世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
君が望んだなら、そうするべきだと思った。
フーくんに言われた通り、私とリリスはB221まで動いた。道中にところどころ血まみれだったり機械が壊れた跡があったけど、動かなかったから放っておいた。
「その、なんでこっちに来たんですか…?」
「キリエライトがいたらわかったかもね…っと」
やがてガチャっとなんの変哲もないドアを開けると、妙に甘ったるい匂いが鼻につく。いつか嗅いだことのある匂い─だけど、名前が出てこない。
「モルヒネ。麻酔として有名だけど立香ちゃんに嗅がせたい匂いじゃないなぁ。はい、マスク」
手渡されたマスクを顔にかける。匂いが少し和らいだからか、部屋の中身をしっかり確認できる。
妙に調度品が書類に塗れていて、掃除されてないのか埃がところどころに残っている。この匂いがなかったらもしかしたら咳をしていたかもしれない。
「…というかなんでリリスは持ってるの?」
「あはは、マスターが医者っぽい見た目してたからさ。ちょっとポーチをくすねてきたんだよね」
てってれーと取り出したのは腰にあったポーチ。中にはナイフに混じって閃光弾や干し肉とかの生き残るために使えそうなものばかりある。
「万が一のために立香ちゃんに渡しとくよ。魔力たくさん入ってるから扱いに気をつけてね」
「う、うん…」
とりあえず渡されたポーチを肩からかける。軽さもあいまって何もかけてないかと錯覚する。
「おや、彼はいないのかい?それとも件の彼はその麗しいレディなのか?」
「ッ!?」
「落ち着いて立香ちゃん。ここは後ろにゆっくり下がりながら閃光弾を構えるのが正解よん」
男の声に驚きながら後ろに下がる私に優しく言ってくるけど、ちょっと余裕がありすぎる。
ガタガタと前の扉から話しかけにくる紳士然とした男の人は、ちょっと胡散臭い。
「私はシャーロック。名探偵、と言えばわかるだろうか」
「そ。この身元に関してはアテシも保証するし、もしヤバイって思ったら即殴って大丈夫よ」
「別に今から推理をしても構わないけど…どうやら件の少年に役を取られてしまってね。私はリリスに従って道案内役をするだけなのさ」
たった今呼ばれた彼女を見る。気まずそうに翼をはためかせ、ネコ目になりながら視線を逸らす。
「知ってたの?」
「知ってたといいますか〜…マスターと下見したっていうか〜…とりあえず道案内よろしく!」
話を無理矢理断ち切るようにグイグイと前へと進め始めようとするリリス。悪いことはやっていないはずなんだろうけど妙に後ろめたい。
「…はぁ。あとでフーくんと一緒に問い詰めるからそのつもりで」
「アイアイ。じゃあ地獄に行こーぜ、立香ちゃん。マスターのいないところで人理修復と洒落込みましょうか」
笑いながら行き先をわかっているリリス。どこに行くのかわかってない私を置き去りにして、シャーロックさんの後ろへと突き進んでいく。
「…来ないの?」
「ううん、行くよ。私、後悔したくない」
よく考えれば、リリスの戦闘をみていない。それに今のロンドンで何かに襲われないという保証もない。
リリスの後についていくように、私は地下へ続く階段を降りていくことにした。