世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
アテシが呼び直したシャーロックが先導して入っていく場所は地下水道だ。
「本来ならRPGゲームでありがちな展開なんだけどね。ロンドンに張り巡らせられた魔法陣の線、って言えばわかりやすいかな?」
「わかんない、かな…」
悩んだところでわからなさそうな立香ちゃん。確かマスターの記憶をちらっと覗いたときもゲームに関してはそんなにやってなかったし、ピンとこないのかもしれない。
(マスターは真っ先に理解してたけど、立香ちゃんに求めるのは酷かな)
あのときは魔眼だったりその前にパラケルススとかいたからそっちで理解したのかもしれない。某錬金術って言ってたし。
ともあれ説明するために口を開く。シャーロックは先頭で露払いも兼ねてるから基本的に喋る暇はない。
「水と魔力って親和性が高いの。今って神秘性は薄れているけど、水って『なんとなく凄い』ってイメージがついてるじゃん?」
「うん。人体の60%くらいを占めてるとかないと三日しか生き残れないとか言うもんね」
「今の科学で証明されてるもんね。でももう一つ大切なところが抜けてるよん」
確かに水の起こす現象としては今立香ちゃんが言ったことは正しい。けれど今焦点を当てるべきなのはそこじゃない。
「霧になったり、雨になったり、はたまた下水になったり。水蒸気だったり、極端なヤツだと北極もそうだよね」
「水の状態が関係してる…ってこと?」
「惜しい!アテシが言いたいのはこういうのをひっくるめて『なんにもなれる』って考えられることなんだよね!」
血液だろうとなんだろうと水として捉えることは可能だ。不純物が混じっていても比較に使われるのは水。
そーいうところから魔術の秘匿性としてなぜ使えるのか、を立香ちゃんに話す。
「立香ちゃん。本当なら魔術ってのは隠さなきゃいけないんだ─皆が使えるものは、不思議でもなんでもないでしょ?」
「…そう、だよね」
「だから水は都合がいいんだ。『他の形があるかもしれない』というちっちゃい神秘性があるから魔術に必要な魔力だけを通したりできるの。それに、さっき言った状態の多さも関係してる」
カツカツと石畳の音が鳴り響く。綺麗になっているということがもうそろそろ黒幕がいるところなのを皮膚感覚で理解させるけど、魔術結界で遠くなってるだろうから気にしない。
「半導体と一緒。自分でどこまで流せばいいのか。流さなくてもいい場所はどこなのか。そういうのを温度を弄ったりとか状態で変えられるようなものだからとっても重宝されてるの」
「はへぇ…でも、フーくんが魔術を使ってたけどアレはなに?」
「えっ知らないんだけど」
アテシ初耳。マスターは魔術回路がなかったから英霊と殴り合えるフィジカルがあったんだもん。サーヴァントとして召喚されててもそんなことはムリムリ。
(アテシとジャックちゃんは二人ともそーいうの持ってないし。え、誰が混じったの?)
とりあえず気になるから問いただしたほうがいい。そう判断したアテシはもっと立香ちゃんに詳しく聞くことにする。
「え、どんな魔法?」
「童話で使うみたいな衣装を変える魔法。なんというかさ、驚いちゃって…今も着ているけど脱ぐ気が起きないんだよね」
「あぁ…ちょっとやばくね?アテシでも流石にわかるぜ」
彼が使った魔法についてはわからないけど、とんでもない効果がかかってる。全ステータスをカンストさせたりとかそういうタイプ。
(えー…なんだこれ…?)
ずっと一緒にいたからこそ、こんなことはできないことが確定している。アテシにはわかる─こんなのはマスターにはできない。
「とりあえず大事にしなよ。多分マリーっちに見せたら卒倒するレベルだし。うん、普通にアテシも言ったら用意してくれるかな?」
諦めて暗闇の中にハサミを向ける。どこにもいないように見えるけど、一周目の場所は大体覚えている。
暗闇の広場。ドクンドクンと脈打つ肉塊の横。不自然に空いている人一人分の隙間。
「─速く出てきなよ、ソロモン王。じゃないとアテシが切り刻むぜ?」
ぴちょん、と水滴の垂れる音。何も反応してくれない。
…あれ、もしかしてソロモンはいなかった?
ぼーっとしてる中で肉塊が迫ってくる。恥ずかしさを隠すように宝具を解放し、叫ぶことにした。
「どこ行ったんだよー!ラスボスがここにいるみたいな感じじゃんかー!」
ちなみに某黒幕は別のところに行ってます。