エッチな回想には♥マークがつくのは常識
結局一話丸ごと入浴回です。
設定開示回とも言う
水場に到着した私はまず地面に『土』を付与して長方形型の穴に整形する。今でこそ簡単にやっているが、実はこの域に到達したのはこの世界への転移直前の時期だ。最終決戦ではラナ以外あまり役には立たなかったが、あれがあったからこそ、皆の向上心に火が付いたのだと思う。私達はいつだって成長期なのだ。
「水場から水を流して~と」
飲み水にも出来そうな綺麗な水だ。お風呂の水にするには十分過ぎるくらいだろう。水位が一定量貯まるまでに、先にやっておくことがある。私は以前から目を付けていた大岩の元にまで足を運び、緩めに『壊』を付与した杖のフルスイングで岩を砕く。その際に結構な音がしてしまったがそこは気にしない。結構広い島だし、ギタラクルとの戦闘と比べればこの程度の音は可愛いものだ。
砕いた岩の破片の中から大きめの石をいくつか選定し、水場まで運んでいく。次にやることは石への『火』の付与。……要は焼き石である。これを水に沈めれば、あっという間にお湯の完成だ。適温になったら付与を消せば良いだけなので、実際の焼き石よりも扱いが楽である。
「はいお風呂場完成~♪ 褒めても良いんだよ?」
(やけに上機嫌よな……遮蔽物は要らぬのか?)
「あっそれもそうだね……でもあんまり大きいの作るのも大変だし……これでいいや」
杖に『闇』を付与してさっと風呂場周りを一周する。闇夜よりも更に濃いカーテンが敷かれ、外部からは何か異様に暗い空間があるようにだけ見えるだろう。それはそれで不自然ではあるので、普段はあまり使わないが……こういう時には効果覿面である。
「こんどこそ完成っと」
ちなみにここは既に植物ネットワークの範囲内。初日から時間も経過し、今ではそれなりの範囲となっている。これで誰か近付いて来ても警告を出してくれるから安心である。
(今は私以外は近くに1人だけ……まあ間違いなくこの前の監視の人だろうから、それだけは除外して問題ないかな。お風呂に入るってことは肌を見られるってことだけど……まあ向こうだって仕事でやっている訳で、彼か彼女かは知らないけども……仮に彼だったとしても役得で済ませてあげるだけの度量が私にも存在する。……別に見せびらかすつもりはないし、こうして遮蔽物も作ったから、簡単には覗けないと思うけどね)
杖以外の装備を外して先に靴を脱いだりしている間に、どうやらお湯も適温となったようだ。こうして外で裸になるのはどうにも少し抵抗があるが、元の世界にも露天風呂自体は存在した。残念ながら温泉という訳ではないが、天然の風呂場だと思えば少し開放的な気分になってきた。
最初に汗ばんだ上着を脱いだ私は、残った衣服へと手を掛ける。
ベルトを緩めてスカートをすとんと落とした後、ピッチリとした長めの黒の靴下を足から外す。
細身ながらも引き締まった肉体が露わとなり、それとは対照的に膨らんだ胸とヒップのラインがどこか煽情的にその存在を主張する。上下ともに下着姿となった私の素肌に、夜風がさっと撫でつけた。
「……ん」
つい先ほどの戦闘でまだ火照りが残っていた肌には、その冷たさが心地良い。けれど同時に、服という薄い隔たりを失ったことで、素肌が外気に直接触れていることを強く意識させられた。
下半身の下着へ手を伸ばす前に、まず上半身のそれを外すことにした。
背中に回した手でホックに指をかけ、ゆっくりと外す。支えを失った布が、胸のふくらみに沿って緩やかに落ちていく。同性の
次に、下半身を覆っていた布地の端を指先で摘まむ。
するりとゆっくりと下へ引いていく。汗で少し肌に張り付いていた布が離れ、腰から脚へと滑り落ちていく。片足を抜き、もう片方も抜けば、それまで身を包んでいたものがすべてなくなった。
「……はぁ」
緊急時に備えて杖こそ手放さないが、その状態でも無意識に下腹部と胸のあたりを腕で隠してしまう。生まれたままの姿になった私の素肌を撫でつける風が、不思議と冷たく、こそばゆく感じられた。
(これも露天風呂の醍醐味よね)
腕だけではとても隠しきれない、均整の取れた肢体を晒しながら歩みを進め、足の先からゆっくりと湯の中へと踏み入れる。
石で熱して作った湯の熱が、足首から腿、そして腰へとゆっくりと上がってくる。ちょうどいい温度だ。肌がじわっと包まれる感覚に、思わず息を吐き出した。
腰まで浸かり、そっと膝を抱えるようにして座る。水面が穏やかに揺れ、湯気が夜の闇に溶けていった。
▽ ▽ ▽
──暫く浸かって身体が温まった後
膝を抱えている状態から姿勢を崩し、胸部に位置する女性の象徴を半分ほど湯船に浮かべながら、クーデリアはぼんやりと物思いに耽っていた。とはいえその大半は「いい湯だなあ~」とか「やっぱりまだラナに大きさ負けるよな~、でもこれくらいが多分ベストだよね~」とかの、別に重要でもない些事である。
裸の状態で杖だけ握り、ポンポンと肩を叩きながらもゆっくりと湯船に浸かり、リラックスする。ここ暫く忘れていた命の洗濯の心地よさを思い出しながらも……今度はもうちょっと大切なことに意識を割く。
(ここに来てから早三か月……色々あったけど……元の世界の皆はどうしているだろうか?)
たしか失踪から7年で死亡扱いであるが、危険な仕事である探索者に限っては3年に短縮されている。どんなに遅くともそれ迄には帰りたいなあとは考えているが、先行きはまだまだ不透明だ。ハンター試験に合格出来ればライセンスを利用することで、普通では入手出来ない情報、入ることが出来ない場所、取ることができないアポイント等……一歩進んだ調査が可能となる。ロードが作成中らしい『私を元の世界に帰す力をもつもの』の場所が分かる能力がいつ完成するかは分からないが、それを含めて利用すれば、私の帰還はきっと現実的なものとなるだろう。
(この世界でも色んな人と知り合った。リールベルトさんに師匠のヒソカ、キルアにゴン君、クラピカさんとレオリオさん、メンチ試験官にも目を掛けてもらえた……少なくともヒソカとゴン君は私への協力を約束してくれているし、もし上手くいけばプロハンターが三人だ。そのマンパワーの高さを活かせば、大概の願いは叶うはず)
座り直して大きく伸びをすることで、臍から上の身体がすっと外気に晒される。もし仮にここに出歯亀がいれば、チャンスとばかりに色めき立つかもしれないが……勿論そんな輩はいないので、こうして安心して羽を伸ばせるものである。いまこの湯船にいるのは私と、その小さい身体で器用に泳ぎ回るロードだけ。疲れてくると、私の肩に乗せろとせがむその愛らしい姿に苦笑しながらも、身体と精神の疲れをじっとりと解きほぐしていき、この至福の時間を堪能する。
「元の世界に帰ったら……か。仮にあと1年で帰れるとして、そしたらここの皆とはお別れかー」
現状、付き合いが濃いとまで言えるのは精々ヒソカくらいのものだが、1年後にどうかまでは分からない。少なくともゴン君は濃い付き合いになりそうだし、ゴン君と仲がいいキルアとも話す機会が増えそうだ。他の人たちについては何とも言えないが……別れるのが惜しいと感じる程の友情を育めるのが一番良いなと結論する。
「逆に1年も失踪してた人間が帰ってきたら……皆大騒ぎだよね?」
一応これでも世界を救った英雄の一人なのだ。社会に与えた影響は大きいだろう……。もしかすると緘口令が敷かれているかもしれないので、一般の人からは「急に見なくなったあの凄腕付与師」くらいにしか思われてないかもしれないが……パーティの仲間は皆大変だっただろう。
(エルド、トゥリオ、リディア、ラナ、氷雨、オーリス、ヴァルク……『光焼く翼』は私を含めた8人のパーティ。最近は全員が揃う機会も減っていたけど、王宮での飲み会は楽しかったなあ……その後にまた集まった時に私は『理素結晶』によって一人この世界に飛ばされて来ちゃった訳だけど……)
転移事故の可能性が無い訳ではないが……『理素結晶』のことだ、きっと私の願いを叶えたのだろう。あれは理の欠片で……きっと
(ねえ、ロード。私が作ったそのための発……『
私を元の世界に帰す支援をすると宣うマウス、ロードであれば……何かしらの答えをくれるだろうかと期待する。肩に飽きたのか頭に登ってきた白鼠は、いつもの調子で返答をくれた。
(可能性はある。なにせ汝の仲間には代弁者とはいえ
(ありがとう……ロードがそう言うなら大丈夫そうだね)
(買い被るでない。たかが一つの器の所感に過ぎぬ…他の器に聞けば、違う所感が返ってくるやもしれん)
他の器とやらは元の世界にもいるらしいが、私は会ったことがないそうだ。ロードは「帰ったら紹介してやる」と偉そうに豪語したかと思えば、湯船への飛び込みに失敗。そのまま溺れそうになって情けない姿を晒していた…本当に大丈夫なのかなこのペット…。
▽ ▽ ▽
その後も髪の手入れをしたりしている内に、それなりの時間が経過していた。
途中から温度の調整をサボっていたのでお湯はすっかりぬるくなっていたが、熱い湯でのぼせてしまうよりはよっぽどいい。ざばりと湯船から上がり、タオルで水気をふき取った後、持ち込んでいた新しい服に着替えなおす。
下着に足を通し、上を合わせる。靴下にベルトにスカート…そして上着と、慣れ親しんだ手つきで服を身に着ける。これにて心身ともにリフレッシュした、新生クーデリア・リーフィスの再誕である。
試験は残り4日…あとはプレート守り切れば良いだけで、私を狩るもの(ゴン君)と私に狩られるもの(ギタラクル)は両方対応済みだ。基本は隠密性に特化して改築した拠点に籠れば良いだけなので、難易度はそこまで高くないだろう。
(そういえばゴン君は単独で行動したいと言っていたっけ…どうせ最終日にプレートを貰わないと合格出来ないから、自分のプレートを預けようかと言われた時には流石に断ったけど…いくらなんでも私を信用し過ぎだ。いつか詐欺にあわないかが心配になる。)
危ない橋を渡ってでも確保して見せたこの9点分のプレートは絶対に守り抜こうと心に決めて、私は自分の拠点までの帰路についた。
構想段階ではイルミが死んだり(ヒソカが殺害)、ゴンが助けに来ずにレオリオが不合格したりと中々にカオスな展開でした。ゴンが来ないならポンズを発見出来ませんからね…