──ドォォォォーン!!!!!
「うわぁっ! おはようございます! …………ってなんだ到着したのか…………トロモシ……俺トロモシ……トウモロコシだよなこれ」
一人用のポッドでスヤスヤだった俺は最後の最後に託された自分の名前を噛み締めつつ、地上へ立つ。
ここは緑の空、白い雲、文明が感じられない原生林、荒れ果てた荒野が見渡せる山の上の高台だった。
「暑苦しい……しかも重力もちょっとある」
惑星ベジータ程ではないにしろ、高重力、体感で3Gほど、これを測る機械はポッドについているが扱い方を知らぬ、これの原因は恐らく俺としての自意識で、幼少期に行われているはずの養育ポッドでの睡眠学習的な奴が上書きされているからだと思われる。
「…………帰れねぇな」
帰れないのである、機械の扱い方を知らないから。
まぁそれは良いとしてだ、俺はこの星を地上げする使命がある、サイヤ人はそうして財をなしているからだ。
…………3歳にやらせることかよこれが。
何から手を付ければいいんだこれ、地上げしないならしないでおかしいと思われて惑星ベジータから誰かしら派遣されてくるだろうな、もしくは下級戦士だから見捨てられてるか、どっちか。
地上げした場合、俺は自分が嫌いになる、良心が痛む。
よし、前者で行くか。
「じゃあ尚更何をしたらいいんだ」
目標はある、死なないこと。付け加えるならフリーザに惑星ベジータを破壊されないことか、両親がいる星を壊されてたまるか。
それにフリーザ、ひいてはあの一族がいる以上サイヤ人はずっと脅威に晒されているようなものだ、どこかで因縁を絶たなければ、カカロットもとい孫悟空を待っては居られないだろう。
修行だろうか、修行だろうな、修行するか。
「誰だお前は!」
突然目の前に現れた武装した半魚人みたいな宇宙人が殺気を隠そうとせずに俺を睨む、あれ? ここだけワンピース?
「え? トロモシですが」
「え? あ……そうなの……ってちがぁぁぁう!」
なんだよ人に尋ねといて違うとか非常識なやつ。
「お前サイヤ人だろ! このブカリ星を滅ぼしに来たんだろ!」
「なんで分かった?」
「お前のその尻尾だよ! 人間型で、尻尾の生えた宇宙人はサイヤ人だ! この悪魔め!」
「…………あ、確かにな」
「子供のくせになめてやがんのか〜〜〜っ!」
どうしたんだ俺、目の前に武器ちらつかせてる奴がいるのにちっとも怖くねぇや…………本能的に俺のほうが強いって思ってるのか……?
試しに一歩前へ出ると、半魚人は少しひるんだ、もう一歩前へ出る、半魚人は狼狽える、更に一歩前へ出ると、半魚人も一歩引いた。
「なるほど、アンタ弱いな」
「なんだと…………! この俺様が弱いだと!?」
俺への対処とは裏腹に威勢だけは一人前だな、目くじらたててら。
今は言葉より力が物を言うパターンだな、いっちょ脅かしてやろう。
かるーく力を込めてグッと背を丸めて半魚人に飛び掛かる、反応する暇もなく眼前で止まると、両手でパン、手を叩いた。
すると半魚人は一瞬ビクリと体を震わせ直ぐに地面へ頭を擦り付けるようにしゃがみ込む、というよりうずくまる。
「うぎゃあごめんなさい!!! 殺さないで〜!」
「おお」
思ったよりも効果抜群だったな、さてと事情聴取でもしちゃおうかな〜!
半魚人の頭のヒレを引っ掴んで顔を上げさせると、3歳児の俺の精一杯の笑顔でお願いしてみた。
「この辺のこと、教えて?」
「ウッ!」
半魚人、失神!
…………使えねぇ、ダメだこりゃ、先に仕掛けてきたのはそっちだろうがよっ!
この星の名前が惑星ブカリだった、半魚人的な生物が住んでる上に武装するだけの科学力があるってのも分かった、その上で俺単独で掌握できる程度の力しかないと言うのも理解した。
「…………探すか、村」
あるだろう何かしらの集落が、文明社会がどこかによ。
幸い俺はサイヤ人、空を飛ぶことが出来る、3歳児から空を飛べるなんて素晴らしいな、サイヤ人最高。
「おい起きろ半魚人…………ダメだ完全に伸びてる」
仕方なくこいつを担いで空を飛ぶ、ちょっとふらつくが問題なく飛び上がり、飛行を始める。
緑の空を観ながら地上を見下ろすとまるで自分が鳥になったかのように感じる、肌に感じる風が爽やかで気持ちがいいな、しばらく遊覧飛行をしていると海が見えてきた、それに岸辺に港町のような集落を発見することができた。
「あれか……降りてみるか…………」
なんとなく感覚がある、あの町で戦いになる。
伸びた半魚人を港町近くの森に下ろし、俺は一人単独で港町へ赴いた。