世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
正直に言えば、私はどこかの小特異点で彼と再会すると思っていた。ジルに喚ばれた特異点。二度目の接触だとは、まさかあちらも思ってはいなかっただろう。
─あなたには復讐する権利がある。
「ええ、いいでしょう。燃やし尽くしましょう」
「では段取りを…我が主の御心のままに
恭しくこちらを立てる言い方をするジル。私が偽物だとしても、狂化して尚も追い求めた聖なる光の少女として扱う。一度目はわからず、それを当然のものとして扱っていた。
(二度目の身としてはジャンヌ・ダルクの身代わりってことを把握してることはわかる。…でも私への敬愛は変わらない。本当に優秀な片腕ね)
判断してからジルの手を取り、一度立って目線を合わせる。彼からしてみれば復讐する駒として扱うつもりもなさそうで、本当に軍師として役に立つだろう。
「ええ。ジル、正直に答えなさい。私は偽物よね?」
「…滅相もない。もしやあの業火で灼かれた屈辱の日々が抜け落ちてしまいましたかな?」
「関係ないわ。私はジャンヌ・ダルクではなく、あなたが共に復讐したいとして作り上げた願望であることを知っているの」
ほう、と嘆息するような声。ジルが生前に自らのミスを指摘されたときと同じだった。
「だから取引をしましょう。ジルの復讐は手伝うわ。もちろん『ジャンヌ・ダルク』として、処刑された聖処女としてね」
「…なるほど。望まれるものは?」
「私もやりたいことがあるのよ。ちっぽけで、くだらないけどね」
アイツの顔を思い出す。結局最後まで私のことを覚えることができなかったアイツは、どこまでも夢が優しくて暖かった。
(笑い草よね。アヴェンジャーともあろうものが、他の人のために復讐するなんて)
ジャンヌ・ダルクとして、フランスの王を殺す。それは正当な復讐だ。
ならばアヴェンジャーとして世界へと復讐するのも大して変わらない。正当な復讐なのだから。
「それでいいかしら、ジル?」
「無論。しかし一つだけ訂正させていただきたいことが」
ゴホッと咳払いをした後、純粋な目でこちらへと笑いかける。
「残念ながら『ジャンヌ・ダルク』として振る舞うことを意識なさらないでください。あなたも同じく『ジャンヌ・ダルク』という神に見放された聖処女なのですから」
彼の言葉に息が詰まる。邪教を進行する彼からそんな言葉がでてくるとは思えなかったが、まぁ変わったことが起きるのは日常茶飯事だ。
「…そうね。とりあえず、邪龍を呼びましょうか」
旗をはためかせる。召喚する化物を選別する。
彼が望むだろう聖杯は全てを私の為に使って強化する。
ありとあらゆる障害は焼き払う。その復讐は、私に認められている権利だから。
─この世界は、私が燃やし尽くす。