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ホントはここに名前を書いて感謝を述べたい所なのですが、嫌な人居たらどうしよう…なんて考えがよぎり、しませんでした。
改めて皆さん、ありがとうございます。
「冬獅郎くーん、久しぶり〜って、あれ?」
リサは日番谷家のどこかいつもと違う異様な雰囲気を感じとっていた。
「リサちゃん! 待ってましたよ、さ、早くお入りください! 坊ちゃんが……」
「冬獅郎くんが、どうかしたんですか?」
「3日前に風邪が悪化されましてね、医者を呼んで診断してもらったら………その、かなり重症化しており危篤状態なのだと」
「…………え、?」
鈴木はリサを家の中に招き入れるが、リサは状況を上手く飲み込めていないのか、どこか呆然とした顔を見せる。
「……リサか……ゲホッ、ゲホッ」
そこに居たのはここ数日で急激に弱りきった日番谷であり、風邪はこうも人を弱らせるのかと言いたくなるような姿であった。
「大丈夫!? と、冬獅郎くん……!」
「あぁ、俺は大丈夫だ…………風邪が移るぞ」
この時代はまだまだ医療も進歩しておらず、ただの流行り風邪さえも、人を殺す事が出来る重篤な病気である。
「いいよ、移ったって。冬獅郎くんが元気になってくれるなら、ずっといるからね」
リサは額の手ぬぐいを変える準備を始める。鈴木としては彼女一人では回しきれないようで、疲れが見える目の下のクマと共に安堵の表情を浮かべ、彼女に感謝を述べた。
日番谷は力のない笑顔を浮かべ、外を見る。
自分自身かなり弱ってきており、割と危ない状況なのは彼にも簡単に察することができた。
(父さんは……まぁ来ないだろうな)
生まれについては、鈴木から色々と聞いていた。自殺した母親の事ももう恨んでなんかいない。この髪色と瞳の色の血を持つ父親も、恨み辛みが無い事はないが、自分がこの世に生まれる機会を作った事実には感謝すらしていた。
「…リサ、1日早いけどお誕生日おめでとう。楽しく祝ってやれなくてごめんな」
「…………ううん、祝ってくれることかすごく、嬉しいよ」
「これ、お前に似合うかなと思って」
そう言うと日番谷は包み紙を差し出す。リサはその包み紙をやさしく開き、きらりと金色に輝く簪に目を見開いた。
「すごい、綺麗」
簪の飾りは青紫色の花であしらわれており、周りに緑色の葉が包み込むように装飾され、金色の糸からは花と同じく青紫色の玉が2つ吊るされていた。
「ありがとう、冬獅郎くん」
大切にするね、とリサは涙を浮かべ、笑顔でそう口にして両手を日番谷の背中に回す。
日番谷はリサの肩に額を預け、小さく息を吐く。
「……あったけー」
「当たり前だよ。私、生きてるもん」
「……そうだな」
その返事はあまりにも弱々しく、今にも消えてしまいそうだった。部屋の中は静かで、聞こえるのは時計の針の音と、苦しそうな呼吸だけ。
リサは必死に作ったような笑顔を見せる。
「ねぇ冬獅郎くん、元気になったらまた港に行こうよ。私がお弁当作るからさ。お父様が輸入したお菓子もいっぱいあるんだよ!」
「……お前の料理かよ」
「なにその顔!」
「……焦がすんじゃねーよ」
「焦がさないよーだ!」
二人は顔を見合わせて笑う。その風景は普段の彼らの日常であり、背景を考慮しなければとても微笑ましいものだった。
日番谷はかひゅう、と苦しそうに細く息を吐く。
「……リサ」
「なーに?」
「ありがとう」
「え?」
「俺……お前と会えて……良かった」
リサは反射的に首を横へ振る。
「そんな最後みたいな言い方しないでよ。絶対治るから」
「……あぁ」
「また竹とんぼ飛ばそうよ。コマ回しも勝負しよう」
「……あぁ」
「お祭りも行こう」
「……あぁ」
「東京だって会いに行くから」
「……あぁ」
返事は返ってくる。けれど、その声は少しずつ、小さくなっていった。
リサは必死にその手を握る。が、冷たい。さっきまで暖かかった手が、少しずつ熱を失っていた。
「冬獅郎くん?」
返事はない。
「ねぇ……っ、冬獅郎くん」
その名前を呼んだ時だった。日番谷は最後にほんの少しだけ目を開け、翡翠色の瞳がリサを映した。彼の口元が、わずかに笑う。
それが、日番谷の最後であった。
静かな寝息のように、何かを眠りにつけるように、日番谷冬獅郎は、静かに息を引き取った。
部屋には、蝉の鳴き声だけが響いていた。
————————
(フフフ、計画通り——)
リサは日番谷の亡骸に縋り付き、誰にも顔が見えない所で思わず破顔する。
(いやー、シロちゃんって死に際こーんないい男になるんですね、感動しちゃいましたよ。ボク、濡れちゃったなぁ♡……ん? なにやらシロちゃんの声が聞こえるね。ということは無事霊体になれたのかな?)
リサは再び顔の表情筋を総動員し、悲痛な顔を浮かべて声のする方向を見る。
「死ぬとユーレイになるのは俺も例外じゃなかったみたいだ……その、色々言った事は忘れてくれ」
少し照れてそっぽを向く日番谷。
「と、冬獅郎くん……? ほんとに冬獅郎くん? ぜ、全部、私の事もちゃーんと覚えてる冬獅郎くん?」
「ん? ちょっと待て、色々記憶の抜けがあるから少し思い出させてくれ…………あぁ、そうだ、全部思い出せてきた。俺が日番谷冬獅郎だ、それでお前は、俺に竹とんぼをぶつけてきたリサだ」
日番谷が話した事実にリサは思わず満面の笑みを浮かべる。
(良かったぁ、魂魄に無事、記憶が新鮮なうちに再び刻み込めたみたいだね! 実験成功〜!)
「もー、竹とんぼは忘れて!もっと思い出す事あるでしょーが!」
「料理したら全部焦がしたとか、か? あとは竹馬が下手だったな」
「うるさいうるさい冬獅郎くんのばーか!! スイカの種飲み込むとお腹の中でスイカ育つって信じてた癖に!」
「なっ!! お前こそうるせぇぞこのチビリサ!!」
「冬獅郎くんがそれ言えると思ってるわけ!?」
「……リサ、ちゃん?」
リサは鈴木に呼ばれて彼女の方を見る。彼女は霊力は殆どなく、幽霊が見えないのをリサは忘れていた。
「もしかして、坊っちゃまが見えるのですか?」
リサは少しだけ元気のない笑顔を浮かべながら頷く。
「ふふ、私には見えませんが、元気なようですね」
「……あぁ、鈴木、ありがとうな」
「冬獅郎くんが鈴木さんにありがとうだって」
鈴木は涙がまだ目の端に残りながらもにこにことした笑顔を日番谷の亡骸に向ける。
「そういえば、俺これからどうなるんだ?」
日番谷が当たり前の疑問をくちにしたその時、空気が変わる。和やかな親愛の雰囲気に、優しげだがどこか重圧感のある気配が降り立った。
「どうなるか、か。君はこれから尸魂界に行くんだよ」
死装束の男は刀の頭をこつんと日番谷の額に押す。
「な、何をした!?」
「君たちで言うところの成仏だ。なに、地獄などではないよ」
そう男が話すと日番谷の身体が光と共に消えていく。
「冬獅郎くん……」
「あぁ、リサ、お別れみたいだな。じゃあな」
日番谷の身体は光に包まれ、完全にその場から無くなり、後には地獄蝶が舞うのみであった。
すると突然、男はリサを小脇に抱えて外に飛び出す。
「……え? ちょ、ちょっと!? 何するんです!?」
「リサちゃん!?」
鈴木の悲鳴も虚しく、今は昼間である為真っ黒な服装は相当目立つだろうが、本人の身体能力が高すぎてもう誰にも追えなかった。
ある程度家から離れただろうか、辺りには人気も全くなく、完全な森の中王途川が下ろされ身が自由になる。
「さっさとその猿芝居を辞めたらどうだい? 王途川」
「———死に際の別れはいつになっても覚えている物だからさ、特別だよ特別。それにしてもよく私が生きていると思ったね、藍染」
王途川を冷たく見下ろす死装束の男——藍染惣右介はため息をつき、呆れ顔で再び口を開く。
「死んだフリまでしてやる事が色恋とはね、必死に君の事を探した私が馬鹿みたいだ」
「色恋しに来た訳じゃないよ。多少は含まれてるけど……彼は次期総隊長
「ほう?」
藍染はよそを向いたまま、目だけを王途川に向ける。
「人間にしては霊圧が少々高い程度であったが。アレがそこまで化けるとは思えないな」
「どうかな」
王途川は現世に来た時にかけた鬼道を、解放の詠唱を唱えて解き、斬魄刀を取り出し自らの腰に帯刀させる。
「じゃあ、こういう設定で頼みたいんだけど——」
王途川はあれこれと自らの設定を語り始める。全て言い終えると、自らに白伏を使用し、意識を混濁させて昏睡状態に陥りその場に倒れた。
「全く、世話が焼ける」
藍染は深くため息を付きながらも今度は丁寧に横抱きし、穿界門を開き地獄蝶と共に尸魂界へ帰還した。
——————————
「王途川が生きてた……だと……!?」
「まさか……まさか……はは、今になって」
「どけどけどけィ!!」
「王途川五席〜!!!」
七番隊隊舎は正しく大騒ぎであった。事の発端は藍染による報告と横抱きにされた王途川本人。
藍染曰く、6年前の大虚にやられる以前の記憶が無いまま遭遇し、問答中に暴れた為連れて帰る際に白伏を使用しこの状態なのだとか。
なぜ霊圧が消失したのか、記憶が無いのか等些か不明な点は残るものの、皆王途川の無事を確認しに来ていたのであった。
「副隊長! こちらです!!」
「わーったわーった、慌てんな」
現れたのは四番隊副隊長、山田清之介。王途川に対して幾つか医療的な確認を行うと、立ち上がって一言。
「身体に異常はないが、脳神経にどのような影響が出てるかはわからん。ただ、それは専門外だから自分で何とかしてくれ。じゃ」
山田はそう告げると、自分の仕事は終わったとばかりにそそくさと帰っていく。その時、王途川の目が開かれ、皆が固唾を飲む中、むくりと起き上がる。
「あれ? わたし大虚と戦って……それで……どうなったんだっけ??」
記憶の混濁は見られるものの元の王途川が戻ってきたという様子に皆から歓声があがる。
「王途川ァ! 久しぶりだなぁ!」
「愛川隊長! すみません、今は何が何だかよく分からなくて…」
「平気だ平気! それより無事に帰ってきてくれて良かった! 五席は今は埋まっているから七席にはなっちまうが、お前の席は一応、あるからな!」
親指をグッと立て、笑顔で王途川に見せた。
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藍染は王途川を七番隊に預け、五番隊に戻るべく歩いていた。
「藍染三席!お疲れ様です!」
「お疲れ様」
その姿はいつもの藍染惣右介であり、隊士とすれ違う度にこやかに挨拶を交わし、その姿はいつもの聖人君子そのままであった。しかし、その胸中は珍しく静かではなかった。
六年間、彼女は生きていた。その間、自分がどれだけ探しても姿を現さず、まるで最初から王途川リサなど存在しなかったかのようであった。
それなのに、現世では別人として暮らし、一人の少年を育てていた。
(……全く)
思わず苦笑が漏れる。
死んだと思えなかった。いや、死なれたら損失だと思ったから探した。己の行動はそれだけだと思っていた。
だが今日、彼女を見つけた瞬間に安堵より先に浮かんだ感情は苛立ちであった。
藍染は自分に割り当てられた執務室に入り、椅子にゆっくりと腰をかける。
自分でも意外だったのだ。怒りと言っても、理性的な失望ではない。ただ感情的な怒り。王途川が死亡偽装までして1人で彼女のための計画を進め、自分に隠し通したという事実が、妙に癪であったのだ。
彼は自分の額に手を当て、小さく息を吐く。
「……困ったものだ」
自分でも笑ってしまう。自分は誰かに裏切られて怒るような人間だっただろうか。
否、誰が何をしようと興味はなく、そこにあるのは利用価値があるかないか、それだけであった。
そこで初めて理解する。王途川リサは自分にとって単なる同期でも、競争相手でも観察対象でもない。
「友人、か」
藍染は書類を手に取り、筆を持ち仕事を進める。
「厄介なものを持ってしまったな」
その笑みは、誰にも見られることなく夕暮れへ溶けていった。
この世界の藍染には、幼少期からある程度自分と同格の存在がいた事により若干人間味が増しています。
ただ、この先も人間味を保ったままなのかどうかは……。
投稿するのちょっと遅れちゃいました。
この糞みたいな二次創作をわざわざ投稿する事に疑問を感じてきてしまい、ウーンウーンと迷っているうちに20時に…。
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