普段ここすき機能は使いませんが、投稿者としてはしっかり見てます。
※前半はクロス要素多めです。
起きたら毛布が掛かっていた…
もしや
(お早うロード…今何時か分かる?)
(我を時計代わりに使うな。到着予定時刻とだけ言っておく…まだ着いておらんようだがな)
(ありがとう…8時ね。ちょっと遅れてるのかな? 因みにこの毛布誰が掛けてくれたのか分かる? お礼言わないと…。)
(では、存分に我に感謝するのだ。礼はそうさな…汝の時間で良い。)
…どうやら毛布を用意したのはロードらしい。俄かには信じられないが、ロードであればまあ納得である。『纏』を覚えてるから毛布を運ぶくらいのことも出来るだろう。実際に運んだのは配下扱いのチュー助達だと思うけどね。それにしても私の時間…つまり何か話がしたいのだろう。私としてもそろそろ腹を割っての話がしたかったところなので、助かるタイミングでの申し出だ。
(少なくとも目的地に着くまでなら付き合うよ。ロードは何がしたいの?)
(何がしたい…か。ふむ、端的に言うなら
(あれっ? それはロードに言ったっけ? いや…『
(漏れてはおらん。我が最初から知っていただけだ)
薄々どころか割とはっきり、唯のマウスではないと思っていたが…どうやら本当に唯のマウスではないらしい。
(汝の疑問に先に答えようか、まずこの身体…器というべきか…は、確かにこの世界に存在するマウスのものだ。人に比べあまりにも小さく、そしてあまりにも脆い脆弱な器だ。しかして我自身は本来、汝の世界側の存在である。)
(…それはいつから?)
予想は出来ているが…そこは確定しておきたい。
(汝が『念』とやらを付与した時だ。正確には3匹目に付与した時に初めて接続が成功した。世界の壁を越えた干渉には何らかの切っ掛けが必要であったが、汝…というより我だな。我の世界の力である『付与』と、この世界の力である『念』が紐づいたことが、その切っ掛け足り得たということだ。)
やはりあの時のタイミングか…マウスが『纏』を覚えて驚いたが、中身が別存在であれば納得出来る。
(貴方は一体何者? 器が必要だったり、異世界に干渉が出来たり…もしかして…)
(まあ待て。普段であればそのように自称もしようが、少なくともこの器には相応しくない。少しでも哀れに思うなら、言葉にしないでくれると助かる。そう、今の我はただの『傍観者』だ。)
(分かりました…言葉にはしません。では…)
(ああ待て、それもいらん。我は『ロード・スペクティア・ノルディスハーン』それ以上でも以下でもない。故に、汝の寝起き一番の態度で構わぬ。)
そうは言ってもなあ…言葉にはしないけど…それが許されるような相手じゃないような気がするんだよなあ…まあ、ここは大人しく従っておこう。
(…分かったよロード。つまり、今はちょっと念が使えて賢いだけの、一般マウスってことで合ってる?)
(合っておる。因みに今の我は本当に弱いぞ? 昨日汝が軽く仕留めた豚には確実に負ける)
(そのサイズ差で勝てたら逆に怖いよ)
多分この子的には大問題なんだろう…本来は私では遠く及ばないような存在なんだろうしね。
(そろそろ話を戻そうか…傍観者を名乗ってるのに支援がしたいとか言い出す時点でちょっと矛盾してるし、あと具体的に何を支援してくれるのかを聞きたいな。)
(傍観者とは唯の立場よ。傍観することと、何もせぬことは同義ではない。傍観者が観測対象へ手を貸したところで、それは傍観者でなくなる理由にはならぬ。)
(結構な屁理屈な気がするけど…まあいいや。じゃあ支援については?)
(そちらについては実はまだ時間が掛かる…。我の方で能力を開発中なのだが、如何せんこの器では進みが遅い…しかし完成すれば非常に有用な能力だ。具体的には、汝を元の世界に帰すだけの力を持つものの場所が分かるようになる。)
(おお!それは凄い!もしかして今後の情報収集は不要!?)
(あくまで場所が分かるだけだ。そこに行くための、入手するための、交渉するための、乗り越えるための条件については何も分からん)
(あっ成程…それもそうか)
(話は以上だ。今日の食事にはチーズを3切れ足しておくように。)
ロードは言うだけ言って、いつものポケットに戻って行った。結局見返り要求するんかい!と言いたい気持ちが半分。見返り安っ!と思う気持ちが半分。
本日の朝は、少々のモヤモヤを胸中に燻らせるところから始まった。
▽ ▽ ▽
飛行船から降ろされた場所は…高い高い円柱型の塔の屋上だった。周囲には何もない不思議な建造物である。暫くするといつもの豆の人が三次試験の説明をしてくれた。
「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります。さて、試験の内容ですが、試験官の伝言です。『生きて下まで降りてくること 制限時間は72時間』」
それだけを言い残して、飛行船は去って行った。
(三次試験の参加者は42名かな? ここまで減って来ると数えることも出来ちゃうね)
あれ…二次試験合格者って44名じゃなかったっけ? とも思うが記憶違いかもしれないし、これ以上は危険だと辞退したかもしれないので、気にしないことにする。まずはこのトリックタワーとやらの観察からだ。私の場合は最悪、落下してから浮けばいいので、かなり楽な試験になる気がするぞ?
「そういえばネテロ会長って飛行船から落下して普通に着地してましたよね? 師匠も出来たりします?」
「うーん…純粋なオーラの防御だけでは難しいかも♦ ただ僕の場合、『
「成程確かに! じゃあもう早速飛び降りますか? 傍から見れば師弟心中に見えるかもしれませんが…最大72時間の試験なんて絶対面倒ですし…私達なら外壁くらい壊せるので、もし仮に内部への侵入経路が閉ざされている場合であっても、何とでもなりますよね?」
「…君って結構、突飛な発想するよね♣」
使えるものは何でも使うし、やれることは何でもやってみるのが探索者の必携マインドである。こうして褒められるのはこそばゆい気分になって悪くないね。二人で飛び降りようかなーどうしようかなーと外壁沿いで歓談していると、キルアとゴン君が縁の近くで外壁の何かを目で追っているのを見かけた。近づいていくと何やら話をしているようだ。
「うわすげ~」
「もうあんなに降りてる」
「何が降りてるの?」
「うおっ! びっくりした…てなんだクー子か」
「ヒソカもいるんだね。外壁を伝って降りてる人がいるんだよ」
急に話しかけたからか吃驚させてしまったが、下を覗くと成程確かに、既に数十メートルは外壁を伝って降りている一人の受験者がいた。かなりアナログではあるが、一流のロッククライマーであればこういったことも可能だろうと思って見ていると、ゴン君が何かに気付いたようだ。ゴン君が指差す先には複数の巨大な怪鳥…恐らくこのままでは彼は捕食されてしまうだろう。
「師匠、すみませんが私は先に行きますね!ルートはそちらの自由に選択してください!下で待ってますから!!」
反射的にキルアが制止しようとしてくれるが私は止まらない。杖を強く握って断崖絶壁の塔から飛び降り、重力に従い自由落下する。
「クー子!!」
「お姉さん!?」
すわ投身自殺かと思われたかもしれないが…その辺はヒソカにフォローしてもらおう。一応『下で待ってる』と言ったからには、少なくとも自殺ではないと理解してくれる筈だ。
まだ塔のてっぺんからそこまでの距離が無かったこともあり、怪鳥の群れが男性に襲い掛かるより前には男性の位置に到達。衣服に『風』を付与して浮遊…そして杖には『斬』を付与して怪鳥の群れを迎え撃つ。外壁に掴まっている男性は驚愕の表情で固まっているが…流石にそちらに構っている余裕はない。
(浮遊の制御はまだちょっと大変だからね…とはいえ、この程度の相手に後れを取る気はサラサラない!)
所詮は碌に動けない獲物を貪ることしか能のない鳥類である。全部で5匹…一番近くの1匹が、大きな口を開けて私に噛みつこうとするが、私は避けない。上段から振りかぶった杖が、その顔面を真っ二つに断ち割り絶命させる。
(あと4匹)
仲間があっさりと殺されて激高する個体が2匹、逃げようか迷ってるのが1匹、どっちつかずが1匹か…ならば。
私は数秒だけ『練』を発動。格段に上昇した脚力で激高した1匹の身体を蹴り上げて遠くまで吹き飛ばす。その隙に襲ってきたもう一匹も、杖の袈裟斬りで一撃で屠る。これで残りは2匹、特に苦戦もなく、矢継ぎ早に3匹を処分してみせた。
(…同時に襲われるとちょっと危なかったからね。蹴って倒せるならそちらの方が安全だし。)
残った2匹は私に恐れを為したのか、一目散に逃げ出していく。まあ実力差は歴然なので、野生としては当然の判断である。ふう…と一息吐いてから、壁に掴まったまま固まっていた男性…86番の受験者に声を掛ける。良かった…こちらの戦闘に驚いて落下でもされてたら目覚めが悪かった。
「大丈夫ですか? 外壁伝いは危険なので、上まで戻った方が良いですよ。」
「あっああ…すまない…。も、もしやとは思ったが…君は…いや貴方様は『紫華の付与師』?」
ん? と思ったが、考えてみれば私は天空闘技場の200階で名を知らしめた現役(公式的には試合のマッチング待ち扱い)の闘士である。最近は追っていないが、随分と世話になった情報まとめサイトにも、私の情報はまとめられているであろう。ハンター試験受験者の中にそれを知っている人がいても、なんらおかしくはない。
「あっはい。そうですけど…兎に角これ以上は面倒見切れませんし、上まで戻ってくれますか? 私はこのまま下に降りるので…お話しがしたいならあなたも合格してください。」
ここは風も強いし、安定しているとはいえ浮遊の制御も楽ではない。少し薄情なやり取りになってしまったが…既に一度助けているのだ。私のファン?なのかもしれないが、あまり特別扱いはしていられない。
「わ…分かった!直ぐに戻ろう。ただ、俺の感謝は伝えておくぞ!」
そう言い残してからはスッスッと淀みなく上に登り直していく。折角なので上を見上げてみると、ゴン君がパチパチと拍手をくれて、ヒソカはこちらに手を振ってくれていた。キルアは茫然と立ち尽くしているように見えるが…流石に遠くて表情までは読み取れない。まあ私が無事であることはきっちり伝わったので良しとしよう。一応こちらも手を振って応じておく。
(また変な魔獣が来ても嫌だし…さっさと降りようか)
『風』の付与を弱めることで、ほぼ垂直に落下していく私。地上に辿り着くまでに、そう長い時間は掛からなかった。
二次創作では最大手のメジャールート
トリックタワー落下ルートでのクリアです。
クー子の性格的に基本的にはこうなります。
そしてヒソカもまた、その気なら落下ルートいけるんじゃない?とは思ってます。ゴムの弾力とガムの粘着性あればいくらでも衝撃緩和出来ますしね。
原作のヒソカ的には、やっと少しは楽しめそうな試験だったから普通にクリアを選択したのだと思ってます。