シロちゃん登場と言ったな、あれは嘘だ。
「……と、いう事で、王途川リサは今日から五席に昇格だ」
隊員の皆からパチパチと拍手をされる。
今日は七番隊の全体会議である。いつもこの場で人事報告が成されたり、表彰されたりする。
「私、王途川はこの立場に相応しい人物になれるよう精進しますので、これからもどうぞよろしくお願いします!」
うーん、五席になるまで長くなかった言うと嘘にはなるが…結構忙しかったなぁ。
霊術院を卒業して15年程。仕事も慣れてきたし、現世での任務も順調。唯一の悩みは年上の部下が増えた事だろうか、明らかに歳取った爺さん相手だとこれが結構やりずらい。
卍解については…あまり順調ではない。精神世界には行けない事はないのだが、彼女からは「もっと自己理解を深めろ」と言われ中々出来ずじまいなのだ。
始解が精神世界で斬魄刀の本体と信頼関係を築き、名前を知る「対話と同調」を済ませて習得できるのに対し、卍解は精神世界にいる本体をこちらの世界に呼び出す「具象化」と呼び出した本体を「屈服」状態にすることが必要なのである。
あと最近では、鬼道指南会を月に2回程度行っている。あまり戦闘が得意でない隊士向けに、「鬼道を極めれば戦えるようになるよ〜」と宣伝し、授業、指南をしており、みんな頑張ってくれるので教え甲斐がある。
「王途川、ちょっと後で話がある。執務室に来い」
会議も終わり、皆が仕事場に戻る際、私は愛川隊長に声をかけられた。
「え、はい…分かりました」
何これ何これ、まさかお叱りですか…?
「まぁまぁそんな顔すんな、別に説教する訳じゃねぇよ」
よ、良かったぁ(安堵)
じゃあ何なんですかね、私の剣の腕が弱すぎるから鍛えようって言うんですかね…?(ガクブル)
しかし、私の不安も他所に隊長は、スタスタと副隊長を連れて帰ってしまった。
「昇格おめでとうございます!」
「王途川ァ、お前成長したな…剣の腕は成長してないが」
「王途川五席! 聞きましたよ! あの件貴方が解決したって! すごいですね!」
「ふふふ、ありがとうね」
色んな人に昇格を祝福されるのは気持ちがいいものだ、1部祝福なのか怪しいものも混ざっていたけれども。
——————
私は7番隊執務室の襖越しに声を張る。
「失礼します、五席、王途川リサです。愛川隊長はいらっしゃいますか?」
「おぉ、王途川か、入っていいぞ」
そう返事したのはうちの7番隊隊長である愛川羅武、通称ラブ隊長だ。(アフロとも言う)
「はい!では隊長、昼に仰った件なのですが…」
「いや〜、実はね」
愛川隊長は1枚の紙を私に渡す。
「これは…」
「現世で大虚が出たとの報告があったのだが、つい先日送った隊士が…全員霊圧が感知できなくなった。だか今頼めるのがお前くらいしかいねぇんだ」
「……場所は横浜ですか。しかし霊圧が消滅したと言うと恐らく、」
「あぁ、死んだだろうな」
なるほど、それで最近勢いがある私にお鉢が回ってきたという訳か。強い虚との戦闘経験を積ませる目的もあるんだろうな。
しかし横浜か、開港地だし外国人が多いという事は、もしかしたらシロちゃんとかいますかね?
「分かりました、行きます」
居たら早速護廷十三隊からトンズラこがせていただきますよっと。
「あぁ、よろしく頼んだ。早速、五席としての実力を見せてくれよ!」
もしいたら……愛川隊長スマン……。
————————
「はー、これ何日かかるのやら。痕跡が欠片も見つからないんですけどーっ」
私は思わずそう口にし、ひょいひょいと夜の横浜の街を飛びながら、周囲の霊圧を探る。
如何せん虚と思しき霊圧が欠片もない。今回の任務は長丁場になりそうだなと考えると同時に、尸魂界に残してきた書類仕事と、ご褒美の饅頭を思い浮かべる。
「……ん? なんかあそこにクソでかい力士みたいな霊圧があるなぁ」
そこにあるのは小さな屋敷。しかし悲鳴も聞こえない上に禍々しさは感じないので虚ではないだろう。
「まー、まだ虚さん居ないしちょっと覗いちゃお」
これ現代だったらストーカー?盗撮?どちらか分からないけど罪ですよね。この時代でも何らかの罪には当てはまりそうではあるけど!
「……………………………、え、?」
そこに居たのは銀色のツンツンとした髪の毛を持ち、翡翠色の瞳を持った、我が愛しの——
「ひ、日番谷、冬獅郎……!? うそうそうそうそ、まさかここで会えるとは……っふぅ、まずは落ち着け、やるべき事を整理しよう」
私は深呼吸して興奮で早鐘の如く止まらない心臓を宥める。
決めた、私、王途川リサは、今回の任務でシロちゃん♡ソウルメイト大作戦を実行する。名前ダサいとか言わないで……えーん
そのために、まずは虚にやられたフリをして、完全に霊圧を消し、尚且つ現世の人間に見えるようにしなければならない。
「まぁ、虚と相討ちって感じにやりますか!」
私は気合いを入れ直し、シロちゃんから十分離れた所に移動した後に霊圧を解放する。
これで大虚が釣られて出てくれば一瞬。出てこなくても少しの反応があれば私の霊圧探知に必ず引っかかるだろう。
「…………いたね」
現在地から距離にして約3km、放出した霊圧に驚いて微かに霊圧の変化があった奴がいる。場所はそこだ。
瞬歩で一直線に日本家屋の屋根を駆け抜け、少しずつ敵との距離を詰めていき、抜刀の用意をする。
「シロちゃんの為だ。何がなんでも早々に片付けさせてもらうよ……見えた、隙の糸!!」
「……ッ!!」
私は一瞬で大虚の目前に現れ、奴に一振し距離をとる。
「さすが大虚、一見さんお断りですか」
「ッガァァァッ!!」
初撃を躱した大虚は一瞬で距離を詰め、自慢の長い爪で私に襲いかかる。
「なるほどなぁ、こいつ俊敏タイプか。おまけにパワーも乗っているし、私の刀じゃあ受けきれない」
瞬歩を駆使し、攻撃を躱して斬魄刀の側面に手を添える。
「ガァァッッッ!!」
「私は見切りが早いタイプだからね、自分の得意な事をやらせて貰うよ———縛道の三十九、円閘扇」
私は大きく跳躍し、右腕を振り下ろす大虚の攻撃を円形の縦で受け、跳躍し反動を減らす。
「縛道の一、塞」
縛道で手足の動きを縛ろうとする、が
「ゥオオオオオ!!」
「流石大虚、私の霊力程度の塞じゃあ破れるか。じゃあ次は——縛道の六十一、六杖光牢」
手足の自由を獲得し油断した隙に6本の帯状の霊圧で相手を完全に拘束する。
「……ァアッッ!! ガァァッッ!!」
「この程度なら簡単には破れはしないでしょ。縛道縛りプレイはこの位にしておいて…ッッ!!」
斬魄刀を鞘から引き抜いた直後、大虚は大口を開き、一点に霊子を収束させる。
「まずいっ、これは虚閃ッ!! 縛道の——」
そこで私は思い至る。せっかく死んだフリをするなら、完全に痕跡を消すより残した方がリアルではないか……と
私は左腕を横に突き出しギリギリで位置を調整する。
「ッッ!……痛いものは痛いなぁ」
虚閃が私の左腕を掠め、血飛沫を挙げる。
「縛道の二十一、赤煙遁。破道の七十三、双蓮蒼火墜!!」
縛道で煙に紛れ姿を消しつつ移動し、大虚の死角から破道にて強力な蒼い炎を浴びせる。
「ガァァッ……ガ、ァ、ァ……」
詠唱破棄で若干威力は落ちたものの霊力を殆どつぎ込んだだけあり、炎が大虚を完全に焼き付くす。
「あーー、終わった終わった。とりあえず回道使うか……。よし、大虚の霊圧が完全に消える前に……伏隠魄!!」
これは私が現世で雲隠れする作戦を思いついた時から少しずつ組み立て、最近完成させた自分だけのオリジナル鬼道。
解除の鬼道を唱えるまで霊圧が完全に消失し、現世の人間からの認知を可能にする上に、物質として質量を持ち完全に人間として存在することができる。
「これ完成させるの結構大変だったんだよね〜」
何せ自作の鬼道作りには資料が沢山必要な上に人目に隠れてコソコソやらねば意味が無い。しかしそこは自分の厨二病心を沸き立て、根性で何とか今日までに完成させた。
私は斬魄刀を鞘に戻しその場から離れる。
「よーし! シロちゃんの所へゴー! 待っててね、今行くよ……うふ、うふふふふ……」
————————
「愛川隊長!!! 報告です!!」
「何だよー、今から寝る所だったのに。急用じゃなきゃ明日にしてくれない?」
「いえ、隊長!! 王途川五席が!!!」
「おーおー、帰ってきたのか?」
「違うんです、王途川五席の霊圧消失を観測しました!!!」
「……ッ!」
瀞霊廷、護廷十三隊、七番隊隊長執務室にて。1人の隊士が持ってきた情報に愛川は衝撃が走る。元々彼女なら勝てると思って送り出した任務だ。まさか負けるとは思っていなかった。
愛川は斬魄刀を手に取り椅子から立ち上がる。
「で、王途川を殺した大虚は今何処だ」
これ以上席官を失うよりかは自分が行った方が良い。そう考えた愛川は出発の準備をする。が、
「い、いえ……五席により倒されました……相討ちです」
「!! そうか……任は果たしたんだな」
「は、はい……これから現世に遺体の回収に隊士を送ります。では、失礼します」
「あぁ、ご苦労」
隊士が去った後、愛川は再び執務机に向かい、天を仰ぐ。
「…………可能性を感じる有望株だったんだがなぁ。あ、しかもあいつ五大貴族だったよな…? こりゃあ、ちょっとばかし面倒なことになりそうだなァ……」
愛川は眉間に皺を寄せるが、ここは護廷十三隊。席官が死ねば代わりを補充しなければならない。愛川は次の五席に誰を入れるか考え始めた。
————————
僕は一族で一番強かった。
霊圧を使って大人10人を倒したこともあったし、僕の霊圧には誰も敵わなかった。そしてみんなが僕をなにか別のものとして捉えていた。
そんな時だった。真央霊術院の存在を知ったのは。
一族ではみんなとはかけ離れていた僕だけど、そこならきっと、同じなのではないか。きっと、同じ死神になる人達は僕と同じものが見えているに違いない。
霊術院に入ったら僕は井の中の蛙だったりして。
そんな人と、友達になりたいなぁ。
期待に心を踊らせて入学した霊術院。しかしその期待はすぐに裏切られることになった。
入学試験では勿論首席。霊圧が大きい上にまだ御しきれていない僕には皆簡単には近寄れず、遠巻きに眺めるのみ。
そんな同級生、上級生、果ては教師たちもが、僕にとっては地べたを歩き回る無力な蟻に見えていた。
僕は絶望した。死神の養成所とはいえ、所詮皆この程度なのかと。
僕はまだ弱い。だが生まれ持った圧倒的な霊圧と、高い向上心は僕をそのままで居させてはくれない。蟻ならば蟻として向上心を持って努力するのはいいが、それを持ってしても僕に追いつくなど到底無理であろう。
「君はすごいね」
「惣右介くんってなんでもできるんだね!」
「俺らとは違うよなー」
「惣右介! 君は才能があるよ!」
「きっと藍染くんは神様に愛されているんだろうな」
ここに来る前に散々言われてきた言葉。それらはこれからも変わらず発せられるであろうことは容易に推測できた。
入学式からしばらく経ったある日、家庭の事情だか何だか知らないが、これまで霊術院に来れていなかった生徒が来た。
五大貴族王途川家の、当主の一人娘、王途川リサ。
僕自身も以前から名前は聞いた事があったが、所詮は只のクラスメイト。立場は同じであれば五大貴族だからといって敬う必要は無いと考えた僕は、彼女にも皆と同じ対応をした。
そんな日常が一変したのは、突然だった。
その日は鬼道の実践演習の授業だった。自分の試験が終わった後、ふと思い出した事があったのだ。
そういえば朝、いつも話しかけてくる同期が何やら、鬼道がどうこうと言っていたな、と。
確かこの授業に関する事だったなと僕がそちらへ目を向けると、彼女は丁度試験の最中であった。
「破道の三十一、赤火砲!」
鬼道の詠唱破棄は難易度が高い。実際この僕もまだ三十番台など到底出来ない。
——王途川リサ。僕と同じく1組であり、次席。143cmと小柄な体で、黒髪に藍緑色の髪が混じった不思議な髪は常に三つ編みにされている。加えて髪色と同じ藍緑色の瞳に、色白で整った顔立ちは一般的に美人と類される物であった。
最初はただの2番手と気にも止めていなかったが、この事をきっかけに僕は彼女を認識するようになった。
そこで改めて気づいた、彼女の凄まじい鬼道の才能と、普段は押されられているものの、戦闘時には溢れんばかりの強大な霊圧。流石は王途川家と言った所だろうか。
しかし、死神の基本である斬拳歩鬼のうち、彼女は得意不得意が顕著であった。得意科目では僕と対等。いや、僕以上の勝負が出来るにも関わらず、不得意科目では霊圧を以てしてやっと並以下。
才能頼りの奴がすぐに堕落し落ちぶれていく所を何度も見ていた事もあり、最初はあまり期待をしていなかった。
だが予想に反し、王途川という人間は努力家でもあった。僕もそこそこ遅くまで鍛錬所で自主訓練はしていたが、彼女は僕が帰っても暫く続けている。
僕自身もそんな彼女に触発されてそのまま鍛錬し続ける事もあるのだから、いい競争相手と言えばそういうことなのだろう。
さらに、僕と同じく自らの霊圧で苦労した経験を持っており、同じ痛みを持つ人間として共感出来るものも多かった。
弱点はある。しかし彼女、王途川リサは、強くなる、僕に並び立てる可能性を感じた。これからの成長が期待できる霊圧、僕以上の鬼道の才能に飽くなき向上心。
皆、いつかは僕の成長速度に追いつけなくなり、それは僕より下の存在となってしまうだろう。これは自惚れなんかじゃない、確信だった。
しかし彼女は、僕と共に強くなってくれる。追いついてくれる。
「おはよう、藍染!」
「藍染、この鬼道は——」
「うーっ、卑怯だぞ藍染!!」
「ふふふ、やっぱりまだまだだね藍染!」
「藍染、聞いて驚いてよね、斬魄刀と対話に成功したよ!」
僕はいつしか彼女を対等の友人として認めていた。
——————————
「王途川が、死んだ?」
場所は変わり五番隊、第八席官室にて。
「は、はい……先程七番隊の同期が慌ただしくしていたので、何があったか聞くとそのように言っていまして。確か藍染八席は親しくされていたと思い報告させて頂いたのですが…」
「……いや、その通りだよ。報告ありがとう」
藍染は執務机から立ち上がり斬魄刀を帯刀し、落ちかけた仮面をつけ直すように再び穏やかな顔で報告に来た隊士に問う。
「すまない、少し動揺してしまってね。事後処理はどこの管轄か聞いてもいいかな?」
「え、えと、確か七番隊の虎山十三席が事後処理に当たっておられたような…?」
隊士は普段あまり動じない自分の上司の珍しい姿に若干驚きつつも、正確に同僚からの情報を伝える。
「……わかった、どうもありがとう。持ってきてくれた書類はそこに置いておいてくれるかな、後で片付けておくよ」
「は、はい! あの……どちらへ?」
「暫し七番隊に行ってくる。何かあれば伝令神機で教えてくれ」
藍染はそう言い残し、自分の席官室を後にする。目指すは七番隊の十三席官室。王途川の死という同期の突然の喪失は彼にとって軽いものではなかったのである。
(死んだ? 恐らくそんな事は無いだろう。霊圧の消失を観測し、それが死んだと思われたか。ともかく彼女は簡単に殺されるような人物ではない)
藍染はそう確信していた。ただ自分の足を早める想いがあるのも事実。
藍染は焦りを感じていたのである。
「失礼する、七番隊八席、藍染惣右介だ」
「どうぞ、あぁ、藍染八席ですか。もしかして王途川五席の件でしょうか?」
藍染が声をかけ扉を開けると、慌ただしく現世への出発準備をする複数の隊士と彼らを率いる席官がいた。
「その通りだよ、よく分かったね」
「王途川さんと藍染さんが仲が良いというのは一度聞いた事がありましてね…事後処理、同行されますか?」
「いいのかい?」
「えぇ、もしかしたらまだ瀬戸際でご存命かもしれませんからね、捜索の手は多いに越したことはないです」
「感謝するよ、虎山十三席」
虎山は隊士に一言呼びかけ、穿界門を開き地獄蝶を呼び出す。
「では行きましょうか」
「うん」
——————————
「ここが現場ですね……この血は恐らく五席のものでしょう」
「そうだね。それに、ここに微かに残る霊子も彼女のものだ」
2人は目下の凄惨な血飛沫を見下ろしながら考察を続ける。——王途川が仕組んだ現場だとは露知らず。
まだ血痕は乾ききっておらず、直近の出来事である事を生々しく伝えていた。
「十三席! こちらを!!」
虎山の部下が黒い布を持ってくる。彼は隊士から受け取った物を確かめると思わず目を見開いた。
それは鮮血で染まり、破れた黒い死装束であった。穿たれたような跡がついており、自分で切断したのではなく他者、つまり任務の目的であった大虚の攻撃である事が一目瞭然であった。
2人の脳内に、王途川が虚閃により撃ち抜かれたものの最後の抵抗で大虚を討伐出来た、という最悪の妄想が広がる。
「……霊圧消失の、現実味が増してきましたね」
「いや、まだそう考えるのは早計だ」
藍染は両腕に紋を描き、鬼道発動の用意をすすめる。
「黒白の羅、二十二の橋梁、六十六の冠帯、足跡・遠雷・尖峰・回地・夜伏・雲海・蒼い隊列、太円に満ちて天を挺れ——縛道の七十七・天挺空羅」
「なっ…七十番台の縛道…!? ッ、そうか、天挺空羅は居場所を捕捉し、伝達を行う鬼道!! これで捕捉出来れば場所も生存確認も出来る!」
だが、その期待の答えは軽い暴発によるものだけであった。その回答が意味する物は、即ち、
「……確実に死んでいるね」
「……っ、そのようですね、まさか、王途川五席が……いえ、何でもありません。では……私達は事後処理を進めて参ります…鬼道の協力、ありがとうございました」
ここで藍染に別れを言ったのは、彼女と仲の良かった藍染にこれ以上現場を見せる訳にはいかないという優しさから来た行動であった。
だが虎山が立ち去った後、藍染は1人で周囲を捜索し始める。彼は探していたのだ、自らが彼女に贈った、髪飾りの事を。
(彼女は私の贈った髪飾りを常に身につけていた。今回も例外ではないだろう。あれは、万が一のこういう時の為、証明になるようにと簡単な力では壊れない特別製の代物にしてある。もし頭も撃ち抜かれていても欠片位は残っている筈だ)
だがいくら探しても欠片は見つからない。即ちそれが意味するのは…。
藍染は思わず口角が上がる。
(彼女は——王途川リサはまだ生きている。髪飾りが証明してくれた。全く、死を偽装してまで現世で成したい事があるのに僕に教えてくれなかったのは少し憎たらしい…が)
「いいだろう、それは、僕への挑戦状として受け取ろう。探し出してみせようじゃないか」
彼は1人笑う。そこに禍々しい霊圧が滾っていたのは誰1人知らない。王途川はそんな彼の思いは露知らず。
「ぶぇぇっくしょんっ!! んもー、何だよー、霊圧消してるから寒くなった? ま、とにかくシロちゃんだよ、シロちゃん♡ソウルメイト大作戦、開始ー!!」
王途川は相変わらずであった。
藍「僕が恋人でもないのに意味も無く髪飾りなんて贈る訳ないじゃないか^^」
次回、シロちゃん登場(ガチ)!デュエルスタンバイ!!
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