世界を管理する最弱女神は、滅びた世界をデバッグする 作:パンダプリン
さて、そうなると与える称号と加護をどうするかが問題だね。
何かを成し遂げたら得られるようにして、なおかつ誰にでも与えていては意味がない。
条件設定と称号と加護設定かあ。う~ん。
「モンスターを一定数倒す」
それでいっか。
今はモンスター狩りで強くなってもらい、食料も安定して確保してもらうのがいいだろうからね。
そうして強くなれば魔物も減る。魔物が減れば翼人たちはより安全に生きられる。
「モンスターを倒すことを条件に、加護を得られるということでしょうか?」
「そう」
「何匹でしょうか?」
何匹にしようかなあ。
あまり少なすぎても良くない。多すぎても良くない。
……いや、いっそ両方にしようかな。
倒した数が一定数を超えるごとに加護を与える。ただし最初の称号と加護は控えめに。
誰にでも与えていては意味がないと考えたけど、そうすれば丸く収まりそう。
「10、50……100……1000くらい?」
「なるほど! 各段階ごとに加護をもらえるのですね! つまり、千匹倒せば全ていただけると」
「そうだね」
「では行ってきます! 千匹倒して神様の加護を最初にいただくのは私です!」
「え」
飛んでいったんだけど……。
そんなことしなくても、リオラが欲しいのならいつでも称号も加護もあげるのに。
せっかちなところもかわいいね。
さて、そうしたら私のほうは称号と加護を実装しちゃおう。
設定するのは翼人じゃなくて魔物のほうかな。
翼人じゃなくて魔物側をいじれば全種族共通で使えるからね。
であれば、倒される魔物側の生態をいじって、数を条件に付与効果をつけるほうがいい。
経験値とレベルと同じだね。
――管理コマンド入力
――[生態操作]
――対象:下位領域魔物群
――操作:功績評価 有効化
これでよし。
あとはこれをベースに、特定条件で功績から称号と加護を授けるように修整してっと。
できた~! さあて、翼人たちは気づいてくれるかなあ?
片方の目でリオラを常に見守り、もう片方の目で翼人たちの様子を見る。
ふむ……。水源の確保。魔物狩り。余裕が出てきたのか、住居にも手を付けているね。
がんばれ~。いずれ海人族みたいに立派な家に住めるといいね。
『あれ……。俺にも称号が』
『え、俺はないぞ』
『俺にもある! なになに、初陣の戦士……。初陣か~。まだまだ頑張らないとな』
お、気付いたみたい。
やっぱりリオラがステータスを教えたのが良かったね。
おかげで彼らは定期的にステータスを確認する癖がついてるみたい。
『加護もある! 健脚の加護……。歩いても疲れなくなるとかか?』
お、こっちは加護も取得できたみたい。
ってことは魔物を五十匹倒して得られる、魔物狩りの称号も表示されているだろうね。
『加護って神様からの祝福ってことだよな! すげえなお前!』
『称号は魔物狩りだし、やっぱ魔物を狩っていたおかげだよな! よし、この調子でガンガン倒していこう!』
『そういえば、オルンはどうなんだろうな?』
『あ~。あいつが一番魔物を倒してるもんな。俺よりさらに上の称号とか加護を持ってそうだな』
正解。
オルンはすでに熟練討伐者の称号まで得ているよ。
武運の加護もあるから、これからもみんなの前に立って戦えるんだろうね。
さて、翼人たちは順調だ。
加護と称号には気付いたし、その条件が魔物を狩ることにも気付いてくれた。
ただ、このままだとレベルが高い翼人は、より多くの称号と加護を得ていることになってしまう。
それじゃあ結局変わらない。
だから早く気付いてくれるといいなあ。
魔物を倒すときの武器や戦法、戦いへの気概なんかも功績になって加護や称号に繋がるって。
『えいえい!』
うん。翼人たちはそれでいいとして、あとはリオラだね。
彼女には私直々の加護がある。だから低レベルでも魔物をあっさり倒せている。
そんな魔物たちは、すでに九百匹くらい倒されているわけだけど……。
あと百匹倒したら帰ってくるんだろうねえ。
『神様の加護、神様の加護』
ま、もう少しで帰ってくるのなら、止める必要はないか。
◇
「ふう……」
やり遂げました。千匹の魔物、たしかに倒しましたよ。
これで神様も褒めてくれるでしょうか? 褒めてくれるといいなあ。
さっそく戻って報告を……。
「忌み子じゃん」
……ああ、気分が悪いですね。端的に言うと不快です。
せっかくいい気分だったのに台無しです。
「お、本当だ。オルンやセファが言ってたことは本当だったのかよ」
「まだ生きてたなんてね。それも、神様の巫女だっけ? 身寄りのない呪われた子がねえ……」
「それが何か?」
というか道を塞がないでほしいですね。
面倒なので飛んで帰りましょう。それがいい。こんなやつらを相手にする必要なんてありません。
「忌み子のあんたでも巫女になれるなら、私にもなれるってことだよね? 紹介してよ。神様」
……そのとおりですね。神様はお優しい方です。
だから忌み子の私なんかを巫女にしてくれて、かわいがってくれています。
ただ……巫女にふさわしいのは、忌み子ではなくまともな翼人でしょう。
知っています。わかっています。私よりも目の前の翼人のほうがふさわしいことも、海人族の巫女のほうがふさわしいことも。
「ねえ、代わってよ。もう十分でしょ? あんたなんかにはもったいないよ」
「……巫女は私です。私が神様に選ばれました」
「たまたまだろ? 何もできない忌み子が巫女になれるなら、誰でもよかったってことじゃないか」
「……私は神域を守る力があります。神様の奇跡をお手伝いする、それが私の力です」
「そう。そこよ!」
なんでしょう……。
その言葉を待っていたと言わんばかりの反応ですね……。
「私たちさあ。さっき神様から加護をもらっちゃったのよね~。浄化の加護っていうんだけど」
「これって、神域を守れるってことじゃないの?」
……わ、私もまだ持っていない加護を?
やはり私では……いえ、神様を信じなさいリオラ!
神様は私は特別だと言ってくださいました。
現に……あれ、浄化の加護ですか?
なんだ。——神様の名前がない加護じゃないですか。
「では、私はこれで」
「ま、待ちなさいよ!」
「なんだこいつ……。前と全然違うぞ」
当然でしょう。
私には神様がいます。誰も味方がいなかったあのときと比べられても困ります。
きっと、昔のように泣いて媚びる姿でも期待したのでしょうね。
……忌々しい。いっそのこと、この力でこいつらを。
「な、なんだ?」
空が……光っている。
ああ、そうでした。そんなことをしている暇なんてありません。
私は頑張って魔物を倒しました。だから、神様に褒めてもらわないと。
神様が呼んでいるのに、こんなところでグズグズするだなんて私としたことが失態ですね。
「光の中に……」
「な、何よ! あいつが本当に巫女だっていうの!?」
それはオルンにでも聞いてください。
◆
「お帰り」
「申し訳ございません! グズグズと時間をかけてしまって!」
「平気?」
「はい! 神様のおかげで、あんな連中に時間を使うことはありませんでした!」
あんな連中……。
なんか翼人と話してたけど、相変わらず翼人への当たりが強いねえ。
話の内容は聞かずにいたけれど、もしかしてトラブルでもあった?
迷子になったのかと思って光で照らしてあげたけれど、見当違いのことをしていたかも。
「神様。私、神様の巫女でいいですか?」
「リオラ以外、私の巫女は務まらない」
うん。本当にそう。
放っておけば成果ばかりをあげてくれる。
たまに暴走しそうになるけれど、それはそれでかわいいし何よりも私のためと思っての行動だからね。
それに、こんな口下手な私に懐いてくれるのがとにかくかわいい。
「これからもよろしく」
「は、はいい!」
だから私はリオラを抱き寄せて真剣にお願いした。
顔が近いからか、リオラは視線を泳がせてしまった。
まあいっか。それなら私はじっくりとリオラの顔を見つめさせてもらおう。
「あ、そういえば」
「ななな、なんでしょうか!」
「ステータスってどうなった?」
見ようと思えば見えるけど、ここは本人から伝えたいだろうからね。
報告されて褒める。かわいがる。私もリオラも幸せ。実に良い循環だよねえ。
「ええと……」
――自己情報
名称:リオラ
種族:翼人
年齢:16
レベル:35
加護:低位管理女神ナギの加護、武運の加護、不屈の加護、勇気の加護
称号:神の巫女、初陣の戦士、魔物狩り、討伐者、熟練討伐者、百戦の戦士、魔物の天敵
技能
・飛行
・神託
・魔物捕食
・汚染耐性
・光魔法
・狂信
ん~……? なんか、技能に変なのが追加されてるような。
「えへへ……」
まいっか、かわいいから。