世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
気絶したあと、当然ながらジャックに引きずられて立香と合流したらしい。詳しくはわからないけど特に三人とも異常はなかったし大丈夫だろう、多分。
(リリス曰く『キリエライトは救えない』らしいしなぁ…もしこれ以上寝取られたらどうしよ…)
とはいえ基本的に皆でマイルームにいる以上、そこまで心配することはない。二日前の特異点解決を含めて所長やロマニと話すだけである。
「はい、紅茶。眠気を覚ませるからこれを飲んで頑張って?」
「悪い…毒とか入ってるわけじゃないだけ楽なもんだなぁ…」
ロマニから渡された琥珀色の液体を飲み干し、ため息を吐く。カルデア内の英霊の人数を極端にまで減らしている以上、殆どの仕事を寝取られないように全員で行うのが基本。
「あんときよりは安全だけどきついねぇ…」
「おじいちゃんみたいなこと言わないでよフーくん。安全を確保するためにマシュとか連れて行くのは「やめろ。絶対にやめろ。本当にやめろ。やめろ」…そうなの?」
否定をめちゃくちゃするけどしょうがない。真っ先に心配するのが立香に対してなのはサーヴァントとして普通なんだけど、リリスからのお墨付きと行動が怪しすぎた。
「修学旅行の同じ部屋にいた女子とマシュ・キリエライトは同じ状態だよ。乱交を秩序として、愛欲に溺れることを善とする。ある意味間違ってはいないんだけどね…ま、だいっきらいだから」
裏を返せば、リリスやジャックの混沌は「純愛」となるわけだ。裏切られたらソロモンに投降してやることを決意しているくらいにはね。
「そんな言い方しなくても…」
「悪いけど予想通りだった、ってことです。だから立香の護衛としてサーヴァントをあらかじめ特異点に送り込んでおく必要があったんですよ」
リリスとジャックから嬉しそうな視線が向けられている。そもそも好き勝手やるのはいいけど報告してからやってほしいからやめてほしい。
(別に俺も二人がいるのは予想外なんだけどな?)
それっぽい言い訳を受け入れたのか、ロマニは少しため息をついた。諦めきってはいるけれど仲間を見つけたみたいな感じがする。
「普通はそうだよね…どうやら所長と僕以外はなんか貞操観念がおかしくなっているんだ」
所長は無事らしい。少し和らぎつつ、俺は色々とツッコミたいところに質問をする。
「人類消滅かもしれないのに?」
「というより、その極限状態だからこそと考えてもらえればいいよ。わけのわからない行動を取るようになったカルデアじゃ安全に過ごせる場所なんてほんの少ししかない」
紅茶を飲むので手一杯だよ、というロマニの顔にはひどいクマができている。やっぱりこのカルデアとかいう組織カス過ぎないかな。
「最悪なことにこのカルデアの職員は優秀なやつが多く揃っている─つまり、なまじ有能なだけに頭が回る」
例えば人理修復を少数で行っているマスターへとNTRビデオを送る嫌がらせだったりとか共用スペースでアホみたいな乱交をするとか。後輩を伴ってマイルームのセキュリティを突破し、もぬけの殻になった誰かのベッドで交わるとか。
猿と変わらないことにしか頭は使えないけれど、寝取るときには無駄な知識を活用するだろうというのは容易に想像がつく。
「てことで碌でもないことを思いつく前に終わらせたいんです。別に立香の部屋の前にクレイモア地雷しかけていいなら仕掛けますけど」
「殺意高いよね?アテシとジャックはともかく立香ちゃんも出れなくない?」
「だから機能するんだろ。解除するにしろ破壊するにしろ人が通れる場所じゃなくなる」
マシュ・キリエライトが盾を使えば突破できると思うが、その程度のことに猿が気付けるかと言われれば否を突きつけるだろう。
「とりあえずジャックとリリスの二人は俺の中に戻ってて。どうせ勝手に混じってたでしょ?」
「え、いつそんなことわかってたの?というかアテシはともかくジャックも?」
「うん。わたしと
「ほら、入った入った。俺から吸収しようとすると気持ち悪くて嫌なんだよ」
ジャックの願いを叶えたときもそうだったよなぁ、なんて思いながら腹を切って体内へと入ってもらう。血が垂れないしリリスもすんなり入ったのを確認し、ジッパーを閉めるように通り口を閉じる。
「何やってるのフーくん!?」
「あれだよ、ゆるキャラのよくやるイリュージョン的なやつ。それと同じ原理でやってるから」
「とんでもない技術過ぎないかい、それ。混じった霊基ってそういう風にサーヴァントがいたからなんだね…」
「最も自分の意志で出てこれちゃうから一長一短なんだけどな。この機能つけるのに色々と弄ってできたのがそのアイテムポーチだよ」
リリスが取って知らない間に立香が持っていた袋だけど、ありとあらゆるものが取り出せる化物じみた効能を持っている。
「それそのものが聖杯と変わらない魔力量してるから中に物を入れるときは気をつけてね。外に出す分には複製で済むけど、最初は解析とかで異常な魔力が見えてくるから」
「ひえぇ…なんか経済を壊すようなものばっかもってるよぉ…」
「僕としては聖杯相当のものを平然と抱えてまでの使い方がしょぼすぎるんだよね…」
「兵站とかそういうの気にしなくて住むのに重宝しますよ。ロンドンは一日で終わったからともかく、オケアノスじゃ腐った食べ物とか口にされなきゃいいなって祈ってたんですから」
マシュ・キリエライト…ギャラハッドだっけか、確か彼のスキルでマスターも毒無効だったような気もするけど睡眠薬と媚薬は効いたから信用するつもりがない。
「次のオルレアンじゃ長丁場になるでしょうし、こっちで準備できるものはしときますよ。…つっても、ロンドンと同じように通信は殆ど取れないでしょうけど」
「そうだね。皆で考えたいんだけど…所長が来れてないからなぁ…」
「呼んできますよ。この部屋の結界が破れたらどうせ気づけるから気にするようなものでもないですし」
部屋の外に出て『生物は通されないし抜けれもしない結界』を作り出す。サーヴァントまで含めたからマシュ・キリエライトが入ってくることはあるまい。
「じゃあちょっと行ってきますね。この結界を俺以外が壊したらなんかやばいの来ると思うんで」
昔の記憶通りの術式を仕込み、昔に空室であったあの部屋へと走る。
─助けられる範囲なら、救済を。