ゲヘナとトリニティの混血の生徒はミレニアムに通う   作:青色好き

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ミレニアムがエデン条約に関わるとしたらこういう理由かな? と思って動機を書きました。これで良いのかは知りません。何せ習作だし(オイ)。

此処の世界だとアリウスの動向が少し変わっています。


第3話:アビドス、エデン条約

 ミレニアム自治区から少し離れているアビドス自治区。

 アビドスは砂漠が多い地域で、近年砂嵐が多発しているせいでかつての強豪校としての面影は感じられない。砂嵐のせいで何処も砂だらけと言う訳では無く、一部ではあるが都市部も残っている。

 その通りに堂々と座しているラーメンの屋台に、エルは来店していた。

 

「へぇ! 最近凄い商品を造ったんだって! 流石エルちゃんだな!」

 

「私個人、というより他のエンジニア部の皆が造ったんだけどね。自爆機能を入れない物と入れた物をね」

 

「ははは…… ウタハちゃんもヒビキちゃんもコトリちゃんも自爆機能を付けたがるんだな。まぁ、それが嬢ちゃん達のロマンなんだろうけどな!」

 

「私のロマンはビームとか、かっこ良さだけどね。勿論場合によっては自爆も含むけど」

 

 エルはこのラーメン屋「柴関ラーメン」の店主である大将と話している。その様子から二人は親しい間柄である事が分かる。

 

「エルちゃんの才能は父さんと母さんから受け継がれたんだろうねぇ」

 

「まぁ、父さんも母さんもそれぞれ母校では万魔殿とティーパーティーで優秀な人だったって聞いてはいるけど……」

 

 エルの父はゲヘナ学園の万魔殿の議員、母はトリニティ総合学園のティーパーティーの幹部だった。その二人は優秀な成績と仕事ぶりだったらしく、両校の生徒会長(当時の万魔殿議長とティーパーティーホスト)から信頼されていたらしい。

 そんな不仲な両校の二人が付き合い始めて結婚したという話は当時のキヴォトスで大きな話題になったらしい。

 

「父さんと母さんが初めて出会った場所が…… 柴関ラーメンだったのよね」

 

「おう! あの時互いの学校の愚痴を言ってたんだよ! そして何度か交流していく内に仲良くなったんだよ!」

 

「そしてプロポーズした所も此処だったのね」

 

「ははは! あの時の様子はハッキリと覚えてるよ! その後も時々来てるし、エルちゃんを連れてうちのラーメンを食べに来た事もあったよな!」

 

「えぇ。昔から味が変わっていないのは嬉しい事ね。好きな味だから」

 

「嬉しい事言うねぇ! 目から涙が出そうだよ! グスッ……」

 

 どうやらエルの父親と母親の最初の出会いだけでなくプロポーズの場所もこの柴関ラーメンなのだ。そういう縁もあって娘のエルも時々柴関ラーメンに食事をしに行く事があるのだ。

 

「部長とヒビキとコトリも絶賛してたし…… あっ、あの人達は……」

 

「ん、エルだ」

 

「あっ! エルさん!」

 

「今日も来てたんだ」

 

「エルちゃんも柴関ラーメンに来てたんですね♪」

 

「うへ~、エルちゃんが食べてるラーメンは美味しそうだね~」

 

 柴関ラーメンにやって来た5人の生徒。

 彼女達は砂狼シロコ・奥空アヤネ・黒見セリカ・十六夜ノノミ・小鳥遊ホシノ。アビドス高等学校に通う生徒達だ。

 

 彼女達も柴関ラーメンを時々訪れる事から、エルとも知り合いなのだ。そんな事もあってエルがアビドス生の銃や機械のメンテナンスをする事があるのだ。その縁でエルの所属しているエンジニア部がメンテナンスする事もある。

 

「今日も賞金稼ぎかしら? 何万位稼いだ?」

 

「今日は○○万円です! 大物を捕まえたので何時もより稼ぎが多いです!」

 

「ん、私の銃撃と蹴りで相手を仕留めた」

 

「シロコ先輩のあれは強力でしたね…………」

 

「あの時のシロコちゃんは中々かっこよかったですよ♪」

 

「うへへ、おじさんよりも活躍してたんじゃないかな~?」

 

「へぇ………… 中々の健闘ね」

 

 アビドスの生徒達は借金の返済をするために金稼ぎに注力している。以前は滅茶苦茶な利子により返済に苦労していたのだが、シャーレの先生達の活躍により大幅に返済額を減らす事が出来た。以前より大分余裕が生まれたのだ。

 

「今日は大分稼ぎを得たからそのお祝いです♪」

 

「収入が多く入ったからご馳走って訳ね。私も時々やってるわ」

 

「そうなんですか?」

 

「依頼で○○○万円入った時とか…………」

 

「うわぁ…… 羨ましいわ…………」

 

「ん、ならば銀行強盗で一気に稼ぐ」

 

「それはやめときなさい」

 

 砂狼シロコはお金稼ぎの方法として銀行強盗を提案した。その提案を聞いたエルは即座に却下した。

 

「最近私達エンジニア部が造った警備システム・警備ロボをアビドスを含めて色んな銀行に敷いたの。そういう事をしたら即座各学園の風紀委員会やヴァルキューレにも情報が伝わるわ。覆面をしていても僅かな映像や身長・声・指紋・瞳で個別認証が可能よ」

 

「そ、そんなにセキュリティを高めていたんですね…………」

 

「ん、なら銀行じゃなくてATMを襲う」

 

「そこも同様よ」

 

「じゃあ造幣局!」

 

「そこはもっと厳重よ」

 

「ん………… なら」

 

「シロコ先輩! 先ず強盗の事を忘れましょうよ!」

 

 シロコは強盗の事しか頭に無いのだろうか………… もっと別の事を考えて欲しい…………

 

「ま、まぁシロコちゃん達もラーメンを食べるんだな? 今日は思いっ切り奮発してやるぜ!」

 

「流石大将! 太っ腹です~!」

 

「それじゃあ早速…… おや?」

 

「どうしたの? 大将…… あら?」

 

「ん、あの人達は……」

 

 大将が誰かを見つけたらしく、別の方向に顔を向ける。エルやシロコ達も大将と同じ方向に顔を向ける。その方向には4人の人影が写っている。

 

「あら、あなた達も来ていたの?」

 

「へぇ、あなたも来てたんだ」

 

「あっ、眼鏡ちゃんだ!」

 

「し、失礼します……」

 

 その4人は柴関ラーメンに新しいお客さんとしてやって来たのだ。彼女達はゲヘナ学園出身のアウトロー集団、便利屋68の面々だ。社長の陸八魔アル・鬼方カヨコ・浅黄ムツキ・伊草ハルカで構成されている、独立した企業だ。

 

「へぇ…… あなた達が来るなんてね」

 

「今日は結構稼ぎの良い依頼を受けて成功したのよ! おかげで当分は少し豪華な外食を食べられるわ!」

 

「でも、こういう時に限って直ぐに使い尽くしちゃうのよね~」

 

「社長の悪い癖だよ……」

 

「そそそそそそそ、そんな事無いわよ!」

 

「で、でも何度かそうなった事があります。寿司とかステーキを食べた時とか……」

 

「ちょぉぉ!? ハルカ!?」

 

「そりゃ使い切るわね………… 事務所の賃貸とか生活費を考えると猶更ね」

 

「ぐぬぬぬぬ…………! 否定出来ないわ…………」

 

 便利屋68の社長である陸八魔アルは折角稼いだお金を直ぐ使い切ってしまうようだ。食事の奢りもあるかもしれないが、4人分の生活費や事務所の賃貸費などを考えるとそれなりの費用となるだろう。

 

「まぁ、今回は必ずお金を温存するわよ! 大将! このラーメンを!」

 

「はいよ! 直ぐに作るぜ!」

 

「大将、私も手伝うわ!」

 

「今度こそ浪費が無くなれば良いんだけどね」

 

「ん、今日は楽しくなりそう」

 

 今日の柴関ラーメンは大勢の生徒達によって、賑やかな場となった。アビドス・ゲヘナ・ミレニアムの生徒がラーメンを楽しみながら青春の一幕を送る事となった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 シャーレ内の部屋。

 今日はエルが当番であるためシャーレを訪れていた。彼女にとってこの部屋は大分見慣れている光景だ。しかし、一部だけ見慣れていない部分がある。それは、エル以外の当番の生徒達だ。

 

「どうやら、今日はあなた達が来ているとはね…………」

 

「あぁ。エデン条約の時以来だな」

 

「ははっ、久しいな。その様子だと相変わらずみてぇだな」

 

 ゲヘナ学園風紀委員会委員長 空崎ヒナ。

 

 トリニティ総合学園正義実現委員会委員長 剣先ツルギ

 

 ミレニアムサイエンススクールCleaning&Cleaning部長 美甘ネル

 

 キヴォトス三大校の最高戦力者がシャーレの一室に当番として来ていた。エルも戦闘は強い方なのだが、この最高戦力者達はエルよりも強い。そんな人達が1か所に集まっているので尚更だ。

 

「何だか私が場違いな気がするんだけど……」

 

「そうかしら? そう感じないけど?」

 

「エデン条約の時に協力してただろ? アビドスの連中も来てたけど」

 

「いや、実力の話ですよ…… 三人共私より強いですよね?」

 

「私からすれば十分強い方だと思うわ。ゲヘナにいたら風紀委員会に勧誘したいくらいにね」

 

「私も、トリニティにいたら正義実現委員会に誘うな」

 

「ははっ! 以前C&Cに誘った事があったけど断られたから、入る事は無いだろうな」

 

「はい、その通りです」

 

“即答だね…………”

 

 四人の会話に先生が加わる。その様子は少しにこやかだ。和みのある風景だと思っているのだろうか。エルからすればそんな事は無いのだが。

 

“そういえばミレニアムサイエンススクールは元々エデン条約に関わる予定は無かったんだよね?”

 

「あぁ。何せゲヘナとトリニティの間で結ぶ条約だからな」

 

 エデン条約。

 昔から仲が悪いゲヘナ学園とトリニティ総合学園の間で結ぶ不可侵条約。両校から構成員を出し合ってエデン条約機構(ETO)を設立し、両校の紛争解決を行う事で戦争を回避しようとする構想だ。

 元々ゲヘナ学園の前議長である“雷帝”に対抗するために連邦生徒会長が提案していた構想だった。

 

 ここまで読めば分かるだろうが、本来ミレニアムサイエンススクールはこの条約に一切関わっていない。では何故エデン条約にミレニアムサイエンススクールが関わる事になったのか。

 

「オメェの存在…… だよな」

 

「えぇ。その通り」

 

 きっかけは、天魔エルの存在だ。

 彼女は互いに因縁のあるゲヘナ学園とトリニティ総合学園の元生徒の間に産まれた人物だ。正にエデン条約を体現した生徒と言っても過言では無い。そんな事から彼女をエデン条約の式典に出席させる案が出たのだ。

 

 そこから発展させて、ミレニアムサイエンススクールがエデン条約に参加する事になったのだ。

 

「万が一ゲヘナ学園とトリニティ総合学園が条約を無視して問題や戦争が起きた場合、ミレニアムサイエンススクールが仲裁する、だったよな」

 

「えぇ、二校に匹敵し得る規模の学園だからこそ仲裁が可能、そういう判断よ」

 

「先生も二校の問題発生時の対策を考えるとは、流石だな」

 

“まぁ、二校がいきなり仲良く出来るか不安だったからね。その保険としてね”

 

 条約とはいえ、いきなり仲良くなれるという訳では無い。もしも二校が問題を起こしたら? それをどうやって止めるのか? 万が一発生した問題の仲裁に入るのがミレニアムサイエンススクールである。二校と比較出来る力を持っている為キヴォトスのあらゆる学園の中で唯一仲裁可能な学園と言っても良いだろう。

 

「ミレニアムは少しだけ関わるように見える…… けど、そうではないのよね」

 

“……………………、エデン条約にはとある文がある”

 

「エデン条約に関わるゲヘナ・トリニティ・ミレニアムが問題を起こした場合、残りの学園が対処する…………」

 

「つまり、ミレニアムが問題を起こしたらゲヘナとトリニティがミレニアムを止める…… って事だよな?」

 

「ゲヘナとトリニティから見ればミレニアムも脅威だからよ。万魔殿の情報部も常に目を光らせているわ」

 

「機械の製造が得意な学園だ。機械であれば量産も可能な筈。つまり、兵力を大量に造れるという事だ」

 

「まぁ、言い分は分からなくはないけどよ…………」

 

「三大校のパワーバランスを保つため…… ってところね」

 

 ヒナの発言に皆は納得するような表情をする。

 三大校の中でミレニアムサイエンススクールは科学や機械を得意とするが学園だ。その技術力で戦闘用機械・無人機・ドローンなどの兵力を生み出す事が出来る。万が一その技術がゲヘナやトリニティに牙を向いたら? キヴォトス全体のパワーバランスが崩れる。

 

 それを防ぐために、この条約だ。

 

 ミレニアムサイエンススクールが大きな武力を動かして他自治区を脅かすような事をすれば、ゲヘナとトリニティが動く。

 

 ゲヘナとトリニティの不可侵条約。

 

 その二校が仲違いした時にミレニアムが仲裁として動く。

 

 ミレニアムが暴走しないように二校が抑える。

 

 これらの目的により、エデン条約にミレニアムサイエンススクールが加わる事となった。

 

「エデン条約の時にテロが起きるとはね…… こういう一大イベントには何かが起きる事が多いけど…………」

 

「あの時は大変だったな。幽霊みたいな奴が一杯出て来たしな」

 

 エデン条約の時、ゲヘナ学園・トリニティ総合学園・ミレニアムサイエンススクールの重鎮達が集まる中、ミサイルが直撃し大爆発が起きた。それと同時にアリウス分校の一同が襲撃するという、大事件が起きた。

 この時に先生が銃で撃たれるという事件も起きたが、どうにか一命をとりとめた。その後、先生は補習授業部や応援として来たアビドスの生徒達と共にアリウスの面々と戦った。

 

「そん時にアリウススクワットの面々を捕まえたり、聖園ミカが暴れたり…… はぁ、マジで大変だったな」

 

「エデン条約はその時のゴタゴタで結局結ばれなかったし……」

 

「アリウスの襲撃が無ければ締結出来たんだろうな……」

 

「逮捕されたアリウスの人達は今矯正局にいるのよね」

 

“うん、皆しっかりと勉強と更生しているよ。私も時々赴いているよ”

 

 エデン条約の一連の出来事はエルを始めとする生徒達にとって、非常に印象に残る事件となった。アリウスの面々はベアトリーチェという悪い大人の悪政下だった事が考慮されて矯正局で正しい教育と更生が行われる事が決まった。これは、先生の強い要望でもあった。

 

「結局エデン条約は結ばないのかしら?」

 

“いや、各校の生徒会との話し合いで結ぶ予定だよ。三大校にとって重要な条約だからね”

 

「アコ達や万魔殿も気合を入れているわ。マコトは今度こそしっかりして欲しいわ……」

 

「トリニティの救護騎士団やシスターフッドといった面々も総動員するつもりだ」

 

「ユウカやリオ達も準備をしている。今度はもっと厳重な警備にする予定だ。エル、お前も警備用ドローンとか造ってるだろ?」

 

「えぇ、ユウカ先輩から予算を沢山頂きました。またアリウスみたいな連中が出ても倒せるように強力な武器を搭載してます。勿論自爆装置も付いてます。アカネ先輩の爆破をイメージした爆弾を付ける予定です」

 

「やっぱりおめぇはエンジニア部の一員何だなって思うよ」

 

「いっそ威圧する目的でネル先輩のスカジャンをイメージして、龍の絵でも入れてみようかなとも」

 

「マジか…… なら、少しだけ入れても良いぜ?」

 

「…………、仲が良いな。派閥争いが多いトリニティとは違うな」

 

「そうね………… 暴れる人が多いゲヘナでもああいう光景は中々見れないわ」

 

“眼福だよ”

 

 エルとネルのやり取りを見ているツルギ・ヒナ・先生はその様子を羨ましそうに見ている。銃撃戦が多いキヴォトスにおいて、このような会話は正しく平和だ。このような光景が今後も続いて欲しい。先生達は内心そう思うのであった。




この世界だとオラトリオみたいな展開では無かったり。だって自分の習作だし(また言い訳)。

次回は2026年8月23日21時00分に投稿します。
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