世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
アテシ達が作った─というより、面倒なことが起きたから用意した受け皿。
ファントム。というより、もう一人の彼女と言うべき存在。
(流石に知名度補正がゴリゴリに乗ってるとはいえ無茶しましたよなぁ。アテシはどこにもそーいうのないからちょっと横槍を入れられるのが羨ましいや)
マスターはもう気づいたみたいで、起きてからずーっとアテシに話しかけようか悩んでいる。そりゃまぁ今回色々やってると言ったしね。
「マスター、どうする?すぐ行くの?」
「…その前に確認したいことができた。立香にも聞かせていいやつ?」
聞いたら明らかに生ぬる〜い目が返ってきた。見捨てられないとはいえ、こうやって冷たくされるのは嫌な気持ちだ。
「うん、いいよ。あ、でもカルデアのほうには聞かれたくないから一旦ミュートにしてちょ」
「うん、わかった!」
と言いつつアテシの聖杯で通信妨害。流石に盗聴まで聖杯で対策しないとマスターが安心できないのは知っている。
「…僕たちはここにいていい話かい?」
「あぁ。ってか、そこのファントム擬きについて話すんだけど聞かれたくなくてな」
「私…ですか?どこに違和感があるのですか?」
おずおずと聞いてくるファントムは本当に何も知らないように振る舞っている。何も知らないなら騙されても仕方ないくらいだ。
(マスターは気づいたみたいだけどね)
恐らくアサシンが持ってた武器のせいかもしれないけど、どうでもいい。マスターが衰えていないのもわかったしよい収穫だ。
「…いやさ、オペラが盛んなイメージがあるからいてもおかしくないとは思ったんだよ」
「そう…なの…?」
「一応ビズ・マジェスティーズ劇場がロンドンにはある。だけどオペラ座の怪人に限っては劇との矛盾が生じるんだよ」
見える方の指を立てて、彼は疑問を話し始める。
「全盛期がどのタイミングであれ、クリスティーヌという単語を出した時点で狂化を持っている」
英霊の在り方。─あるいは、英霊の座に刻まれるほど執着したもの。
「そしてその上でお前は劇に登場するだけの、ただの登場人物。そこに脚本家が物語を変えたところで、彼女への愛というものはなくならない。狂気を宿らせずにクリスティーヌと発言するような『普通の人間』はあり得ない」
「…では、私はファントムではない、と?」
「そうだな。正確には
彼は大剣を抜くことも、相手の間合いから離れることもしない。
正体がわかっていて、『彼女』ということをわかっているから。
(妬けちゃうなぁ、本当に。マスターにべったりだったからさもありなんだけどさ)
懐かしいことを思い出しつつ、彼が名探偵さながらに推理を続けるのを見守る。
「少なくとも殺人鬼であることは疑いようがない。仮にファントムを騙るなら殺人鬼として自分のことを見せられる自信がないといけない」
「そして長い爪。それは少なくとも武器として使う…というより、もっと別の用途でも使えるものだ。特に指先にメスがついているとなると、必然用途は限られる」
医者か、あるいは─
「─殺した人間の臓器を抜き取る、とかな。仮面で顔を覆っているのがおかしいけれど、視点を一つ変えれば理解が及ぶ」
笑いながら真実へとたどり着いた。秘匿する気もなく、かといって喋る必要がなかった真実。
きっと宣言するのも苦しいはずだ。堂々と立つことさえ苦痛なまでに残酷な言葉になるのだ。苦虫を噛み潰した表情で彼は続けた。
「
「ついでに言えば男じゃないんだろうな。顔が隠れて猫背。ここに黒いスーツを着て顔面が強調されるような動き方をしていれば、自分の性別を間違えさせるのも簡単だ」
「ここまで判断の材料がわかっていれば解は明らかだ。本来なら伝えられることのない怨念の集合体。かくあるはずだと歪められた殺人鬼の被害者。与えられたファントムという言葉に
シャーロックさながらの推理を並べて、彼はその真名を解明する。
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