世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
それは怒りと祈りが混じり合った聖戦の地。
感情すらも飲み干せなかった愚者にして人間らしいものが集い続ける場。あり得ざる幻想と化した英霊の最後の防波堤。
無垢と偽る最も悲哀と怒りに満ちた七つの欲望の大罪を受け取った天使。
全てをなげうってまで尽くした彼の記憶についぞ残ることができなかった竜の聖女。
無垢でありながら罪ありきと断罪された海賊。
狂王たれと望まれた精神で尚も忠義を尽くさんとする光の戦士。
奮闘する姿を見ることなく自らが堕ちたことすらを自覚しない無垢たる少女。
骨となりし龍が国を壊し、獣は森を更地へと変え、人は腐敗し亡者へと引きずり込もうとする。
亜龍不杯聖戦 オルレアン。
─これを以て、君が代を見つけん。
「…てことでオルレアンだ。草原とはなんなのかを今一度問いたいところだぜ」
くぁ、と大きなあくびをする風香。立香も安全にレイシフトした。ここだけは安全、そう判断された場所だ。
本来ならば平和な草原は元の形を持ちつつも銀色の光を放っており、機械と変わらない状態なのは変わらなかった。安全である、という一点に関しては変わりないのが救いだった。
『よかった。無事にレイシフトできたみたいで』
『今回は私も見させてもらうわ。まさか立香の部屋でオペレーションさせてもらうとは思ってなかったけれどね』
インカムから聞こえる二人の大人の声。本当は冒険についていきたいだろうオルガマリーは霊脈に寄ってからやってくるように風香は言いくるめた。
(少なからず冒険したいってのならいいさ。本人に戦う意思がある。そして何の因果か知らないが妙に強くなってるから充分戦える)
霊脈を探すのが最優先になるのも目標がはっきりする点で利があるので、別に反対する理由もなかった。
「にしたってだいぶん近未来的な場所だよね。ほら、アーマーっぽいのに身をまとった人がいるよ」
立香の指さした先にはガッシャンガッシャンと音を立てて動いているロボットらしき人。こちらを見かけると、ゆっくりと動きながら向かってきている。
『第1村人ね。どう扱うかは立香に任せるけど…』
「とりあえず話しかけますね!フーくんヤバそうだったら助けて!」
「助けるも何も…いやまぁ助けるには違いないか…」
口答えしようとした瞬間、こちらに手を振ってきた村人が襲われているのを目にする。機械と獣が混じったよくわからない生命体は敵としてみなしている。
(こりゃまぁ…随分と面倒なことで)
ポーチの中から取り出したのは鎚だった。人を殴るのには少し鈍重な動きではあるものの、それでもサーヴァントの力をもってすれば機械に対して強いのは間違いないだろう。
一瞬で近づいた風香の攻撃。牽制の意味も兼ねて横薙ぎの軌道で迫り─そこで、予想外のことがおきた。
あたっていないわけではない。寧ろ当たったからこその異常が起きた。
「!?」
一撃で消えた。そうとしか言えない事象。その勢いに任せて振り切ってしまった風香は、守るべき対象である人に対してもハンマーは当たりにいく。
一瞬で消えていく─その異常性、これが特異点にある異変の一つだった。
「…悪い、立香。俺のミスだ」
謝る言葉。しかし彼女の視界に映っていたのは、別のものだった。
ブーンと現代社会では知られたもの。空へと飛び立ち、また人を乗せていたはずのもの。
それは、ヘリコプターだった。
あるいは、その残骸だった。
感想と高評価くれたらなんとかなるって花の魔術師がフォウくんに蹴られながら言ってました。