天空闘技場編これにて完結!!
いやあいい区切りになりました。
ハンター試験編もお楽しみください。
──ヒソカとの試合から45日後
ついに明日、私達師弟はこの天空闘技場を去り、第287期ハンター試験のナビゲーターの下に向かうこととなる。私の肋骨のヒビは完治。ヒソカの左腕については流石にまだ怪しいが……それでも驚異的な回復力で既にギプスは外れている。一応まだ付けていた方がとも言ったのだが、なんでも『
この期間中に私は『纏』『練』『絶』『凝』の所謂四大行を修め、
「むしろそれなら何故、師匠程の能力者が去年失格になったんですか?」とストレートに聞いたところ…
「その時の試験官半殺しにしちゃった…♥」
うん…まあ…悲しいけど予想の範疇だ。
「今年は絶対そんなことしちゃ駄目ですよ? むしろ色んな人と仲良くなるんです!」
と契約を盾に釘は刺しておいたが、ここは私の為にも、そしてヒソカ自身のためにも自制して欲しいところである。
(折角だし、お世話になった人達に挨拶して回ろうかな?)
▽ ▽ ▽
「リールベルトさん! お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ん……? おお! クーデリアか。確かに久し振りだな……忘れられたかと思ったぜ」
「そんな訳無いじゃないですか。実はこの前も試合を観戦してたんですよ? お祝いが遅れましたが……4勝目、おめでとうございます!」
リールベルトさんはつい先週に試合しており、その際には見事に『周』を実戦運用して勝利をもぎ取っていた。対戦相手がいきなり「戦車すらオシャカにするスーパーバズーカ砲だぜ!!」とか言って発射した時には流石に重火器は反則でしょと思ったものだが……どうやらあれは具現化された兵器らしく、少なくとも審判は何も言わなかった。
あんなものが手ブラの状態から出現するならこの世界でテロを防ぐのは不可能なんじゃないか? と、この世界のセキュリティ事情が心配になるが、念能力者の絶対数はそう多くはないのできっと大丈夫なのだろう……。
あわや即死かと思われたリールベルトさんだが、見事な鞭捌きで弾頭を弾き返してしまうあたり、本当にレベルが高い闘士なのだとまたも感心させられたものである。
お相手はどうやら1日1発の制約でもあるのかそれで弾切れ。悲鳴を上げて逃げ帰り、そのままフェードアウトしてしまった。普通に強い能力だと思うので今後は頑張って欲しい。……間違っても
私がちゃんと試合を観ていたと知って安心? したのかリールベルトさんも機嫌が良くなってくれたようだ。ヨシヨシ……流石に一度構築したコネを手放す程、私は怠惰ではないのである。
……腹黒とか言わないでね?
むしろ真面目と褒めてほしい。
明日、ハンター試験を受けに天空闘技場を離れる旨を伝えると少し寂しそうであったが、連絡先は交換してある。いつか力を貸して欲しいとも伝えているので、何も今生の別れでもないですよと言ってから、ここぞとばかりにプレゼントを一つ手渡す。
「なんだこれ……服……? それも一体型のコートか?」
「はい! それは絶縁性のある繊維で編まれてましてですね……もし仮に万が一、鞭を奪われたり逆利用されたとしても、電流を少しは軽減出来るかと思います。鞭を振るう邪魔なら腕の部分は裁断しても勿論良いですし……使えるかなって思ったのですが……どうでしょうか?」
────どうやら喜んで貰えたようである。
随分と浮かれているのか、私の
どこからか生暖かい視線を感じたが、きっと気のせいだろう。私の行動には何ら疚しい要素は無いのだから……
(あっなんか氷雨とラナから『『見損なったよクー子……』』とか言われた気がした! 絶対言われた!!)
▽ ▽ ▽
「あっあっあっあっ」
「ええと……大丈夫?」
次に会いに行ったのは私の専属? 実況。いつもの滑舌は何処へやら……脳に針を刺されて弄られているような反応しか返ってこない。身体は小刻みに震えて時折びくんっと跳ねるので、どちらかというと心配よりも怖さが勝つ。
「キュ……クーデリア・リーフィシュしゃま……?」
「クーデリア・リーフィスね」
「おおおおお慕い申してまままま」
……この調子である。
「ええっと……そのままで良いから聞いて欲しいのだけど、
私は明日、この天空闘技場を出て行くわ」
「はへぇ?」
その後はあまり会話になりそうに無かったので、一方的に要件だけを伝える。想像していたお別れと全然違ったが……こればかりは仕方がない。きっと仕事の時だけスイッチが入るタイプの子なのだろう。
「私のこと推しって言ってたから…最後にこれだけ渡しておくね。
一応、世話になったと思ってるし…。」
「あっ……ありがとう御座いましゅ!! あ……あのっ! クーデリアさんは女性なのに強くて、
彼女に渡したのは小さい華の意匠がついたヘアピン。どうにも飾りっ気が無いのが惜しい子だと思ったので、お節介ながらもプレゼントだ。喜んで受け取ってくれればそれでヨシ。お節介だと怒るようなら、散々な異名を付けてくれたことへのお返しということにすれば良い……。と思ってはいたがどうやら前者のようで、私としても少し嬉しい。
「クーデリアさんのこと、これからは『紫華の付与師』と広めますね!!」
(今更広められてもなあ……)
いやでも最後に持ち直してくれて良かった……。最後まで『あっあっあっ』だったら、いつか豚っぽい魔物に包丁で叩き殺されるんじゃないかと心配したものだ。
──クーデリアとヒソカが去って数日後。
とある会場の一幕。
「映えある200階の割に盛り上がりが足りない……! そう思いませんか皆さん!! そりゃあそうでしょうよ!! 今の200階にはピエロがいねえ、孤高に虎咬のナルシもいねえ……そしてあの、闘技場始まって以来の伝説の試合を残した『紫華の付与師』!! 私の天上に至る程に素晴らしい実況を褒め称え! お揃い(ということに勝手にしてる)の髪飾りを賜れた、あのクーデリア様までご不在と来たもんだ!!」
「どうせ残ってるのはモブと噛ませばっかってか!? それは違うと見せてやれ!! 現在『4勝2敗』! 戦車もオシャカのバズーカも効かねえ! 無敵の鞭捌きを見せてやれ! リィィーーールベルトォォオオオ!!」
「あっ対戦相手はモブなんで、審判さーん、始めてくださーい」
▽ ▽ ▽
さて…最後はこの子達である。
私の前には木箱に入った三匹のマウス…それも唯のマウスじゃない。『念』に目覚めたマウスだ。今ではすっかり『纏』も24時間維持出来ている末恐ろしい存在だ。実のところ、この子達はリールベルトさんに押し付け…もとい譲渡しようかとも考えていたのだが…ついこの前に私が開発したとある『発』により、そうもいかなくなったという経緯がある。
正確には必要なのは一匹だけなのであるが…残りの二匹がその一匹の『所有物』であると主張するため、止む無くの多頭飼いを余儀なくされた。…主張も何も意思疎通が取れるのか? と思うかもしれないが、まさしくそれが私の『発』だ。
水を溜めたコップの上に葉っぱを置き、それを挟むように両手で囲んで『練』をすることで自身の系統を判別する水見式…それにより判明した私の系統は、操作系。魔法無しでも水の上の葉っぱがくるくると舞うといのは、どうにも不思議な感覚だった。念のため、『念』を付与した状態でも試したが結果は変わらず、今度は葉っぱがコップから飛び出て、私を中心に周回を始めたため、当然操作系だ。
その結果を受け、私は己の使命を達成するための一つの『発』を作ったのだ。この能力があれば、きっと元の世界に帰った後、世界が抱える問題を解決するための糸口となると、私はそう確信している。その名も――
『
少なくとも今は、小動物と会話する程度の
ウボォーにバズーカ打ち込んだ人は0.01%くらいの確率で具現化系の能力者だと思ってます。つまり99.99%一般マフィアです。そもそも素手で200階まで来れないです。