世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
①:神を祀るために人間が作った儀礼・儀式の場所。東洋では寺社仏閣がこれに当たる。
②:魔術師や神が直接的に区切った異界に当たる場所。またはその類のもの。
腕が痛む。僅かに目を見開いてから荒れ果てた白亜の城の中であることに気づく。
「…マズイな。思ったより眠ってしまった」
とはいえ別に襲撃されることはなかったのでよかったと安心する。隣にいるメアリーがまだ眠っているようだし、少しくらいは動かないでおくか。
(ったく、面倒なもんよこしやがって…)
リリスもジャックもいない。こんな時に限ってオルガマリー所長たちの護衛に回してるし。
『ダイジョブダイジョブ、アタシが安全だって太鼓判を押せるサーヴァントがいるから』
『ん。万が一があったから自害、これでおーるおっけー』
まぁソレでも怪しいので念のために回収した魔力神経の一部を仕込んどいた。なーんか酷いことになったら即爆発するような地雷だ。
「…ん…あれ、風香…?」
「起きたか。転移するための笛を使うからちょっと我慢しろ。ついでにメタトロンならともかく立香に話すと芋づるで前世バレるからはぐれってことにしとけ」
「え?……うん!」
不可思議な音が大量に鳴り響き、パイプオルガンの音と共に天使の玉座にパチンと移動する。
「あーもう風香、来るなら来るって言ってよ。今お茶を淹れようとしてたところなんだから」
「悪い。ちょっとゾンビの特異点は武器の関係上やり辛くてな」
「それで、隣のサーヴァントは?立香ちゃん心配してたってのにまた新しい女の子つれてくるなんて乙女心がわかってないよー?」
「あぁ、ライダーだって。はぐれサーヴァントだから戦力強化としてはちょうどいいだろ」
矢継ぎ早の質問に対して俺が回答していく。内心見抜かれてないか不安になるが、そんなことは気にしても時間の無駄だ。
「私としては特異点解決に必要な最小限の実力なら構わないかなーって。流石に女を侍らせたいからってなら容赦なく簀巻きにして立香ちゃんと共有するけど」
「さらっと恐ろしいこと言わないでもらえます?」
「とりあえず冷えた茶を運ぶの手伝ってよ。そこのライダーもそんくらいできるでしょ?」
「もちろん。和のお茶なんて珍しいしね」
「紅茶だよ。今川焼きでも意外と合うんだよ?」
フッフッと笑いながら全部に角砂糖を沈めると、彼女は俺とメアリーにコップを持たせる。
「お盆なんてものはないからね。自分の分は自分で運んでー」
「はいはい」
無駄口を叩く前に急いで運ぶ。冷たかろうとヌルかろうと出してほしい温度で飲んでもらうのが作り手にとっても嬉しいはずだろうし。
「ん、フーくん。…また新しい女の子?ちっちゃい子のほうが好きなの?」
「誤解だ!」
心外すぎる。確かにリリス以外全員ロリと形容する見た目ではあるけど。
(そもそも英霊って一回人生終えてないとダメなんだよ!大体死んでるから精神年齢とか30くらいは優に超えてるんだからな?)
と、言いたい気持ちが山々だけれど我慢。立香に些細な違和感も気づかれてはいけない。
「僕はこれでも成人してるよ。年齢はね…うん、今風香が思ったくらい」
「へぇ。そんなこともわかっちゃうんだ。ふぅん」
段々とジトーっとした目に耐えられない。
「別になんとなくで英霊になると読めたりするのさ。嫌なら次からは気をつけるよ」
「…そう。なら、いいんだけど」
会話が途切れたタイミングでふわふわとメタトロンが玉座にのってきた。
「ほら、ちゃんと水分補給は大切だから飲みなよ。アイスティーしかなかったけど、いいかな?」
「いいよ。別に不味いわけでもないんだから」
ぐいっと一息に飲む。立香もちょっと疲れていたのか、一息に半分ほど飲み込んだ。
「…とりあえずどうしよっか。風香の予定が終わったなら一回こっちで休んだら?」
「あぁ…ま、そうしてみようか」
別に速く終わらせることにこだわる理由もない。─ここに男は俺以外いないのだから。
「…っと、ちょっとヤバイかもな。思ったより無理が回ったかもしんない」
「無理しないでよー?眠るならそこに用意した椅子のうえで…」
メタトロンのセリフが終わる前に飛び込み、俺は意識が落ちた。
─アイスティーの時点で、気づくべきだったのに。
ランサーがいないことにも、おかしいと思うべきだったのに。
③:神が矮小なる保護対象を閉じ込めるための場所。また、その類の固有心象。