世界を管理する最弱女神は、滅びた世界をデバッグする   作:パンダプリン

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第18話 狩猟場は開店セール中

「オルン。向こうの山の魔物は倒したわ」

 

「あっちの草原にもいたから倒した」

 

「崖の近くの魔物も倒したぞ」

 

 各地を探索した仲間たちが報告のために戻ってきた。

 やはり、魔物の分布が変わっている気がするな。

 以前ならば、それこそ歩いているだけで遭遇するほどだった。外を探索するだけでも命がけだった。

 だが、今はこちらから会いに行かない限り魔物とは遭遇しない。

 俺たちが狩りすぎて減った? ……いや、それにしては数日程度でそんな急激に変わるか?

 

「レベルのほうは?」

 

「オルンの言うとおりだな。今まで通り倒してもレベルは上がっていない」

 

「ただ、数を増やせば上がりはするみたいだ」

 

「……ねえ。これって、女神様の加護が弱まってるってこと?」

 

 不安そうな声を出すのはわかる。

 だが、悪いことばかり考えていては、神様が力を貸してくださる前の俺たちに逆戻りだ!

 あのころは、そもそも魔物と飢えと渇きに恐怖していたが、それでもなんとか生き延びたじゃないか。

 それに比べたら、これしきのことなんということはない!

 

「もう少し探してみよう。土地によって魔物に変化が発生しているのかもしれない」

 

 すでに数日調査を行なっている。

 探れる場所は大方探し尽くした。

 だが、あのときのような潤沢な力を与える魔物はどこにもいない。

 それでも、仲間たちは嫌な顔一つせずについてきてくれた。

 

「ええ、わかったわ」

 

「最低限、肉になるから無駄ってことはないはずだからな」

 

 そうと決まれば俺たちも再び周囲を探索だ。上空から魔物の群れを探して試していこう。

 空を飛びながら地上を眺めると、随分と魔物の数が減ったように思える。

 ……倒しすぎたのか? 欲をかいて魔物を狩りすぎたことで、神様も予期していない何かが起きているのか?

 

「……ん?」

 

 悪い考えを断ち切るように、一度冷静になってから地面を眺める。

 すると、魔物たちが消えている場所を発見した。

 

「消えた……?」

 

 いや、違う。

 上空から見ているからそう思えただけで、魔物たちはあの岩の中に吸い込まれていっているだけだ。

 おそらく、洞窟があるのだろう。中に入る姿を消えたと勘違いしただけだ。

 ……魔物たちの巣か? 一度確かめてみる必要があるかもしれない。

 

「あそこに降りるぞ」

 

「なんだ? 何もないようだけど、疲れたのか?」

 

「魔物が消えるのを見た。おそらくあのあたりに巣があるんだろう」

 

「何? わかった」

 

 仲間たちに指示を出して魔物が消えた地点へと降り立つ。

 すると、予想通りにその岩肌は大きな穴が開いており、中は空洞が続いていた。

 ……深いな。これなら、魔物たちが隠れ潜んでいてもおかしくない。

 

「洞窟……」

 

「魔物がここに入ったってこと?」

 

「ああ、確かに見た。魔物たちがここへ集まっていることと今の異変。俺には無関係とは思えない」

 

 これまで見た覚えのない場所だ。

 魔物がいなかったとしても、何か新しい発見があるかもしれない。

 

「だから調査しよう」

 

 皆も納得してくれたのか、俺の提案に頷いた。

 それじゃあ、この怪しげな洞窟を進んでみるとしようか。

 

    ◇

 

「……広いな。なんなんだここ」

 

「広いだけじゃなくて、やけに入り組んでいる」

 

「それに、まるで何かの巣だな。道と部屋が分かれているみたいだ」

 

 何かの巣というのは間違いではないと思う。

 こんな絶好の条件の洞窟、魔物の拠点となっていてもおかしくはないだろう。

 ……いっそ、俺たちの拠点にしたいくらいだ。

 まあ、この場所は神域から距離があるから、今の拠点を放棄するつもりはないが。

 

「オルン!」

 

「魔物か。いつも通り確実にいくぞ!」

 

 生息している場所が違うことで、魔物たちに違いがあるかもしれない。

 ただ、もしもその違いにより強くなっているのであれば、油断するわけにはいかないな。

 

「やっぱり、何も変わらないな」

 

 ……仲間の言うとおりだ。

 魔物は特別強いということもなく、俺たちであれば安全に狩ることができそうだ。

 相手は弱り切っているが、こちらはいまだ無傷の状態。あとはとどめを刺すだけだ。

 

「よし、問題ないな」

 

 終わった? ということは、ここの魔物もやはり他と同じか。

 ……っ!? 違う。倒した後に流れ込んでくる力。今までのように満ち足りたこの感覚。

 どうやら、俺たちは当たりを見つけることができたようだ。

 

「オルン。これ……」

 

「ああ。狩場は見つかった」

 

 あとは、この中にどれほどの魔物がいるか。そこが心配だ。

 ひとまず、狩りすぎないようにだけ気を付けよう。

 ここの魔物から得られる力まで弱まっては問題だからな。

 まして、全滅させるなんてならないように特に注意して挑むのがいいだろう。

 

    ◆

 

「いいね」

 

 オルンやっぱいいねえ。

 私の目論見通りに動いてくれるのがとってもいい。

 魔物を狩っても経験値が減っているとすぐに気付いてくれた。

 その後は、新たな狩場を探し求めてダンジョンにたどり着いてくれた。

 翼人たちをそうやって今後も導いてくれると助かるなあ。

 

「……よかったのでしょうか? 神様の御言葉を私が伝えずとも」

 

「今なら伝えてもいい。だけど、今回は最初から全部教えるのは駄目」

 

 自分たちで考えてほしい。

 魔物を必要以上に狩ると、狩場は枯れる。

 だから、新しい狩場を見つけても、狩りすぎないようにしてほしい。

 そこまで自分たちで考えられるのが、私が望む人間たちの在り方だから。

 

 全部やってくれた。

 オルン、本当に偉い。これはもう百点満点だ。

 神様として褒めてあげるくらいには、しっかりしているね。

 

「外の魔物じゃなくて、ダンジョンの魔物を狙ってほしい」

 

 きっとオルンならそうしてくれる。

 まあ、外の魔物が増えすぎてしまったら、また翼人たちと接触することもあるだろうけど。

 そのころには、翼人たちは強くなっているだろうから大丈夫。

 襲ってくるけど旨みがない魔物が相手なら、たぶん自衛のために間引いて終わるでしょ。

 

「わ、私。お役に立ってきますね!」

 

「あ……」

 

 行っちゃった。

 ……もしかして、オルンを評価しているのがわかったのかな?

 それで、自分も褒めてもらおうと役目を果たしに行ったとか……?

 かわいいなあ。帰ってきたらたくさん褒めてあげよう。

 

 さて、それはそれとしてダンジョンを作ったからには、もうちょっと細部まで考えないとね。

 今は適当な空洞と道をつなげているだけだから、ゆくゆくはもっと立派な部屋を作ったりしたい。

 まあ、それは放っておいても自然と変わるか。

 魔力が循環しているから、時間さえあればダンジョンは次々と変化していくだろうし。

 

    ◇

 

「ダンジョン?」

 

「ええ。神様が御作りになった狩場、それがダンジョンです」

 

「それはいいんだけど……なんで、そんな制限するような真似を」

 

「神様は全てを教えはしません。その理由は、あなたたちで考えなさい」

 

「あっ……」

 

 行ってしまった。

 巫女様から言葉を届けてもらったということは、やはりこの異変は神様からの試練ということか?

 

「どう思う? オルン」

 

「わからん! わからんが、思考を停止するわけにはいかないだろうな」

 

 それだけは確かだ。

 そして安心したことが一つある。神様は俺たちをまだ見てくださっている。

 そうか……。見守ってもらえているのか。

 なんて心強いことだろう。

 

 残念ながら、俺にはまだ神様の御考えなどわかりはしない。

 だが、ダンジョンという狩場を用意してくれたのであれば、そこに通って戦おう。

 強くなり、物資を得て、そうして少しずつ心に余裕もできれば神様へ祈る時間も増やせるだろう。

 

「狩りはダンジョンで行う。なに、今までと場所が変わっただけだ。なんてことはない」

 

「まあ、そうだよな。むしろ地上を探し回らなくていいし、今までよりも楽になるかも」

 

 前向きな意見が多いのはいいことだ。

 それだけ余裕が生まれている証拠でもある。

 それじゃあ、油断せずに今日の糧を得るとしよう。

 

    ◆

 

「あ……」

 

 そっかあ……。

 そうだよねえ。そりゃあそうだった。

 

 下位領域魔物群への討伐報酬の付与。

 その修正をしたんだから、そりゃあこうなるかあ……。

 

「神様? どうかしましたか?」

 

「……なんでもない」

 

 まあ、これはこれでいいか。

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