ。繰り返す。全騎出撃、未確認騎を発見次第撃墜せよ。」
滑走路から、次々にワイバーンが飛び立って行く。その数12騎、第6飛竜隊の全力出撃である。透き通るような青い空に向かい、舞い上がっていった。
それから少しして、マイハーク湾東岸に展開した第6飛竜隊は未確認騎の正面に正対していた。点ほどにしか見えない未確認騎がみるみるうちに大きくなる。報告通りワイバーンよりもかなり高速で飛んでいるようで、隊長はすれ違う一瞬しかチャンスがないと考え、部下たちに指示を出した。
≪導力火炎弾による一斉射撃を行う。相手は我が方よりかなり早いため、すれ違う一瞬のチャンスをつかむ方が可能性が高いためだ。しかし、一斉射撃が当たれば落ちぬ飛竜など存在しない。各人、日ごろの訓練の成果を存分に発揮せよ。≫
ワイバーンが横一列に並び口を開く。火球が形成される中タイミングをうかがっていると未確認騎は上昇を始める。すでに現在の高度はワイバーンの上昇限界である4000mに近い。そのままぐんぐん高度を上げていく未確認に飛竜隊は射程に入れることすらできず引き離されて行く。それは、すでに対岸にあるマイハークからでも確認できていた。
Side:マイハーク
ロデニウス大陸北東のクワ・トイネ公国。大地の神に祝福を受け、肥沃かつ雑草が生えにくく食料となる植物が手入れをせずとも生えてくる。食料自給率は100%を超え水と食料はタダ、どころかペットや家畜すらおいしいものを食べている国だ。その農業立国の中でも経済中枢都市といわれるマイハークでは他地域に比べ公都に近い街並みを持ち、市街地中央の石畳で舗装されたメインストリートは馬車や陸鳥、そして人々も行きかい活気にあふれている。
その通りを駆け抜ける一団が一つ。先頭を行く女性を含め、全員が鎧を着用し腰には剣、背中には弓矢という装備で、顔は緊張しているのか少しこわばっていた。彼らが向かっているのはマイハーク防衛の要であるマイハーク城。マイハーク防衛騎士団長である黒髪の女性、イーネが到着するころにはすでに町四方の監視塔への人員配置は完了しており、城壁に配置された団員もすでに弓に矢を番え迎撃準備は万端となっている。
彼女は東の空を睨みながら思考を巡らせる。第6飛竜隊から入ってきた情報によると未確認騎は単騎で、速度はワイバーンよりも高いという。一般的にワイバーンから地上への攻撃方法は口から吐く火炎弾。矢や岩による攻撃も検討されたものの、ワイバーンといえども重たい物を運ぶ事が出来ないためあえなく不採用となっている。そうなると、単騎で来るならば攻撃されても大した被害は出ないだろうし、そもそもの目的自体も偵察であろう。しかし、空の王者たるワイバーンが追いつけないものとは、いったい何なのか。まったく正体不明のものがこちらに向かってきているのだ。
「来たぞー!!」
東監視塔と東城壁からほぼ同時に情報が入り、射撃準備をしたまま皆一斉に東の方へ顔を向ける。湾を挟んで反対側で点のように見える第6飛竜隊が攻撃準備に入り、同じく点のように見える高度を上げた未確認騎がその上を飛び越えるのが見えた。すぐにその点は近づき、その全貌が見えてくる。ブーンという音とともに近づいてきたそれは大きく、情報通り緑色で羽ばたいておらず、胴と翼には赤い丸が描かれていた。
マイハーク上空に差し掛かり高度を落として旋回を始めたが依然弓の射程には届かず、かといってワイバーンやその他装備の準備もできていない。対処のしようがないが、領空侵犯こそしているものの騎は攻撃をしてくる様子はなく、ただ何かを探しているかのようにぐるぐると旋回したのち、満足したのか北東方向へ飛び去って行く。防衛騎士団はそれを見送ったのち最低限の人員を残し厳戒態勢を解き、不明騎出現により混乱し荷駄獣の暴走等で起こった事故の対処のため都市内へと向かっていった。
日本国召喚の二次なのに召喚された国が出ないのどうなんだろう………
あと、原作の文章コピーにならないように気を付けたつもりだけどどうなんだこれ………?