魔改造スパロボ〜混沌の世界へ〜   作:YMDリターン

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第二話 「降臨・虚無の鉄神」

 

俺は今襲い来る連中を蹴散らしていた。

 

けど、ぶっちゃけなんでこいつらが襲って来るかは…さっぱり分からへん…

機体はバラバラで戦闘機のような機体もいればMS、そして見たこともない種類の機体。

動きも統一されていない─熟練してるやつもどこかぎこちない奴もいる─烏合の衆やね…って言いたいけど…

 

「追え!逃がすな!」

MS部隊が隊列を組みビームライフルの一斉射撃を浴びせてくる─間髪入れずに戦闘機から人型へ変形した機体達が俺を追撃してくる。

 

「別に大したことはあらへんけど…ほんま、かなわへんなぁ…」

 

予め張られていたバリアで射撃を空中で─『掻き消す』

 

「通じない!何故だ!」

「怯むな!攻撃を加え続けろ!」

 

敵は手を変え品を変え攻撃を続けとる、何がしたいんやろなぁ…

 

「回り込め!相手は一人だ、数はこちらが有利だ!」

「了解!HM(ヘビーメタル)部隊左に回る!」

HM部隊に合わせてMS部隊も反対側に動く─まったく、しつこい…!

「各機へ、弱点を探れ!我らの結束を見せてやれ!」

『了解!』

 

敵は俺を取り囲んで仕掛けてくる。

ゼオライマーには無駄やのに…

これじゃあ弱いものイジメやん!人の心ないんか?

「クソっ!何故当たらない!?そもそもあそこに居るのか!?」

「レーダーにも反応ありません!隊長!」

 

隊員が恐怖するが─隊長は突撃しながら声を張り上げ、隊員を鼓舞する。

 

「引くな!攻めろ!此処で仕留めれば我らの勲功となる!」

 

俺は無駄な抵抗をする敵に─そして争いの虚しさに溜息をつきながらコンソールを叩きゼオライマーを─『飛ばす』

白い巨体は揺らめき、蜃気楼のように消える…そして

 

亡霊を彷彿とさせる─音も気配も無く『敵の背後』に─『顕れた』

 

戦慄する敵

 

「何ッ!?」

 

「馬鹿な…後ろ!?」

 

「反応は無かったぞ!?」

 

ゼオライマーはその場から動かず…機体胸部のクリスタルを不気味に明滅させるが─

 

何も起こらない。

 

誰もがそう感じていた

 

しかし─勝敗は決していた

 

敵は嘲笑う様に此方へ通じなかった射撃の代わりに各々の近接武器で取り囲んできた。

「虚仮威しかっ!」

一斉に威勢よく踏み込み、ケリを着けようとする。

 

だが、もう遅かった

 

それは届く事は無く。

ゼオライマーから放たれた光が

 

──メイオウ攻撃 

 

敵に何も理解させないまま─

 

『呑み込んでいた』

 

───

──

 

光は太陽の光に融けた頃には─『敵』はいなかった

 

 

「ふー…終わり終わり、争いは嫌や…」

 

俺が一息つくと、物陰からひょこっと…ニャスパーが縮こまって俺の方を見ていた。

 

「にゃぁ…にゃ…」

 

弱々しく鳴くニャスパーをそっと撫でてやる…

 

「ごめん…怖かったやろ…もう怖い人はおらへんからね…」

 

耳の後ろを優しく解すと、ようやく安心して俺の膝の上で喉を鳴らして身体を預けてきた。

 

…暖かい

守れて良かった─俺はやっと詰まった息を吐いた。

 

少し経って、改めて外を確認してみたけど…ここ何処なんやろ。

ゼオライマーの地図照合…ダメ、スマホの電波は…圏外

うーん、日本じゃない…せやけど外国かも分からへん、英語は…伝わるくらいは話せるけど…

 

というかそもそも外国なのかってのも怪しいんよな、ゼオライマーには全国地図はもちろん…母さんが勝手に入れた人工衛星ハッキングシステムがあるけど…それすら反応が無いし。

 

「まさかまさかの…いやいや異世界とか…いや旅してるから無いとは言わんけど…」

浮かんできた考えを否定してみるけど…俺も端から見たら大概冗談みたいなモノやけど…

異世界っぽさ…って何やろ?

雰囲気?景色?それとも…何はともあれ、分からない事だらけやね〜

 

「にゃ〜お…にゅう〜にゃぱ……」

 

ニャスパーは小さく鳴くと、俺の胸元へ顔を押し付けるようにして甘えてくる。

 

「ふふ……ほんま、君は変わらんなぁ」

 

思わず笑みが零れる。

 

さっきまで何が起きてるのか分からんかった。

どこに飛ばされたのかも、この先どうなるのかも分からへん。

 

でも──

 

「君がおるなら、まあ……なんとかなるか」

 

そう呟くと、ニャスパーはまるで返事をするように尻尾を揺らした。

 

「にゃ!」

 

「はいはい、分かった分かった。そんな自信満々な顔せんでもええやろ」

 

頭を撫でてやると、ニャスパーは満足そうに目を細める。

 

……不思議やな。

 

どれだけ訳の分からん状況でも、この小さな温もりがあるだけで少しだけ冷静になれる。

 

俺にとってゼオライマーは確かに大切な相棒や。

 

けど──

 

「一番守りたいんは、やっぱり君やな」

 

「にゃぱ?」

 

「なんでもないよ」

 

首を傾げるニャスパーに苦笑しながら、俺は立ち上がる。

 

「さて……まずは状況確認やな」

 

周囲を見渡す。

 

知らない空

 

知らない景色

 

知らない世界

 

……ほんま、母さんが聞いたら絶対面白がるやろな。

 

「まあ、焦ってもしゃあないか」

 

肩に乗ったニャスパーの重みを感じながら、俺はゆっくり歩き出す。

 

「行こか、ニャスパー」

 

「にゃ♪」

 

俺と相棒の、新しい旅が始まった。

 

───

──

 

「さて、これからどうすべきなんかなぁ……」

 

早速俺の頭を悩ませたのは──『周りに何も無さすぎる』ことやった。

食料や生活用品は、ゼオライマーの備蓄に一年分以上ある。 すぐに困ることはない。

けど……

 

「いや、ほんまに何もないな……」

 

見渡す限り広がる知らない大地。 地図にも、記録にも存在しない場所。

これからどうするかを考えようとした、その時──

ぐぅ〜……

「……」

「……腹減った」

 

思わず腹を押さえる。

「もう夜やし、ご飯作ろか」

「……!にゃぱっ♪」

 

─てなわけで、早速何か作りたいけど…どないしょ、冷蔵庫には野菜と魚介あるけど…

そういえば揚げ物は冷凍で一ヶ月持つってTVでやっとったな…いざって時に手間減らして保存もしときたいよな。

「にゃお?」

ニャスパーは不思議そうにジッと見つめてきた…

 

「よし、揚げるか!ニャスパー、手伝って!」

 

俺はゼオライマーのキッチンで揚げ物を作る─けど、今回は普通のモノやない。

「ノンフライ…油使わんから後片付けも楽…うん、これで行こか」

 

 

「ニャスパー、小麦粉とボウルの用意…と卵出しといて〜」

「にゃお〜♪」

ニャスパーは早速冷蔵庫からサイコキネシスで材料を出して並べてくれたから…俺は野菜と魚介の下処理をする。

「大変やけど、やっとけば美味しくなる〜♪なんてね、ニャスパー!」

笑顔を交わしながら俺は卵をニャスパーは衣をつける、あとは焼き上げるだけ。

 

「ニャスパー、危ないから近づきすぎたらあかんよ〜」

 

「にゃぱ!」

 

返事だけは元気いっぱい。

けど、興味津々なのか俺の肩からじーっと調理風景を眺めている。

 

「そんな見られたら緊張するやん」

 

思わず笑いながら、下準備を終えた食材を調理器へ入れる。

 

しばらくして、香ばしい匂いがゼオライマーの中へ広がっていく─

さっきまで戦場だった場所とは思えへんなぁ。

 

「はい、完成っと」

 

皿に盛り付けたのは、野菜と魚介のノンフライ揚げ物、外はサクッと、中はふんわり。

油を使わない分、素材の味がしっかり残るはずや。

 

「ニャスパー、お待たせ」

 

「にゃぱぁ♪」

 

ニャスパーは嬉しそうに定位置へ向かう。

 

俺も席につき、いつものように手を合わせる。

 

「いただきます」

「にゃにゃ〜」

 

一口食べてみる。

 

「……うん、ええ感じやな」

 

思わず頷く。

 

「昔よりはだいぶ上手くなったかな」

 

横を見ると、ニャスパーも専用の温野菜と鶏ささみフードを夢中になって食べている。

 

「ふふ、相変わらず正直やなぁ」

 

美味しい時はすぐ顔に出る。

それが昔から変わらない。

 

戦いの理由も、この世界が何なのかも、まだ何一つ分からないけど…

こうやって一緒に飯を食べられるなら、今はそれでええ気がする。

 

「ニャスパー」

 

「にゃ?」

 

「明日は何作ろか」

 

首を傾げる小さな相棒を見て、俺は少し考える。

 

「……久しぶりにキッシュでも作ろか。昔のレシピ、本当に久々やし」

 

「にゃぱ!」

 

嬉しそうに鳴く姿に、自然と笑みがこぼれる。

 

不安がないと言えば嘘になる。

でも、隣にはニャスパーがいる。

そして、俺にはゼオライマーがいる。

 

「まあ、旅ってこういうもんやろ」

 

そう呟きながら、俺は食器を片付け始める。

 

新しい世界での最初の夜は、静かな食卓の温もりと共に過ぎていった─

 

…少し休んでから食器を片付けると、俺は一息ついて椅子へ身体を預けた。

 

「ふぅ……ごちそうさん」

 

「にゃぱ〜」

 

ニャスパーも満足したのか、いつものように俺の膝へ飛び乗ってくる。

 

「はいはい、甘えん坊やなぁ」

 

頭を撫でながら、少しだけ考える

…これからどうするか。

 

この世界がどこなのか。

さっき襲ってきた連中は何者なのか。

そして、なんでゼオライマーごと飛ばされたのか。

 

分からないことだらけや。

 

ゼオライマーのコックピット…とは名ばかりの俺とニャスパーの部屋。

 

普通なら巨大兵器の内部なんて、狭い通路や計器だらけの無機質な場所を想像するかもしれへんけど。

 

けど、こいつはそうやない

 

俺と母さんが手を加えた結果、こいつは戦う力だけじゃない…俺達の家で翼でもあり─半身。

 

生活空間

整備設備

倉庫

調理設備

簡易的な工房

 

長い旅をするための、大事な相棒

 

「……改めて見ると、ほんま変な機体やな」

 

壁に手を触れる。

 

外から見れば世界を変えるほどの力を持った鉄の巨人。

 

でも中身は、俺が寝て、飯を食べて、ニャスパーと過ごす場所。

 

「母さん、絶対楽しんで改造したやろなぁ……」

 

思わず苦笑する。

 

『戦闘兵器を家に改造する』

 

普通なら怒られるような発想や。

 

でも、あの人なら。

 

『面白そうだからやってみた』

 

くらいの勢いでやりそうなのが困る。

 

「にゃ?」

 

肩に乗ったニャスパーが首を傾げる。

 

「いや、何でもないよ」

 

そう言って頭を撫でる。

 

まず向かったのは情報室。

 

コンソールを起動すると、ホログラムの画面が展開される。

 

「周辺地形……解析」

 

画面に大量の情報が流れる。

 

けど。

 

「……やっぱり駄目か」

 

地形データなし、人工衛星情報なし、位置情報なし

 

まるで、この場所だけ世界から切り離されたみたいや

 

「本当に知らない世界なんやな……」

 

次に通信システムを確認する。

 

「広域通信……」

 

結果は…

 

反応なし

 

「まあ、そう簡単にはいかへんか」

 

予想通りとはいえ、少しだけため息が出る。

 

その時。

 

ニャスパーが画面を覗き込んで、不思議そうに鳴いた。

 

「にゃ?」

 

「ん?」

 

ニャスパーが小さな手を伸ばす

すると、サイコキネシスで別の画面を引き寄せた。

 

「お、そこ気になるん?」

 

「にゃぱ!」

 

調べてみると、ゼオライマーの内部センサーに微かな反応が残っていた。

 

「これは……」

 

生命反応…

しかも、かなり遠い。

 

「人がいる……?」

 

ようやく見つけた、この世界での手掛かり。

 

「よし」

 

俺は立ち上がる。

 

「まずはそこへ行ってみよか」

 

ニャスパーは嬉しそうに肩へ乗る。

 

「にゃ♪」

 

知らない世界。

 

知らない人達。

 

何が待っているかは分からない─

 

でも。

 

一人と一匹と一機なら

 

たぶん、何とかなる

 

俺はゼオライマーの起動システムへ手を置いた。

 

「頼むで、相棒」

 

白亜の鉄神が静かに目を覚ます

 

新しい旅は、まだ始まったばかりだった




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