世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
人理保証機関・カルデア。馴染みのない廊下からそそくさと彼がもともといた部屋に、二人の女性がいた。
(これでやっとマスターが喜ぶはず)
笑いの表情を浮かべる彼女─リリスは冷静に判断した。カルデアに自分が来れたこと、そしてそのカルデアがまた汚れていて精神が汚染されるような環境であること、そして前回よりも多くの感情を風香が抱えていること。
ソレラ全てがリリスの計画にとっては順調に進ませるに違いないと追い風をふかしていた。加えて─
そう考えたとき、その大きな要因が目の前で話しかけようとしていた。
「…ねぇ、バーサーカー。さっきの言葉は本当なんだよね?」
彼が最も大切にしている無垢にしては湿っている少女─藤丸立香。特異点内でも伝えた言葉は何一つとして間違っていない。
「そ、立香ちゃん。しっかり協力してくれないとマスターは日常に戻れなくなるからさ」
(その『日常』はアテシらがいるものを指してるけど…♪)
嘘をつかないで他人を騙すくらいわけない。リリスの言葉を信じてしまった立香─もちろん、ちゃんと協力してくれる以上は甘い蜜を飲ませるつもりではあった。
(別にアテシの計画って『繰り返し続けること』が大切だからさ、成功したときにはいつまでも同じ状態になれるんだよね)
嫉妬するのも、自分がどう動くのかも、ありとあらゆるものが予定調和に動ける。風香を閉じ込め続けるために作ろうとしている
そこへと繋ぎ止める鎖が全てだと知ったときの絶望は半端ではないだろう。伸ばした手が踏みにじられるのはどれほど心が折れるだろう。
「というよりフーくんのスキルについて知っていたんだね。いつから気づいてたの?」
「ゲームをさせた時点で確定的なのよ。あんな理不尽な契約、まかり通るわけがなかったしね」
リリスはマスターのスキルが何なのかを理解している。ソレは自らの霊基の一部からもたらされた力だと理解しているから。
「アテシの能力まで混じってるから余計ややこしいしね」
スキル名を適当に名付けた。ある意味彼との子どものように思えてしまう名前を、惜しみなく協力者へと晒す。
「『果たされぬ契約』─なんて、かっこいい名前にしときますかぁ」
彼女たちは決して組んでいることを話さない。─なぜなら、奪われたくはないから。
決して仲間であっても背中をしっかりと預けられない。─なぜなら一番が自分であると信じているから。
嵐を乗り越えたとはいえ、彼女たちが狙う宝は一つだけ。
故に、二人は仲間であって敵なのだ─少なくとも、風香は知ることはないが。
『果たされぬ契約EX』
人理修復を成し遂げた上で朝日を拝めなかった少年が持つスキル。リリスの『彼は約束を守ってくれなかった』という不満の現れがフールのスキルとして固定化されて出てきた。
どの状況下においても一定の契約の履行を自他に強要するスキル。ただし『自分が叶えられると信じているもの』に限った話であるため、基本的に味方へと使用するほうが効果が高い。
─でも、思いだけは操れないもんね。