世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
─死んだ死んだ、君は死んだ。
私を見ていたフリをして、見ていなかったのに。愛し続けてくれていたというのに。
私に頼みごとだけして消えていった。君の残り香に身を包んで泣きはらした。なぜ君がそうしたのかは、今でもわかっていない。
聞きたいけど、その前に君が望んだことをやるために着替えて武器を持った。朝日を初めて見たけど、やっぱり見たくなかった。
死んだ死んだ、人が死んだ。
旅のさなかで君のことを助けもしなかったくせに、君を恨んで死んでいった。
愛しき子が噛み殺した。私と君の大切な子が君のために怒っていた。
君が望んだことだからやり切るしかないんだ。特に躊躇ってもいないが、それでも子が人を喰らうのだけは止めさせた。こんな奴らを血肉にしてしまうのは、君が残してくれた子に対して申し訳がないから。
燃えた燃えた、人が燃えた。
君を見守っていた夢に住むあの子も、君の望みのために動いた。誰も彼も燃やしてしまわなければ気がすまない、と。
私が嫌う理由はない。君があの子をここに来させたくない理由は知っていたし、また同じことをして慟哭を聞くのも嫌だから。
燃えた燃えた、ゴミが燃えた。
懺悔すらしない愚かな人間。自分の過ちを認めずにのうのうと生きていられると思い込んでいる性欲に塗れたゴミ。
子の爪が等しく臓物を曝け出し、炎は容易く火をつけてゴミを苦しませた。血を廊下にまき散らしたがコレをやめるつもりはなかった。
消えた消えた、人が消えた。
存外少なかった。愛した君がいなくなってから魔力供給も殆どなく、ましてやカルデアの機能もとある二人に壊されていた。
残っているのはもうサーヴァントと私だけだった。一人一人に慈悲はかけても無駄ではある─けれど、君を裏切った理由を全て聞いた。聞いた上で殺せば私の知らない君を知ることができると思ったから。
誰も本当にそうなるつもりはなかった、と。自分は彼のことを愛している、などと。嘘をついているとは思えない。思えないからこそ許せなかった。
消えた消えた、死体も消えた。
何が秩序だ。何が善だ。私の大切な君を傷つけるのが秩序の望むことなら、最初から距離をとって離れればいい。
中途半端に愛して取られてしまうくらいなら最初から死んでしまえ。肉欲から離れただけで気づけるなら最初からなぜそうしなかった。
君への愛を口から語られただけで剣が動いた。子が心配そうにこちらを見てきていることに気づけないくらいには取り乱していた。
血が流れていない部屋で、私だけが濡れていた。
去った去った、あの子が去った。
あの子はもう意味がないと言ってこの世界から消えていった。私が来れるようにと黒い焔を残してくれていた。
子を置いておくのが忍びない。だけど皆で行くにしては私の力では足りなかった。悩んだけれど、あの子の方法では子の強度が足りずに死んでしまう。
悩んだ。力が欲しかった。君へともう一度会いたかった。
だから、願った。君が残した1枚の
自由─新たな始まり。
タロットの意味は理解していた。これだけが置いていかれたのは忘れたのか、それともたまたま持っていけなかったのか。
けれど、君の下へともう一度行きたい。今度こそ、また皆で旅をしたい。
私は懐かしい夢を見ながら目を覚ます。下の部屋には君が眠っていて、橙色の髪の少女と一緒にいる。
(また、君と会いたいけど恥ずかしいし)
目だけしかまだ来れていない。体もできてはいるがバレないように転移するのはとても難しいからまだ待ってもらおう。
(君は、もう一度愛してくれるよね?)
君が出ていく部屋の中、君の名前を呼ぶ。君が不安げに振り返って、苦しそうな顔をした。
─はやく、逢いたいなぁ。
礼装獲得!
『焼け落ちたカード』
とある世界にて遺されていたカード。本来ならばこれを含めて占いをするが、彼は持っていない。
そのとある世界はとある少女に壊された。彼が産み出したソレは、自らの子を彼との子として大切に大切に生きた。
世界を破滅させたのは愛か─それとも、他の感情によるものか。
しかしそれを知るものはもう世界にはいない。
片隅の小さな部屋の中。
たった一つ、役目を終えて焼き焦げたカードのみを残しただけである。