The flower which has died 作:ミスターK
それはゴールデンウイークが近いからさ!
私の今のテンションは映画ドラゴンボールのフリーザー
の戦闘力と同じくらいぶっ飛んでますぜ!
まぁ、ドラゴンボールは聞いた程度でしかないのですがw
「あっはっはー!全く誤解なら誤解って言ってくれないから、勘違いしちゃったじゃないの」
「お前が勝手に勘違いしてただけだろうが...............」
「ごめんごめんって。てっきりかんちゃんを見捨ててボコボコにしてたとばかりでさ。そんなに拗ねないでよ。そんなんじゃ女の子にモテないゾ?」
「...............もう勘弁してくれ」
誤解はとりあえず解けた、のだが。
異様に面倒くさい、ぐでんぐでんの酔っ払いに絡まれたかのようで。
一回りしてむしろウザいとすら感じるこいつをどうにかしてほしい。
つうか、さっきまでと俺に対する態度が違いすぎて、まるでコインを裏表ひっくり返したみたいだと言いたくなる。
むしろそうでしかないのだが。
委員長の一言でこのザマだよ。
シスコン恐ろしや。
「別にもう気にしてないから、これ以上やかましくするな。頭が痛くなる」
「...............そう?なら良いんだけど」
取り敢えず手錠も外してもらえたので、動き回る気もなかったが自由になれた。
不意に時計を確認してみれば、それなりの時間帯を示し、窓の外はそれなりに日が暮れはじめていた。
帰るのにはまだ遅いとは言わないが、早いとも言えない微妙な時間帯。
そろそろ帰らせてもらう。
そう言おうとした時、俺の言葉にかぶせるようにしてそいつは口を開いた。
「あ、かんちゃん。そろそろ帰らないとアニメの時間に間に合わないんじゃない?」
「え?あっ!えっと私は先に帰るね?バイバイ御崎くん。また月曜日ね」
「はーい。お先どーぞー」
バタバタと台風みたいにあっという間にこの部屋から出て行ってしまう。
最後に俺に向けてかけられた言葉は、帰ろうと上げていた腰を下ろすのには十分だった。
「...............バイバイ、か」
「んー?どうかしたの?」
「いや、そう言ってくれる奴は居なかったから。だがら、ちょっとな」
「んふふふ。かんちゃんってばかわいいでしょ?」
「そうだな。今ならお前の気持ちもわかる気がする」
「そりゃそうよ?だってかんちゃんがだもの」
勝ち誇ったようなこいつの笑みが憎たらしかった。
「でも、狙っちゃダメよ?」
「...............そりゃあ、な。それくらい分かってる」
こいつの言ってる事と俺のいう事は少しばかりすれ違っていた。
だけれども、結果的に見れば意味は一緒だ。
俺の生い立ちを考えれば、恋人とかそういう関係は持てない。
むしろ心を寄せるような間柄ですら持ってはいけないのだから。
結局はみんなに迷惑をかける。
それならいっその事、などというのはとっくに理解している。
「まぁ、おふざけは置いといて。ごめんね帰るのに食い止めちゃって」
「別に良い。どうせあんなおふざけだけだとはおもえなかったからな」
「なら詳しい話は良いわね。まずは、かんちゃんの事ありがとね。勘違いしてたけど助けてもらったみたいで」
「そんなもん感謝される筋合いはねぇよ。助けてって言われたから助けただけだ」
「優しいわねぇ。...............本当そういうとこかわらないな」
最後の方はうまく聞き取る事は出来なかったが、少しばかり心に引っかかる部分があった。
だけれども、なぜか気ににはならなかった。
「あの子は昔から弱くてね。それに泣き虫で」
「まぁ、なんとなくそんな気はしてだよ。現に泣いてたからな。つかさ、委員長の事ばかりだけどさ、肝心の不良どもの事は良いのか?てっきりその事で説教されるのかと思ってたんだが」
「ん?あぁ、そんな奴らの事なんて気にしなくていいわよ?いっつも問題ばっか起こしてたから、今回の件は良い見せしめになったと思うし、私から感謝したいくらいよ」
「...............あぁ、そうか」
一応は生徒会長であるくせしてとんでもない事を言う。
冗談抜きで説教だと思っていた俺としては拍子抜けするしかないのだが。
「それにあいつら事ある事にかんちゃんに詰め寄っていたし、いいザマよ。あなたがそばにいるってわかったし、そう簡単に手は出せないでしょ。という事でボディーガードもよろしく。これがあなたを引き止めた一番の理由よ。お給料は弾むからよろしく」
「...............」
ほんの少し前まであった疑問は一瞬で解決された。
ただ単にこいつがシスコンというだけで説明つくとかありえないが、悲しい事にそれが現実である。
どう反応すればいいのか困る。
笑えばいいんだろうか。
「お前、ついさっき委員長を狙うなとか言っといてこんな事頼むのかよ。そんなんでいいのか」
「うん。かんちゃんに被害がないのが一番だからね。前逃げたことこれでチャラにしてあげる」
「...............まだ、その話題持ってくるのか」
「いいのいいの。この学校の男子って殆どが真面目くんくらいでぶっちゃけ頼りにならないのよ。それに比べてあなたは十分強いしかんちゃんと同じクラスだもの。これ以上にないくらいの適任よ」
「遅刻常習犯の俺なのに?」
「毎朝起こしに行ってあげようか?穏便には絶対しないけど。ていうか遅刻くらいしないようになりなさい」
「...............いや、遠慮しとく」
イマイチこいつが信用しているのかしていないのか分からない。
つかみどころがないとでもいうのかもしれないが、殆どボディーガードの件については決定済みな気がするので気にしてもどうしようもないが。
「まぁ、ボディーガードくらいは受けてやるけどさ、あんまり期待するなよ?」
「...............かんちゃんが怪我するたびに素っ裸になって首輪をつけて校庭を100週走ってもらおうかな?俺は大変な変態です!って叫びながら」
「全身全霊をかけて死ぬ気で努めさせていただきます」
恐ろしいことをさらっと言うこいつは重度のシスコンであり、それでいて大変などS野郎なのだろうか。
普通の人間だったらまずこんなこと思いつかないだろう。
逆らってはいけない気がしてきた。
「んふふふ、それで良いのよー?あ、ちなみにお給料弾むって言ったけど歩合制だからそこんとこ夜露死苦!」
「おぉ古い古い。別に給料目当てじゃねぇから」
今こいつが言ったことは死んでもやりたくないだけだ。
決してこいつのお願いを聞いたわけではない。
まぁ、どっちもどっちで変わらない気もするが、気にしないでおこう。
気にしたら負けだ。
「えぇ!じゃあかんちゃんの体目当て!?この変態っ!」
「だからそんなこと誰も言ってねぇよ。さっきから狙わないし、そもそもそんな気なんてさらさら無いわ」
「...............冷めてるわねぇ、全く男なら喰らいつかないと。かんちゃんは俺の物だ!誰も指一本触れさせやしねぇ!とか」
「お前は俺をどうしたいんだ...............」
ふと思ったがそんなこと言ったって、結局こいつが許すはずも無いだろう。
かんちゃんは私の物だとか平然で言いそうだ。
...............いや、それだめじゃねーか。
「あぁ、そうそう。手を出すなーとしか言ってなかったけど、もし手を出したらどうなるかわかるてるよね?」
「いきなり言われても分かるわけねー」
「...............切り落とすから」
「っ!?」
何をとは言って無いのに背筋がぞくりと怖気に襲われた。
指でちょきんとハサミを真似る手が、今はなぜか凄まじく恐ろしい。
まるで、蛇に睨まれたカエルの気分だ。
「まぁ、その後はゆっくりと骨を一本ずつへし折ったり、動け無いように固定して手首を掻っ切ったり、ただひたすらに怨念の言葉聞かせて精神破壊してあげる。その後はズタズタに引き裂いてどっか知らない山にでも埋めるわね」
「お前はどうしてそんな恐ろしいことを平然と言えるんだよ...............」
「べっつにー?グロとかそういうので穢れた私と違ってかんちゃんはとっても純粋なんだもの。せめてかんちゃんだけは綺麗なままでいて欲しいのよね。ここだけの話あの子未だにサンタの事信じてるのよ?」
「...............え?」
「しかも好きな話の傾向は、正義のヒーローが悪をやっつける系。要するに戦隊物が大好物なのよ」
「...............じ、純粋すぎる」
正義のヒーローはテレビの中だけ。
サンタさんなんて親が変装しているという事くらいは、俺らくらいの年になれば自然と気づくか、知るものだ。
別に信じるのが悪いとは言わ無いし、むしろ信じるのならそれで良いので問題はなかった。
ただ、純粋過ぎなところに驚くほかない。
なんとなくこいつが委員長の事を大切にする理由が分かったもする。
絶対に分かり合いたいとは思わないが。
「まぁ、そういう訳でかんちゃんの事よろしくね。今日の件のおかげで暫くは大人しくなりそうだし、そこまで大変じゃないと思うから」
「あいよ。ま、やれるだけやってみるとするさ」
「じゃあ、今日はここでお開きにしましょうか。だいぶ時間も取っちゃったし、なんなら今日は私の家に泊まっていく?大きいから空いてる部屋なんてたくさんあるけど」
「やめとく。用事もあるし帰るよ」
正直な事をいうと、寝ている間に何をされるかたまったもんじゃない。
下手すればイタズラのせいで一睡もできなかったとか、一歩でも動けば罠が動くとか言った魔窟にされかねない。
ていうか泊まる泊まらない以前の問題として着替えを持っていない為却下。
こいつの事だから同じの履けばいいじゃんとか平然で言いそうだがそれだけは勘弁だ。
それに、うちで大人しく待っているわんこ(名前をつけていないだけ)に餌をやらないといけないし。
「そう?じゃあ気をつけて帰ってね。ここら辺って夜になると不良が結構多いから。返り討ちに出来るとかじゃなくて、ネバネバとしつこいから」
「ご忠告どうも。んじゃあな」
それだけ言い残すと重い腰を上げた。
時間的には急げば取り敢えず充分間に合う頃だろう。
駅へ向かうバスも後数分で来るだろうから、タイミングはいい。
「あぁ、そうだ。まだあんたの名前知らないんだが。委員長のボディーガードやるからそれくらい聞いてもいいだろ?」
部屋を出る直前に思い出した事を聞く。
なんだかんだ言ってこれから関わり合う事になるのでこれくらいはいいだろう。
探すときにあいつ知らないとか聞くのは絶対に嫌だ。
「そうねぇ。一度しか言わないからよーく聞くのよ?私はね、更識刀奈っていうのよ」
「更識な?おけ、覚えた。それじゃ、今度こそじゃあな」
「はーい。お気をつけて」
あいつーーー更識刀奈の声を背に生徒会室を後にする。
その日、寝るまでの間。
更識刀奈という名前が記憶の中ずっと引っかかり続けた。
どこかで聞いたような気がしたのは、だだの勘違いだったのか。
真実を知ることができたのはまだまだ先のことでしかなく、今の俺が答えを出すことは不可能だった。