世界を救え?できらぁ!   作:星5すり抜けとNTRは悪い文明

50 / 50
…どうしてこうなった?


第50話 優柔不断(混沌)

たった独りの子供を望む夫婦がいる一方で、財産を奪い合う子どもたちを笑う夫婦がいる。

 

喧しく自分の功績を高らかに叫ぶ兵士の横に、尊厳を踏みにじられた少女が死んでいる。

 

平和と愛を叫ぶ自由の片手には銃とナイフが握られている。

 

正しさを叫ぶ下級の役人の上で横領をする悪臣がいる。

 

国は呆れ返るほど平和だった。

国は自分のことしか考えていなかった。

国は考える以前に死なないように必死だった。

 

見た。見た。見た。

 

正義の蛮行を、当てはまらない異常を、絶望に浸った少女を、餓死しないよう隣人の死体を食らう村を、大量に人を殺すことを後悔した少年を、終わりのない環境の破壊を、金を見せびらかして紛争地帯を歩く富豪を、手足の欠損を治せない部隊を、特攻を尊ぶ精神を、終わりのない闘争を。

 

壊れることはなかった。とっくのとうに壊れた精神に砕けるはずの器なんて無かった。

 

今はただ、思うばかりだ。

 

 

─人間は愚かである、と。

 


 

 

無意識の内に彼が手に取った武器は旗だった。

 

「え」

 

彼女の声が闇の中へと響く。自分の用意した選択肢のなかにソレはなかったからだ。

 

「勘違いすんな、折田。アンタが目の前にいたからとかそういう理由で選んだわけじゃない」

 

「じゃあ、なんで」

 

「決まってんだろ」

 

彼は目の前にいる少女によく見えるように─獲物がいたことを高らかに伝えるように旗を振る。

 

「一人の犠牲さえ許容すれば確実に勝てるチャンスが目の前に転がってんだぜ?」

 

その根底にあるものは負の感情。もっともらしい怒りと共に押し込められた『なぜ自分だけが』という感情。

 

そこから発露されたものは─憐憫だった。

 

「なんでこんなクラスに押し込められたか納得したよ。アンタがそうなんだから俺もそうなんだろう」

 

ジャンヌ・ダルク・オルタと同じである、と。

言外にそう告げた彼の体はもう殆どが灰になっている。この世界が心象風景だからなのか燃えることにためらう素振りは一切なかった。

 

「せっかくだ、テメェもつき合え。共犯者だのなんだの言っといて結局は俺の中に勝手に住み着いてたんだろ」

 

「あら、酷い言い分ね。風香が何にも動かなかったから私が心象風景を広げてあげただけなのに」

 

「否定はしないし断罪するつもりもねぇよ。…受け取れ」

 

彼は一枚になったカードを投げる。ツギハギとなった、何かと何かの絵柄が混じった特殊なもの。

 

「なんか魔術でも仕込んでるの?」

 

「仕込んでないぞ。だからこそ対策としてそれを選んだ」

 

「…あまり聞かないでおいてあげる。どうせこんなの複数作れるもんじゃあないでしょ」

 

「リリスたちの分とメアリーに渡したらなくなるからな。俺の分を含めなきゃ当然こうなる」

 

うむうむ、と頷いている彼はどこもおかしな状態ではない。

 

あくまで自然体─ただし、自らの体は灰になっているのだが。

 

「そもそも嫌がらせで諸共に死んでやろうとしてたからね、俺の分はいらなかったんだよ」

 

「どうやって…ああ、ランサーの武器ね。アレなら確かに諸共で死ねるわ」

 

一度飛び越した線から戻ることはない。共犯者に選んだサーヴァントに謝ることもしない。

 

「てことでこの後よろしくね。ある程度の作戦はメアリー以外には共有してるから」

 

「…でしょうね。勝算は?」

 

「どこまで俺の嘘に相手が気づかないかに尽きる。まあ勝てるだろ」

 

どこか楽観的な言葉を後に。

 

その暗闇の空間は燃えきった。




アイテム獲得!
『ツギハギのカード』
本来なら2つあるカードをぐちゃぐちゃに切り嗣ぎしたカード。
旅立つはずの人の手には鎌。
犬として付き従うものは死相。
誰かからもらった宝物なのか、とても大切にされた跡がうかがえる。

彼の持つ唯一のサーヴァントとしての良心はここに起因しているものであり、また真名を隠した結果ではこのカードが現れる。

エンド1『変わらない世界の終わり』を選択すると入手できる。
礼装としては何の意味も持たない、ただのカード。

アイテム獲得!
『灰を纏う旗』
本来の用途として一度も使われたことのないまま所有者が変わった旗。

旗の本来の用途とは「鼓舞」だ。人へと活力を呼び、戦局から生の未来を渇望させ、集まるための印とする。

旗の固定されている部分を抜き取り、テーブルクロスとして使うことも可能。デカすぎるが故に普段使いはここでしかできないのである。

エンド4『残火燻(くすぶ)り雪の中』を選択すると入手できる。
武器としては用いることができない、単なる旗。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

世界を救うとかダルすぎる(作者:ギリギリニート)(原作:Fate/)

▼なので原作主人公の幼馴染の後ろでサボっていようと思う▼主人公は混沌・悪でサボり魔▼※この小説には『Fate/Grand Order』のネタバレを多く含みます


総合評価:1121/評価:8.08/連載:3話/更新日時:2026年08月20日(木) 00:19 小説情報

冬木市新卒ガス社員(作者:菌糸類に脳を焼かれた海洋生物)(原作:Fate/)

▼クソボケ社員が色んな奴から感情を向けられる話


総合評価:1788/評価:7.86/連載:9話/更新日時:2026年10月10日(土) 19:00 小説情報

いつの間にか彼女面が増えている件(作者:怒飲焼)(原作:崩壊:スターレイル)

崩壊:スターレイルの世界に転生し、早25年▼スターピースカンパニーに就職した主人公ハジメ▼ある朝、起きたら隣にトパーズが…▼やたらトパーズは彼女面してくるし…記憶がないのに彼女面が増えてく…


総合評価:1591/評価:7.6/連載:33話/更新日時:2026年11月07日(土) 00:00 小説情報

お前のミスでした―――。(作者:とっとこ馬鹿野郎ッ!!)(原作:ブルーアーカイブ)

散々生徒と先生、ついでに私の脳を焼いたくせに、このままフェードアウト出来ると思ったんですか?このクソボケが。▼現在、原作最終章後のストーリーとそれ以前のストーリーの両方を更新しています。▼この小説においては最終章後が本編、最終章前が前日譚のようなものです。▼どちらから読み進めても大丈夫です。


総合評価:1907/評価:7.21/連載:18話/更新日時:2026年09月01日(火) 23:37 小説情報

起きたら超絶美少女が嫁になっていた件(作者:理 想 な ん か ね ぇ よ)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼タイトルのまんまです▼深夜テンションで書いたから続くかは未定▼記憶喪失のオリ主が死ぬほどゼンゼロキャラを曇らせていた話▼追記、リメイクします


総合評価:2009/評価:8.03/未完:6話/更新日時:2026年08月31日(月) 22:22 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>