ハンター世界は基本的に『国家(軍・兵器) > 人』が原則ですが、異世界とのクロスによって逸脱する可能性があることをあらかじめご了承ください。
とはいえ、今回分はそこまででもない筈です。
終わったつもりがまた投稿してますが、おまけは扱い的に『思い立ったら更新する』ものなので許して…
一応いつ終わっても良いように区切っての投稿を心がけてます。
――2010年2月。
暗黒大陸。メビウス湖沿岸部から約2000km…世界樹拠点周辺。
全長数百メートルにも及ぶ、大怪獣と表現する他ない巨大生物と相対する二つの影がそこにあった。四肢で大地を踏みしめるその巨躯は黒鉄を思わせる硬質な鱗に覆われていたが、今となっては見る影もなくボロボロと崩れ、一部では肉が露出している。
しかしそれだけの損傷を意にも介さず、その生物の戦意は些かも衰えてはいない。ただ動くだけで地形を変えるその巨躯は未だに脅威である。しかしその圧倒的な脅威は、突如四肢に巻き付いた雷の縄により動きを制限され、接触面からは肉が焦げる匂いが立ち込める。
「《
「サンキューキルア! 『
キルアにより『雷』を付与されたゴンは、電気信号を直接末端神経へ流し込むことで、人間の限界を遥かに超えた反応速度と機動力を実現する。キルアが自身の念能力として完成させた『
ゴンはそのまま足元にオーラを集め、跳躍。爆発音と錯覚するような音を地面に残し、彼の肉体を大怪獣の頭上にまで届けた。
「ジャン! ケン!!」
筋骨隆々な逞しい青年へと成長したゴンが纏うオーラは、かつての念獣吸収レイザーを彷彿とさせる規模。モラウや十二支んのような上位ハンターですら冷や汗を流す程に洗練された、濃密にして強大なオーラである。そのオーラが『ジャジャン拳』の制約により更に倍増! その莫大なオーラが『硬』により一点に集約され――
『パー!!!』
頭部に叩きつけられた掌底を通し、その衝撃が内部に浸透。脳を含む、頭部に集中する重要な器官を悉く破壊しつくしながらも突き進んで行き……最終的に腹の部分から内臓をぶちまけることにより、大怪獣は絶命した。
「油断すんなゴン! 次は死骸漁りと着地狩りがくるぞ!
オレは先にこっちを片付ける!」
キルアの声の先には、地中からボコボコと出現し始めた≪地鳴の哭獣・モルグラ≫。巨大なミミズと獣を混ぜたような怪物であり、地中を移動しながら地盤を隆起させ、地上に現れると頭部の裂け目から精神を破壊する重低音の奇声を放つ。集団のように見えるが、その実態はひとつの群体である。
「オメーらも懲りねえな。一回根絶やしにしてやろうか?」
その言葉と同時にキルアはバチリと身体に纏わせる雷の出力を上げ、大魔法を準備する。奇声による精神破壊も常に特定の電気信号で脳を防御しているキルアには効果が薄く、魔法の構築を妨害させるには至らない。
《
メビウス湖北東の山脈で入手した【無尽石】は、水に沈めることで発電する鉱石だ。ビーズ一粒ほどの大きさでありながら、一日あたり二万kWhもの発電量を叩き出すという、常識外れの高性能発電機である。そして、既に『電雷石』との融合によって魔法適性を獲得したキルアにとって、これほどの代物は更なる強化パーツにほかならない。クーデリア世界の大魔導士を彷彿とさせる雷の嵐が周囲一帯を蹂躙し尽くし、無数の稲妻が大地を焼き払う。やがて嵐が過ぎ去った頃には、地中から次々と這い出していたモルグラの群体は、一匹残らず消し炭と化していた。
一方、落下中のゴンの視線の先には世界樹の枝を止まり木にしていた一羽の怪鳥。
≪死骸を啄む不死鳥・アズラ≫が、絶命した大怪獣に向けて急速に迫る様子が映されていた。
アズラの狙いは当然、小さな小さな人間であるゴンではない。食事としては少なすぎるし、何よりこの不死鳥は、何故か死骸しか喰わないことが特徴なのだ。では標的ではないゴンには危険が無いかというと…当然そんなことはなく、この不死鳥の周囲は常に
「やっぱりお前が世界樹拠点一番の問題児だね。今日も撃退させてもらう!」
背負っていた釣り竿を握りしめたゴンが発動するは『
振るわれた竿…そしてそれに連動して動く糸の軌跡に沿うように、特大の不可避の斬撃がアズラを襲う!
クゥエエエ!!? という間の抜けた叫び声と同時にアズラの身体がバッサリと斬られ、両断とはいかずとも確かな傷を残す。その傷はジュクジュクと即座に再生し、数秒後には既に完治していたが……突然の攻撃に驚いたアズラは、そのままバサバサと止まり木まで戻って行った。恐らく一分後にはまた、同じ調子で死骸を啄みにくるであろう。この不死鳥は若干…いや、かなり物覚えが悪いのだ。
そのまま大怪獣の死骸に着地したゴンであるが、その頃には周囲一帯の脅威は全て、キルアの手によって取り除かれていた。
(う~~ん…メビウス湖西側の地底都市で【英心核】*1を入手してからは俺の顕在オーラ量もぐっと上がったみたいだけど……それでも全然遠いなあ。今でも全然勝てる気がしない! うん。やっぱりキルアって凄いや!)
「おーゴン。お疲れ。てかやっぱあの鳥邪魔だよなぁ…殺しても死なねえし、ガチの不死鳥じゃねーか!」
ド級の阿呆の癖によぉ…。
と、ゴンの代わりに愚痴を始めるキルアであったが、今回の探索の目的までは忘れていない。
世界樹裏に聳え立つ、天空闘技場を思わせるサイズの塔が建っており、今度はそこを本格的に調査したいのであるが、強靭な
「食獣植物に食わせる作戦は失敗したから…結局普通に戦闘になっちゃったね。あの鳥より百倍頭良さそうだったよねこの怪獣」
「あの鳥と比較したら蟻ん子でも百倍頭良いだろ。あっもう飛んできた!さっさと逃げるぞ!」
取引に応じた魔獣は既に、仲間と一緒に世界樹内部の拠点で待機している。ゴンとキルアは、さっき斬られたことなど完全に忘れ去った≪死骸を啄む不死鳥・アズラ≫。通称『死骸漁り』が纏う死の気配の範囲外へと颯爽と逃げ出し、彼らの拠点へと戻っていった。
▽ ▽ ▽
「お兄ちゃんが帰ってくるまであと3秒。…2…1…」
ガチャ
「お兄ちゃん!!」ガバッ
「おまた。ってアルカか。まーた予知魔法かよ…最初に比べて随分と精度上がって来てんなぁ」
拠点を仕切る扉を開けた直後に、妹が抱き着いてくる。…もう既に22歳の大人の女性であり、年齢にそぐわない言動を取るアルカに若干の呆れを内包しつつも、抱き着かれるがままでいるキルアであった。
子供の時分であれば微笑ましいで終わっていた絵面も、互いに成熟した肉体となった現在では随分と怪しい関係に見えて来る兄妹の関係には、今この場にはいないキルアの妻であるスパーもまた、少々複雑な顔で眺めるほかなかっただろう。
――アルカ=ゾルディックにはもう、かつてのように願いを叶える力はない。メビウス湖南南東の霧状生物との出会いを切っ掛けに展開された長大なエピソードは、それこそ語るには数万字でも足りないであろうものである。故にここでは省略とさせてもらうが、結果としてナニカの大半は暗黒大陸の地へと還り、残る一部もアルカの人格と完全に統合した。元々二人は「キルアが好き」という強固な共通点があったためか、大きな問題は発生せず……代わりにアルカは、かつてのキルアのように、魔法適性を得るに至った。
「ただいま皆。きっちり倒して帰って来たよ!」
「おかえり♥ ただ依頼主の魔獣ならもう帰ったよ♦ アルカが予知した時点で、既に依頼は完遂されたと見做したみたいだね♥」
拠点の守り役兼、魔獣の見張り役のために拠点で待機していたヒソカによれば、既に魔獣は報酬を先払いして帰ってしまったようだ。報酬として受け取ったのは液体が入った一つの小瓶。【三原水】を加工して生成したらしいこの液体を振りかければ、植物は暫く反応しなくなるそうである。液体だけでなく作り方のレシピまで渡してくれたとのことなので、今後は食獣植物の突破には困らなくなるだろう。
「えっ? もう帰っちゃったの? 折角なら少しお話したいと思ってたのに…」
「うーん…それは難しいんじゃないかな? あの人、あまり人間とは馴れ合いたくないってのが本音だったみたいだよ? 『心遣いは理解するけど、ただのビジネスで終わらせたい』だって…でもまあ、その辺は貴方がどうにかしたんでしょ? ヒソカさん?」
「まあね♠ 彼はこちらとの接触には警戒していたみたいだけど、僕の《
「塔なぁ…思えば俺たちって、結構塔には縁があるよな。主に天空闘技場なんだけど」
「もしかしたら、暗黒大陸の天空闘技場だったりして!?」
ゴンの発言にはそれこそ「いやどんな人外魔境だよそこ……」という空気が漂ったが、魔法的な摩訶不思議が当たり前、気づけば異空間にご招待とかも日常茶飯事の暗黒大陸であれば、あり得ない話でも無い。それこそ…僅か一年半にも満たない滞在期間で、この世界を大きく変えたあの付与師が嬉々として語っていたダンジョンもまた、異空間に広がる領域なのだ。
「ワクワクするし、ゾクゾクするなあ! もしかすると…お姉さんが言っていたようなダンジョンなのかもしれない。俺は今でも…仲間と一緒にダンジョンってのを探索するのが夢だからさ!」
かつてジン=フリークスは言った。
「道草を楽しめ。大いにな。欲しいものより大切なものが、きっとそっちに転がってる」
ゴンは今、仲間と共に、まさにその道草を楽しんでいた。
ジンらしき人物がでかいドラゴンの上で「ボッ」って言ってましたが、あれ暗黒大陸なのでは?
と思ってます。余りにも大きすぎて、スケール感が完全に暗黒大陸のそれですし…。
あと一応、ハーメルンの方でもクロス元の「Re.紫華の付与師は今日もお留守番」を投稿中です。
とはいえ、内容はなろう版とほぼ差がない微修正版ですね。細かい表現やクー子の髪色表記(青白色⇒青色)の変更、エルドの口調分けを消滅させたくらいですかね? ただどこかでノルンちゃんも出したいです。
因みにノルンは「紫華の付与師」と世界観が繋がっている「転生チートだけど10話目で死にます。」のキャラクターです。 ※本文にがっつりAI使ってるお試し作なのでそこは注意。
…ただ彼女が作中でやってることは、結構突込みどころ満載。当作品で名前だけ出たノルンとは性格や容姿や能力はそのままですが、普通に別人(パラレルの存在)です。