評価・感想本当に嬉しいです。
感想はキャパオーバーしない限りは全返ししてるのでドウゾヨロシク。
紫華の付与師の方は読者の波がそろそろ一段落ですが、全話読了者が30人くらいは増えた気がするので私は満足です。多分トータルで100人くらい?(途中まで+最終話近辺とかを含めば数倍増えます)
地下道を抜けた先…そこは湿地帯でした。
何でだよ!? と叫びたくもなるがまずは落ち着こう。もしかしたらここが二次試験の会場なのかもしれない。
後続組もぞろぞろと到着するが、皆かなり消耗している…汗一つかいていないのはそれこそ試験官とヒソカとキルア…あとはあの針男くらいのものだろう。
暫くすると地下道のシャッターが閉められ、這いつくばりながらもあと少しでゴールの人が「あっ」と言い残してフェードアウトする。…帰りはまた80km以上あるが、歩いて戻るのだろうか?
「この湿原の生物はあらゆる方法で獲物をあざむき捕食しようとします。標的をだまして食い物にする生物達の生態系……詐欺師の塒とよばれるゆえんです。」
そのまま流れるように試験官の説明が進むが…結局最後まで一次試験終了のお知らせが無い…。希望的観測だったとはいえ、飼ってるマウスに予想が負けてしまったことに内心凹む。
(でも説明を聞く限り小賢しい系の魔物が多いタイプのダンジョンっぽいというか何というか…表向きの経歴として採用していた『危険地域での魔獣討伐』とかは、こういう場所のことを指すのかな?)
そんな風に考えていると、急に傷だらけの人間が現れ、何やら一方的に人面猿とやらの説明をした後、「そいつは偽物で、俺が本物の試験官だ!」と主張を始めた。偽物の試験官があの距離を汗一つかかずに踏破出来るとは思えないし、仮にそうだとしても騙すまでの工程に無駄があり過ぎる。それに何よりこいつは『纏』をしていない。なので間違いなく、主張している側が偽物である。
(うーん…『纏』での見分けは反則にしても、中堅どころの青位探索者以上なら、殆ど引っ掛からないんじゃないかなあ…。騙したいならもっと状況や背景を考えて欲しい。色々とお粗末だけど擬態自体は上手いから、探索者の初心者講習にはちょうどいいってレベルかな?)
私がそんな低レベルな茶番を冷めた目で眺めていると、ヒソカが数枚のカードを投擲してさっくりと偽物を殺してしまう。死んだふりをしていた人面猿も逃がさず一撃…いや二撃か、見事なお手前である。
「試験官というのは審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠ 我々が目指すハンターの端くれとあろう者があの程度の攻撃を防げないわけがない♣ 死体を見れば分かるだろうけど、そいつは偽物だよ♦」
反論の余地も無い見事な論破である…と私は思ったのだが、どうにも周囲の反応は芳しくない。というより本物の試験官であろうサトツさんをまだ疑っている人間が一定数いるのである。
珍しく
まだ出会って2か月も経っていないが、それでも彼の人となりは理解しているつもりだ。もしかすると
仮に的外れだったとしても、他ならぬ私がそう感じたのであればそれが真実だ。…ならばここは弟子として、私が一肌脱ぐべき場面であろう。
▽ ▽ ▽
◇サトツ視点
(ふむ…どうしたものでしょうか…)
一次試験の後半戦として、ヌメーレ湿原の説明をしていた矢先での人面猿による詐欺の実演。チュートリアルにはちょうど良いと静観している間に、受験者の一人…非常に強力な念能力者と目していた44番によって撃退されてしまった。
それ自体は一向に構わないし、行動自体はむしろ賞賛に値する。しかしこちらの対処が遅れたことにより、私自身の信頼性が落ちてしまったことは否めない。勿論このまま試験を強行しても良いのだが、二次試験会場までは非常に霧が濃い領域を横断しなくてはならないため、こちらの想定を大幅に超える失格者を出してしまうかもしれない。
(とはいえ、それを含めての試験です。疑心暗鬼に陥らず、正しい情報を選び取るのもまたハンターの素養として必須のもの。であればこのまま…)
「あーあーすみません、サトツ試験官。一つお聞きしたいことがあります。」
試験を強行しようと思った矢先、一人の受験生から声が掛かる。43番…前半戦でほぼ継続して先頭集団にいた女性ですね。『纏』も覚えているようですし、彼女もまた受験生の中でかなりの上澄みでしょう。…肩のマウスも『纏』をしてるように見えますが…何らかの能力で操作中ということでしょうか?
「はい。構いませんよ。」
「ありがとう御座います。見た限り、ここヌメーレ湿原は地面がぬかるんで走り辛く、今いる場所こそ晴れていますがこの先は濃霧が予想されます。お聞きしたいのは、もし私が試験官に何らかの『支援』をすることで、脱落者を減らすような行動をしたとして、それをお咎めなさいますか?」
彼女の言葉を皮切りにまたも受験生がざわつくが、一部は彼女の意図に気付いたのか、私の反応を窺うような表情を見せている。成程、もし仮に私も『偽物』であれば、想定外の『支援』には確実に警戒する。その反応での真贋を見分けやすくしつつ、仮に『本物』である場合は、支援の許可を得ることで試験を進めやすくしようとしているのだろう。
(恐らく彼女は私が『本物』であることは確信している…どちらに転んでも問題のない、ただの確認作業なのでしょう。まあ私も未知を求めるハンターの端くれ、少なくとも彼女の目からは悪意を感じませんし、折角ですしその『支援』とやらを試してみましょうか)
「咎めません…が、悪意が認められた場合はその時点で失格とします。それでもよろしければどうぞご自由に。」
「分かりました! では失礼しますね!」
言うが早いか彼女は杖を私に向ける。するとどうだろうか、私の周囲に暖かい風が循環し、薄く広がっていた霧が晴れる。これであれば確かに、酷い濃霧の中でも私を見失う受験生は格段に減るでしょう。
(素晴らしい能力ですが…己の能力を軽々と披露するのは頂けませんね。念能力者としては失格と言いたいところです。ただその辺りは本来『裏』の試験で指導すべきところ。私が言及すべきことではありませんね…唯まあ、多少のお節介くらいは良いでしょう。)
「…確かに悪意は認められません。事前の許諾に従い、この状態にて試験を続行とします。しかし43番。これ以降の試験官への『支援』は一次試験以降も含めて禁止とします。理由は一受験者による過度な支援が、試験による厳正な選別の妨害にあたるとも解釈できるためです。よろしいですか?」
釘を刺された彼女はそれを当然のこととして受け止め、大人しく引き下がった。
(しかしこれはこれで困りました。恐らく想定より遥かに多くの受験生が一次試験を突破することになる…私はこの後、メンチさんに怒られてしまうでしょうね。)
▽ ▽ ▽
正直、ここから先はダイジェストで良いと思う。濃霧を前提とした狩の場であることは分かるが、地面に擬態した大きなカエルだったり、人に似た大きな苺で誘導して捕食する巨大な亀だったり、嘘をついて絶壁に誘導するカラスだったり…危険生物は沢山いたが、まあ詐欺師の塒ならこんなものだろう。
(本来であれば先頭の数人以外、試験官の視認は難しい。つまり後方に甘んじた時点で試験官から逸れてしまうリスクが上がる。運にも左右される試験だねこれは…)
(それを即座に判断して、行動に移すだけの思考の瞬発力と、体力的な余力を同時に測っているのであろうよ)
…ロードの言い分には概ね同意する。それにしても、この子の中身は本当にマウスなのだろうか? 少なくとも『念』を付与する前は特に他と変わらなかった気がするのだが…謎である。せっせとポケットに戻って行った、他の二匹との差が余りにも大きすぎるように感じる。
因みに私とキルアとゴン君は、試験官のすぐ後ろを走っている。ただ『風』の付与は試験官に継続するだけで手一杯、故に後半戦からは自力でのマラソン…つまり私の体力は今、ゴリゴリ削られている真っ最中である。
(自分でやっといてなんだけど…やらなきゃ良かった…!)
唯でさえ足場が悪くて走りにくいのに、並走してる2人からは質問攻めだ。こうした足場はゆっくり『土』を付与しながら固めて進むのが私の知るセオリーであるのだが…状況がそれを許してくれない。
息も絶え絶えになりながらも『これが!『紫華の付与師』の、由縁だよ! 詳細は、悪いけど、企業秘密!』と搾り出すことでなんとか追求は免れたが、多分二人には私の『支援』とやらが、それだけ消耗の激しいものなのだと勘違いされたことだろう。
(今まで殆ど疲弊してなかったように見えた人が、急に疲れだしたら、そりゃそう思うよね?)
(実際には純粋な体力切れなのだがな)
騙された人達の悲鳴は散発的には聞こえてくるが、少なくとも大パニックというような状況にはなっていない。絶対の指標である試験官の周りだけ、明確に霧が晴れているのだから当然である。余りにも距離が離れてしまうとそれも追えなくなるが…流石にそれは己の実力不足ということで諦めてもらう他ないだろう。ハンター試験とはそういうものだと、ナビゲーターにも試験官にも説明されている。
──湿原を走り始めて1時間弱。
ついに私は二次試験会場と思しき場所まで辿り着き、その直後にサトツさんの衣服への付与を打ち切る。
(もう駄目…体力0…。魔力は…残り3割? さ…流石にこれでもう体力使うような試験は無いよね!?)
どうかそうであって欲しいと願いながらも、気持ち乾いた地面に座り込む。何やら近くの建物の中からはグルオーンだのグゴゴゴゴだのの唸り声のような音が響いている。体力の次は魔獣相手に戦闘能力テストだろうか?
(まあ…それなら心配は無いかな…少しくらいは休めそうだし)
どうやら休憩時間はそれなりに用意されているようで、ある程度回復してから2次試験に挑むことが出来るだろう。
──安心して休んでいると、ゴン君とキルアが金髪の中性的な男性と、サングラスを掛けた黒髪の男性を連れてきた。そういえばヌメーレ湿原で走り始めて直ぐ、ゴン君が前で走った方が安全だと声を掛けていた筈だ。恐らくその二人なのだろう。確かクラピカとレオリオだったかな?
…時を同じくしてヒソカも私を発見。非常に良い笑顔で近付いてくるが、それとは対照的に『お前は来るな』と引き攣っていく新顔の二人。
(今日は二次試験までで終わりにしてくれると助かるなあ…)
私は疲れを残した顔を何とか取り繕いながら、師匠と知り合い、そして新たな知り合い候補に応対するのであった。
▽ ▽ ▽
一次試験合格者 226名。
■原作の時系列、結構適当疑惑?
最後の試験参加者のゴン達が定食屋についたのは外が明るいため早朝〜夕方前の時刻。そこから6時間以上走ってヌメーレ湿原、更にそこから走って二次試験会場到着したのが11時50分頃(ゴン達は遅れたので試験官は40分には到着?)。二次試験開始が正午です。
つまり逆算すると大体朝3〜5時くらいに試験スタートになりますが、ザバン市の人通りの多さやお店の客入り具合を考えるとそこまでの早朝とするにはちょっと無理がある。
仮に遅めに15時頃入店→16時スタートと仮定した場合ではヌメーレ湿原に辿り着くのは22時過ぎと夜中の筈ですが、描写的に明らかに朝か昼なのでそっちは完全に矛盾。
一応本作では4時30分に試験スタート→11時前にヌメーレ湿原到着→11時40分頃に二次試験会場到着にしていますが、朝4時台には多くの人が出歩くザバン市、そしてあれ程にお客が入る定食屋とは一体…。24時間営業?
クー子達に至っては深夜2時頃の来店である…うーんこれは怪しい定食屋。