今回もパッと思いついた適当なアイデアを形にしただけの作品になってます。
完結させたいので、是非とも応援をお願いします!
___とある探偵事務所にて___
俺、黒羽翔が書類の整理をしていると後ろから声がかかる。
「助手君」
この人は俺の雇い主。
ラミィ・トワイライトだ。
同い年なんだけどひょんなことがあって、この事務所で雇ってもらえることになったんだ。
「なぁ助手君じゃなくて、名前で呼んでくれない?」
「じゃあ名探偵君」
「それはもっと嫌なんですが!?」
ラミィは小さく吹き出した。けれどその直後、 ほんの少しだけ目を細める。
まるで、懐かしいものを見るみたいに。
絶対皮肉だろそれ、まったく…なんて性格の悪い所長なんだ。
____________________
【名探偵君】、そういえば昔一回だけそんな呼び方をされたことがあった。
小学生の頃、確か盗難事件もどきみたいなやつだっけ?
____________________
「お前が俺のハンカチ盗んだんだろ!」
授業前、静かなはずだった教室で聞こえる怒号。声を荒げ叫ぶのはクラスの中でもやんちゃな少年である。どうやらハンカチを盗まれたらしく、彼の隣の席でずっと座っていた少女を疑っているようだ。
「ぬ、盗んでないよ…」
少女は小さく首を振る。けれど声は震えていて、今にも泣き出しそうだった。
教室のあちこちから、
「あーあ」
「やっぱあいつ?」
なんて囁きが聞こえる。少女は俯いたまま、ランドセルを抱きしめていた。
怒り狂う少年の勢いは止まらずに、少年は少女のランドセルの無理矢理漁ろうとするが…
ランドセルに伸びた手が、不意に止まった。
「……そこまでにしなよ」
教室の後ろ。窓際の席に座っていた少年が、いつの間にか立ち上がっていた。
「誰だお前は!邪魔すんなよ!…!?」
その少年がもう片方の手に持っていたのは、【一枚のハンカチ】だった。
最近流行っている、今流行りの、鬼を拳で叩き伏せる兄妹漫画のハンカチである。
「君が探していたのはこれでしょ?返してあげるから、疑ってごめんってその子に謝りな?」
「いや!お前が盗んでたんだけど、大事になりそうだから慌てて返したんだろ?別にそいつと協力してたっていう可能性もあるだろ!?じゃあそれがどこにあったのか言ってみろよ!」
やんちゃ少年は顔を真っ赤にしながら尚も食い下がる。
「そんなんお前がそれっぽいこと言ってるだけだろ!」
もう一人の少年は冷静に【推理】を披露する
「君がこの休み時間ずっとハンカチを探していたのは見ていたよ。僕はずっと教室にいたからハンカチを盗むような怪しい動きをしていた人がいなかったのは確認していたんだよ!だから君が何処かにこのハンカチを落としたんじゃないかと思ったんだ!」
教室のざわめきがスッと静かになる。さっきまで騒いでいた男子たちもいつの間にか大人しくなっていた。
「今日って体育があっただろ?だからその帰りに手を洗ったときに落としたんじゃないかって思ったんだ!そこでグラウンドからの帰り道の流しを見てみるとビンゴ!ハンカチが落ちていたんだ!きっと手を拭いたときに落としたんだろうね。」
教室のあちこちから、
「すげー……」
「本当に見つけたのかよ」
と驚きの声が漏れる。
やんちゃ少年が顔を更に赤くして教室から走り去っていく中、疑われていた少女は少年に向かって、とびっきりの笑顔で告げる
「ありがとう!名探偵君!」
少女が笑う。その瞬間。
教室の窓から差し込んだ夕陽が、やけに眩しかった。
「……べ、別にそんな大したことじゃないって」
少年は少しだけ顔を赤くしながら、視線を逸らした。
____________________
「……その顔」
不意に声がかかる、気づけば、所長がこちらを見ていた。
「なんだよ?」
「いえ、昔のことを思い出している顔だなぁ、と。」
「お前はエスパーかなんかか?」
「いいえ、探偵です。」
ラミィはどこか誇らしげに言い切った。
「いや、そういう意味じゃなくてだな…」
俺がどう返したらいいものかと悩んでいると声がかかる
「どんなことを思い出していたので?」
「小学生の頃に名探偵君って呼ばれた話だな。」
「ちなみに、」
ラミィは何でもない様子で続ける
「その時誰が助けられたりしたんです?」
「そんな昔のこと覚えていると思うか?」
「……そうですか」
その声はとても小さく今にも消え入りそうだった。俺が理由を聞き返そうとしたその時…
___バンッ!!
突然事務所の扉が勢いよく開く。肩を荒く上下させ、泥だらけの靴のまま踏み込んできたのは、まだ高校生にも見えない少女だった。そのまま依頼人は俺達の方に駆け寄ってくると、
「お願いです!兄を探してくれませんか!?」
この時の俺達はまだ知らなかった、いやラミィは知っていたかもしれないが…
【黎明会】その胡散臭い宗教団体の名前を、俺はこの時初めて聞いた。