世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
たった独りの子供を望む夫婦がいる一方で、財産を奪い合う子どもたちを笑う夫婦がいる。
喧しく自分の功績を高らかに叫ぶ兵士の横に、尊厳を踏みにじられた少女が死んでいる。
平和と愛を叫ぶ自由の片手には銃とナイフが握られている。
正しさを叫ぶ下級の役人の上で横領をする悪臣がいる。
国は呆れ返るほど平和だった。
国は自分のことしか考えていなかった。
国は考える以前に死なないように必死だった。
見た。見た。見た。
正義の蛮行を、当てはまらない異常を、絶望に浸った少女を、餓死しないよう隣人の死体を食らう村を、大量に人を殺すことを後悔した少年を、終わりのない環境の破壊を、金を見せびらかして紛争地帯を歩く富豪を、手足の欠損を治せない部隊を、特攻を尊ぶ精神を、終わりのない闘争を。
壊れることはなかった。とっくのとうに壊れた精神に砕けるはずの器なんて無かった。
今はただ、思うばかりだ。
─人間は愚かである、と。
無意識の内に彼が手に取った武器は旗だった。
「え」
彼女の声が闇の中へと響く。自分の用意した選択肢のなかにソレはなかったからだ。
「勘違いすんな、折田。アンタが目の前にいたからとかそういう理由で選んだわけじゃない」
「じゃあ、なんで」
「決まってんだろ」
彼は目の前にいる少女によく見えるように─獲物がいたことを高らかに伝えるように旗を振る。
「一人の犠牲さえ許容すれば確実に勝てるチャンスが目の前に転がってんだぜ?」
その根底にあるものは負の感情。もっともらしい怒りと共に押し込められた『なぜ自分だけが』という感情。
そこから発露されたものは─憐憫だった。
「なんでこんなクラスに押し込められたか納得したよ。アンタがそうなんだから俺もそうなんだろう」
ジャンヌ・ダルク・オルタと同じである、と。
言外にそう告げた彼の体はもう殆どが灰になっている。この世界が心象風景だからなのか燃えることにためらう素振りは一切なかった。
「せっかくだ、テメェもつき合え。共犯者だのなんだの言っといて結局は俺の中に勝手に住み着いてたんだろ」
「あら、酷い言い分ね。風香が何にも動かなかったから私が心象風景を広げてあげただけなのに」
「否定はしないし断罪するつもりもねぇよ。…受け取れ」
彼は一枚になったカードを投げる。ツギハギとなった、何かと何かの絵柄が混じった特殊なもの。
「なんか魔術でも仕込んでるの?」
「仕込んでないぞ。だからこそ対策としてそれを選んだ」
「…あまり聞かないでおいてあげる。どうせこんなの複数作れるもんじゃあないでしょ」
「リリスたちの分とメアリーに渡したらなくなるからな。俺の分を含めなきゃ当然こうなる」
うむうむ、と頷いている彼はどこもおかしな状態ではない。
あくまで自然体─ただし、自らの体は灰になっているのだが。
「そもそも嫌がらせで諸共に死んでやろうとしてたからね、俺の分はいらなかったんだよ」
「どうやって…ああ、ランサーの武器ね。アレなら確かに諸共で死ねるわ」
一度飛び越した線から戻ることはない。共犯者に選んだサーヴァントに謝ることもしない。
「てことでこの後よろしくね。ある程度の作戦はメアリー以外には共有してるから」
「…でしょうね。勝算は?」
「どこまで俺の嘘に相手が気づかないかに尽きる。まあ勝てるだろ」
どこか楽観的な言葉を後に。
その暗闇の空間は燃えきった。
アイテム獲得!
『ツギハギのカード』
本来なら2つあるカードをぐちゃぐちゃに切り嗣ぎしたカード。
旅立つはずの人の手には鎌。
犬として付き従うものは死相。
誰かからもらった宝物なのか、とても大切にされた跡がうかがえる。
彼の持つ唯一のサーヴァントとしての良心はここに起因しているものであり、また真名を隠した結果ではこのカードが現れる。
エンド1『変わらない世界の終わり』を選択すると入手できる。
礼装としては何の意味も持たない、ただのカード。
アイテム獲得!
『灰を纏う旗』
本来の用途として一度も使われたことのないまま所有者が変わった旗。
旗の本来の用途とは「鼓舞」だ。人へと活力を呼び、戦局から生の未来を渇望させ、集まるための印とする。
旗の固定されている部分を抜き取り、テーブルクロスとして使うことも可能。デカすぎるが故に普段使いはここでしかできないのである。
エンド4『残火
武器としては用いることができない、単なる旗。