世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
オルガマリーは激怒した。悪辣に振る舞う職員群をどうにかするべきだと。
彼女が決意したその理由はロンドンにあった。もはや人理崩壊の黒幕がどの姿なのか─そして、その手先が現カルデアにおける最高戦力との接触をしたとあっては安心できないのは道理だった。
会話を聞けなかった原因が『機器の不調』と書いてあった以上、職員の怠慢なのは明らかである。もちろん実態はリリスによる聖杯を使った妨害なのだが、彼女が気づくことはできなかった。
結果として彼女は普通に職員を呼び出した。所長室の中で資源リソースに関する計算もやっており、また食事に際に食堂に足を運ぶこともなくロマニに持ってきてもらっていたことが裏目に出た。
有り体に言えば、オルガマリーはこのカルデアで起きていた異常について知らなかった。
「あなたたち、わかっているの?マシュも後で説教はするけど…ここにいる人材しかいない以上、人理修復はあなたたちの手にかかっているのよ!?」
へいへい、とヘラヘラとしながら金髪で黒い体の彼らは受け流す。時計塔でもサボりなどで黒い噂が絶えなかった彼らは、優秀さのみを見込んだマリスビリーによって登用された。なまじ仕事をやってきたから見逃していたが、今日こそはとオルガマリーは気合を入れる。
「だいたい私に対する態度がなってないのよ!いいわ、今日こそその態度を教育してあげる!」
フンスとキレながら近づいてきた彼女に対して彼らはにやりとほくそ笑む。甘さと酸味の混ざった気持ち悪い湿った匂いを嗅いだ瞬間、オルガマリーの体が崩れ落ちる。
「へっ、よくやったなぁ。やっぱ香りに関するやつだと近づかないと意味がないからキツイな。ありがとうございます、所長w」
「な、なにを…」
「そうやって強がってられるのも今のうちですよ。抵抗できないし頭もぼんやりとしてきたでしょう?」
体が拘束される。動けなくなる。悪意に満ちた視線に晒される。燃やされたあの時がフラッシュバックする。助けに来てもらえることを一瞬だけでも期待する。
(バカじゃない、かしら…疑っておいて、助けを求めるなんて…)
蹂躙されるだろう覚悟を決め、せめて意識だけは負けまいと目の前の相手を睨みつける。助かるようなことは想像していない。
されど、
扉が開け放たれた。そう認識すると同時に目の前にいた男達が全て肉塊へと変わる。情けや容赦など一切かけることがなかった。人の形を保つことすら許されない怒りが、肉や肝臓すらも血へと変化させる。
彼はポタポタと血が滴り始めた大剣を引き抜き、手元のポーチから丸薬を飲み干す。すると彼女の体から感じていた異常は殆ど消えていく。
「何やってんだ、所長。現行犯で殺したけど文句言うなよ」
ぶっきらぼうな言葉。殆ど話していないというのに助けに来てくれた。それだけで嬉しかったけれど、怯えのせいで彼へと返事ができない。
「…喋れないのも無理はない。死体を片付けるけど蘇るってことはないからな?そこらへん勘違いするなよ」
世界が歪む。ソレラが巻き戻され、人の形へと戻る。戻れば次は廃棄─そう言わんばかりにカルデアの外へと投げ始めた。雪風が吹く中で物言わぬそれらが隠されていく。
「…っと、失礼。ロマニのところに行くぞ」
カードを一枚取り出して何か唱えたと思うと、優しく横に抱かれる感覚。あの時に感じたような安心感に包まれながら、安堵の息と共にオルガマリーは眠った。
次の話から『邪竜百年戦争 オルレアン』もとい
『亜龍不杯聖戦 オルレアン』が始まります。
相談する話の部分はスキップなのでご了承を。