本作では魔法は《》、念は『』で区別してます。
キルアの《雷電天穿》だけは実際は念ですけど、魔法の再現なので魔法扱いです。
なんと一挙に60名の配下を手に入れてしまった私たち…彼らのカードを接収することで集まった指定ポケットカードは92種、ゲンスルーの指輪捜索の間に追加で集めた分で93種、見つかったゲンスルーの指輪分を合わせて94種と、最早殆どゴールが近い。同じく90種以上を集め、幾つかのカードを独占しているツェズゲラ組との最終決戦も間近だろう。
しかし私には、それより先にやらなければいけないことがある。
それは……
「追加で2億支払いますので、誰か『リスキーダイス』と『気まぐれ魔人』のコンボを試してくれませんか? 幾つか確認したいことがあるんです! それとは別にスタート地点での待機要員も何名か必要ですね。」
5%の失敗確率もなんのその。命の危機を乗り越えてか若干命知らずとなった元ハメ組は、「俺が俺が」と即座に複数人が立候補してくれた。
『リスキーダイス』の幸運補正はドリアスのスロットで一万分の一までは有効であることは既に確認済み。狙った願い1つを叶えられる確率は千分の一なので、十分余裕があるだろう。そして私が確認したいことは、主に以下の三つである。
①魔人の力で私を元の世界に帰すことは可能なのか?
もし仮にここでは不可能であっても、島の外であれば可能なのか?
②ランクSSカードの生成は可能か?仮に不可能な場合はどのランクまで生成出来るのか?
③特定の組を、対抗呪文があってもまとめて強制的に島の外に飛ばすようなことは可能か?
確認結果次第では今後の方針がガラリと変わる大切な確認事項ばかりである。『気まぐれ魔人』は1000個の願いの内、3個だけをランダムに叶えてくれる。その他の997個の願いについては面倒なので、小人に頑張って書き出してもらった。一応、どれが叶っても普通に嬉しいものばかりである。
選ばれた三人の勇士は運良く全員大吉を引き当て、これで無駄な犠牲を出さずに済んだ訳だが…大事なのは確認結果だ。ゲインされ、1000個の願いを聞き届けた気まぐれ魔人は、荘厳なようでどこか軽い調子の声でこちらに語り掛けてきた。
「お主らの願い…確かに聞き届けた!
それでは願いを叶えよう…まず1つ目の願い! ……うん!これで良いか!随分と変わった願いだな?」
まず叶った願いは①。
それについては魔人は悩ましい顔をしながらもポツポツと話し始めてくれた。
「まずお主が言った『元の世界』とやらが儂にはよく分からん。儂は人の願いを叶えるときは、願った本人のイメージを優先する。帰りたいのは願いを語った者ではなく、そこのお嬢の方とのことだが、その場合は最低でも『帰りたいと願う本人が願いを伝えることが必須』であるぞ?」
……ある程度想定していたことであるが、替え玉でのお願い受注は不可能なようだ。つまり私が帰れるかどうかは、私の『リスキーダイス』の出目に懸かっている。達成率95%とはやはりこのことだろう。
「そして儂にそれが可能かであるが……少なくとも
最後は少々怪しかったが……魔人本人がこうも言ってくれているのだ。信じてみても良いだろう。正直他の指定ポケットカードを見ても他に帰還が叶いそうなカードは無かったし、そもそも私は『理素結晶』という願望機擬きでこの世界に来たのだ。帰る時も同じく願望機に託すというのが最も自然である筈だ。
(我としても、恐らくはこれが正解と思うぞ? また『リスキーダイス』については全てのダイスが繋がっていて、大きく一個として扱うのが定説のようであるが…外に持ち込んだダイスにまで適用されるかは未知数である。ただし失敗すれば幸運は無い…つまり元の世界への帰還は非常に厳しいものとなるであろうな…。)
(振り直した場合の挙動確認は流石に死人が出るから検証出来ないし…それが最後の勝負って訳だね。でもまあ、このゲームをクリアするまでの過程で既に5人にダイスを振らせたんだから、私も一回くらいはリスクを負わなきゃだね。一世一代最後の大勝負…今から緊張しちゃうかも。)
「これでよろしいかな? それでは2つ目の願い! ふむ…No.002『一坪の海岸線』を生成して欲しい。無理な場合はNo.051『手乗りドラゴン』。それも無理ならNo.086『挫折の弓』。
……これは随分と値踏みされている気がして心証が良くないな! しかし叶えよう! No.051『手乗りドラゴン』を受け取るが良い!」
詳しい説明は無かったが、ランクSの『気まぐれ魔人』と同等のランクSカードであれば、こうして叶えてくれるようだ。ランクSSについては「無理だ、その願いは私の力を超えている」というやつだね多分。『
最後のNo.000は99種コンプリート時のイベントでの入手が予想されているため、本当にクリアまであと一歩のところまで来ていると言える。
「では最後!3つ目の願いだが〜『ツェズゲラ、バリー、ロドリオット、ケスーを強制的にゲーム外に飛ばす』…………えぇ…それやるぅ? 本当にやっちゃうの? 出来るけどさぁ…お主ら本気?」
「本気なのでさっさとやっちゃってください。そもそも通常呪文の『
それこそ『挫折の弓』を大量コピーの上、追い駆けっこしながら『
ゲームから離脱するとその瞬間に指定ポケット以外のカードは消滅する仕様なので、呪文カードや指定カードを含む、フリーポケットに入れているカードは全て消滅する。しかも副次効果として、彼等がゲームを再開する場合の出現位置はスタート地点固定……移動手段も徒歩に限定されるため、はっきり言ってどうにもならない。
あとはデータが消えるまでの最大10日間、スタート地点前で出待ちしていれば詰みである。仮に正面突破を狙おうにも、こちらは私達5人に加えて元ハメ組の60人…総勢65人の念能力者集団が交代で監視するという鉄壁の布陣だ。いかなシングルのマネーハンターとその仲間達といえども、呪文カードも無しで突破出来るとは思えない。
そして更に万が一の万が一、この布陣を突破されてしまったしても、こちらの全員の
恨むなら、五百億程度の報酬で大量の参加者を募った依頼主のバッテラ氏を恨むんだな!!
――スタート地点の草原
出待ちを始めて僅か五分後に現れたツェズゲラ組の確保に動く私達であるが――
「まだだ!まだ俺達は諦めん!!ぬうう!」
《
(ふ ざ け ん な !!!)
▽ ▽ ▽
――6時間後
「む…無念…全ての魔法の母に魔法で勝負を仕掛けるとは、どうやら俺もヤキが回ったようだな…。」
「いや無茶苦茶苦戦しましたけどね? そちらの魔力切れを狙ってやっとの確保ですし?」
事前にマーキングした位置に半径2km以内であれば転移出来るという、中々に無法な転移魔法の使い手であったが……流石に四人の人間を飛ばすには相応の魔力を消耗する筈だとする私の予想が当たり、マサドラのカードショップの見張りに10人を配備したうえで、大規模な追跡班を組織した長時間の追込みにより、何とかツェズゲラを捕らえることが出来た。
どうにもツェズゲラの仲間には蝿のような念獣を使役する能力者がいたらしく、こちらの居場所をある程度把握していたようである。それもあってか、確保には随分と時間が掛かってしまった。
(まだ半径2kmで助かった……これ以上成長してたら危なかったかもしれない。ダンジョン探索でもかなり重宝される魔法だし、正直羨ましいぞツェズゲラさん。)
とはいえ既にツェズゲラ組の名前はこちら陣営全員の
結局どう足掻いても詰んでいた訳ではあるが、それでも完全に詰みの状況から6時間も逃げ果せたツェズゲラさんとその仲間達はやはり優秀である。
「…これで君達は98種か。結局No.002『一坪の海岸線』はまだ見つかっていないのだな。」
「そうなんですよね。ソウフラビにある事は分かってるんですけど、先に色々と検証したり、ツェズゲラさんへの対処を優先したのでまだ本格調査は出来ていないんです。明日、元ハメ組の皆さんと一緒に大所帯でのローラー作戦を計画しています。」
カードを奪われ、不本意ながらもクリアの夢を私に託してくれたツェズゲラさんは既に見届けモードであり、敵対の意思はないようだ。私の今後の予定を確認した彼は、依頼主であるバッテラ氏への報告のために仲間と一緒に港へと向かっていった。
(実質的なリタイア宣言になるだろうし…気が重いだろうなあ…。バッテラ氏もまさか自分が集めたプレイヤーの大半が、別の人間の下に就いたとは思うまい。)
そして結局最後まで残った『一坪の海岸線』…あれだけ啖呵を切ったレイザーにもまだ会えていない訳であるが、チュートリアルを担当しているゲームマスターの女性の反応的に、レイザーと対決する何らかのイベントは残っているはず…それがこれだと信じて最後まで突き進むしかない。
「なんか空気だけど私らもいるわさ!」
「急にどうしたのビスケ? オレ今日はずっと走り回ってヘトヘトなんだけど…」
「やっぱ魔法適性てズリーよなぁ。念能力が一つ増えるようなもんじゃねーか…オレんちの適性ありはまさかの豚君だけだぜ!? 不公平だろこんなの…」
「サンプルと検証時間が増えた今でも、やっぱり一割程度らしいからね♣ しかも念や戦闘の才能ともリンクしない♥ ただ後天的に得られないとまで決まった訳ではないよ♥」
「…ヒソカは何か知ってるの?」
「
少し目を離した隙に師匠が何やら魔法談義をしていた……いやまあ言ってることは正しいというか私が言ったことそのままなんだけど、確かに後天的に魔法適性を得ることって、絶対無いというわけではないんだよね…。
でもじゃあどうすれば得られるかなんて私の元世界でもはっきりしてないし、そんな不確かな情報を載せて非人道的な実験が推進されても困る。…ということで、広く流布することまではしなかったという事情があったりする。
(ネテロ会長やロードの話を聞く限り、暗黒大陸にはどうにも魔法ぽい力が溢れてる気がするんだよなあ…それに相当する力に触れればもしかしたらってこともあるけど、この世界の人類が滅亡するからヤメロ!ってロードも言ってたからね。クワバラクワバラ…)
明日のローラー作戦で何か分かれば良いなあ…
そんな思いを胸に、グリードアイランドクリア最前線の頂上決戦は、この日で幕を閉じたのだった。
原作では独占してないカード化限度枚数3枚の『一坪の密林』も独占しているため、原作ゲンスルーの戦法は使えません。(4人いるので全部堅牢ガードの指定ポケットに入る)
ただその場合でも複製カードの間接破壊は可能なので独占の崩壊は可能です。結局奪えないのでカードの自力獲得は必須ですけどね…
全体的に挫折の弓の性能が壊れ過ぎてるので、『離脱』の対象は本人だけにするべきというのが総評ですね…これ一枚で聖騎士の首飾りも、全てのフリーポケットカードも無に帰します。そしてそれを防ぐ手段は『城門』ただ一枚のみというアンバランス…それすら連射されたら防げませんので、完全にバランスが壊れてます。
ゲンスルー組の闇のヒスイ大量乱獲も離脱一枚で瓦解します(外に持ち出せない筈なので恐らく全部壊れる)のでかなり無常。
それこそガチでやるなら、糞強能力者が堅牢でカード守りつつ、離脱からの出待ちを逆に返り討ちにするのがクリアまでのデフォみたいなゲームバランスになりますね…やはりジンが作ったクソゲーなのでは?
ただこれはこれでカードの独占が実質不可能(離脱+看破で独占をいくらでも崩し放題)になるので、自力ゲットのチャンスを誘発してるとも取れます。ジンならそんくらいは考えてそーですけど…肝心のプレイヤー達が全然そんなことしないという不具合。良い子ちゃんが過ぎる。
港ルートみたいに、本当に離脱するかどうかを選ばせてくれる中継点があると良かったかもって話ですが、それも無いあたり本当に狙って設計してるかもですね。