世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
人を人たらしめる材料とは何か。
昔そう問われて返した言葉は倫理や道徳といった『本能とかけ離れた知性』と返した覚えがある。
どこを線引きとするか曖昧な定義は納得しないかもしれない─そう怖くなったものの、俺は聞いてきた彼にそう返した。
『ハハッ、そんな答えになるとは思わなかったよ。人間として生きるには獣らしい無様な欲望は捨てなければならない、と』
肯定した記憶がある。その人間らしさが最も出るのは憐れみや愉悦である、とも。
興味深そうに深堀りしてくる彼。一緒くたにされるような感情ではないと思ったのだろうか。
『他を下に見て勝手に憐れみ、不幸や幸福を自らの悦に変える。獣と違って他への見下しに対してためらいなんてないしな。他を勝手に表現し評価するなんて番への求愛でもないじゃないか』
乾いた笑いが口から漏れる。自分のやっていることの言い訳として考えていたからなのだろうか、すらすらと思っていることの本音として出てきた。
(あぁ、俺はクズなんだろうな。もうよくわからなくなってきたし)
その「よくわからなくなったこと」が「人を愛する」ということも重々わかっていた。
触れ合っていたサーヴァントにやっていた行為がどこまで正しいのかわからない。
気づいた時点でもう手遅れなもの。
愛し方がわからない。
どう接すればいいかわからない。
『それをお前の罪として断罪するのは酷だろう。磨耗した原因は別にあり、また自罰的に考えなければならない原因もそこにある』
彼の指摘は間違いなく事実だ。少なくとも罪として断罪するにしては酷なことというのは的を得ている。
『何の覚悟もない青少年を拉致し、必要なものだけを渡し、それで人理を修復させる。その合間に青少年の力となるサーヴァントを奪っていく─あまつさえ全てを押しつけた身でありながら』
『ロマニ・アーキマンを除いて誰も救いの手を垂らさなかった。サーヴァントの召喚式を弄って奪いやすい女のみに改悪した』
ダン、と目の前にある机が彼によって揺らされる。形容しがたき強き怒りがここにいない彼らへと向けられる。
『愚かなのか!?目の前の問題の解決策を放棄して淫蕩にふけるのが人理保証の機関なのか?違うだろう!?』
その通りだと頷く。至極彼の怒りはまっとうであり、またケチのつけようのないものだ─異変を起こしているのが彼、という一点を除けば。
『どこの世界に自らの蜘蛛の糸を切るものがいる?支援のない状態で万夫不当の英霊と身一つで殺し合わせる?あまつさえ戦争すら程遠い一般人の子供に、だ!』
『生かしている理由すら【女を呼べる召喚の呼び水】だ!全てにおいて正気じゃあない─いずれ破綻するに決まっている!』
『あの箱が最後の砦?冗談じゃない!お前一人だけが最後の砦だ!最後の一人として縛りつけた上で、殆ど使える手駒が消える状態で!前に進み続けた英雄と呼べる存在!』
『君が一人だけでやらなければならないのはカルデアの整備が杜撰だったからだ。君が全ての罪を背負おうとするのは攻略において自ら選んだ道しか進めなかったからだ』
『…すまない、君に理解してほしいだけなのだ。あのゴミどもを守る理由などない、と。少なくとも君たちが持つ怒りとは正当なものでしかないということをな』
君、ではなく君たち。きっと俺と一緒にいてくれた大切なサーヴァントだろう。だが、だが…
『吐いても構わない。あのサーヴァントは間違いなく君を裏切ろうとしてしまった─だからその前に君の手で消えることを望んだのだ』
涙は枯れた。吐くものにカツ丼は混じることもない。彼女に渡した双剣の代わりはあの子の胸元を刺し貫いた。
『だから、だ。あえて私たちから提案をしよう。君たちだけを救う提案をしよう』
『お前も
そう言われて、どう返したのか。
自らにその資格はないと言って切り捨てたのか。
それとも救うことに疲れて彼の手をとったのか。
どっちなのかなんてもうわからない。
確かなことがあるとすれば、あの日の返しがどうであれ、俺は人理を救ったということ。
望んだのか、許さなかったのか。
それすらも、理解できないまま。
礼装獲得
『
人間らしい教授が交渉の席において複製したとんでもない鞄。人智を超えた逸品だが、中に入っているものは大半が風香の手でないと扱えないじゃじゃ馬の武器ばかり。英霊も使おうとすればバーサーカーと同じ魔力量を持っていかれる。
風香は最後の最後にこれをもらって喜んでいたが、生前における戦闘で使ったのは一回もない。「某青狸のチートを使うのは気が引ける」とのこと。
ただし、英霊となって持ち込んだ際にはとある武器シリーズとアイテムを無限に使用できるようになったため使う。2周目のチートは容認派。
仮に奪われても前述した通り風香以外にはまともに使いこなせないため意外と管理は雑。
『これを渡した理由?信賞必罰以外の何がある?
…まぁ、憐れんだだけだ。人に裏切られようとも、人理を救おうとした勇者をな』