魔弾の王と召喚師   作:先導光

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黒弓の力

その夜、イェーガーは怪しい気配に気づいて目を覚ました。

・・・穏やかな気配じゃないな。

イェーガーは素早くダンデルガを持つと自分の眠っていた幕舎を出た。

 

「て、敵襲!」

 

それと同時にジスタート兵の叫びがする。

夜襲か・・・。やってくれるな。

イェーガーが声のした方を見ると昼間戦闘を行った野盗が攻め込んでくるところであった。

その数約百二十。ほぼ全軍だがこの時は誰も気にせず戦うしかなかった。

イェーガーは前から斬りかかってくる野盗を革鎧ごとダンデルガで切り裂いた。

 

「こいつ!」

 

それを見ていた別の野盗が声を上げるがその時には既にイェーガーはその野党との間合いをつめダンデルガを振っていた。その時イェーガーのそばにいた三人の野盗が矢に刺さり死んだ。

ティグルか・・・。やっぱスゲーわ。

イェーガーは内心でそう舌を巻くと次々と敵を屠った。

イェーガーの攻撃とティグルの弓、そしてリムアリーシャの指揮によりジスタート軍は立ち直り反撃に出ようとしたときであった。

 

「くっ!」

 

ルーリックが肩をおさえてイェーガーの元に現れた。

 

「大丈夫か?」

「私は大丈夫だが、味方が・・・!」

 

そう言うルーリックの方を見ると一つの影が次々とジスタート兵を倒していた。

ドナルベインだがイェーガーはそのことを知らないが、あれを止めなければならないと思い間合いをつめた。

あと一歩、と言うところでドナルベインはイェーガーに気づいた。

 

「お前がレイブンの旦那のいっていた召喚師ってやつか?」

 

ドナルベインは振り下ろされたダンデルガをかろうじて防ぎながらそう言う。

 

「何?何故お前がそんなことを知っている?」

「へっ。教えるかよ!お前さんの相手にふさわしい奴がいるんだよ。」

 

ドナルベインはそう言うとイェーガーから距離をとり叫んだ。

 

「現れろ!冥界神ディリウス!!」

 

すると空に召喚陣が浮かび大鎌を持った死神が姿を現した。

おいおい・・・マジかよ。ってなんであいつが召喚術を!?

ディリウスは血を思わせるような赤い目でイェーガーを見ると鎌を振った。

 

「くっ・・・。」

 

イェーガーはなんとかその一撃を受け止めた。

 

「ほう・・・召喚師か。面白い。死の運命に逆らおうというのだな?」

 

ディリウスは低いぞっとするような声でそう言うと再び鎌を振り上げた。

 

『愚かなりし人に与えるは死の定め。死すべき者の魂よ我が元に集え!』

魂魄吸収(ソウルイーター)!」

 

ディリウスがそう叫ぶと鎌から闇を模したような球が無数に現れジスタート兵と野盗に向かっていく。

球の当たった兵士や野盗はその場に力なく崩れ落ち絶命した。

 

「これは・・・!」

 

いつの間にかイェーガーの近くにいたティグルとリムアリーシャが驚きに目を見開く。

 

「っ!!ティグルヴルムド卿!!」

 

ルーリックがそう叫んでティグルを押し倒す。闇の球がティグルをかばったルーリックを襲おうとした時にイェーガーが唱えた。

 

『深淵なる闇より出でし光よ。死の呪いより我らを防げ!!』

冥府の護り(イノセント・レイ)!」

 

イェーガーがそう叫びダンデルガを掲げると光の線が闇の球を貫きディリウスの鎌を襲った。

 

「ぬう。小賢しい!」

 

ディリウスはそう歯噛みすると鎌を振り光線を避けた。それと同時に鎌から放たれていた闇の球は止まった。

今だ!

 

「『永久の炎に焼かれよ!(インフィニティ・ノヴァ)』」

 

イェーガーは唱えダンデルガを振り上げた。ダンデルガから炎が放たれディリウスを襲う。が、威力は低かったのかディリウスは自らを覆う炎を鎌のひと振りで消し去った。

くっ・・・。やはり連続で『勇技』を使うのは無理か。だが、このままでは決定打がない。

イェーガーは苦々しく思いながらディリウスを睨みつける。

その時、イェーガーは背後からの強大な力の気配に気づいた。

これは・・・まさか魔神か!?

イェーガーがそう思い後ろを振り向く。

そこには黒い光を放つ矢をつがえたティグルがいた。イェーガーはその矢から放たれる力を見て目を見張った。

あれは『勇技』!?だが、何故ティグルが・・・?

イェーガーはそう疑問に思った時ティグルが黒く輝く矢を放った。矢は凶暴な力を携えたままディリウスに向かっていった。

 

『すべてを消し去る暗黒の力をここに顕現せよ!』

暗黒の侵食(インベイション)

 

ディリウスは危険を感じ即座に『勇技』を放った。闇で形成された渦が放たれた矢を飲み込んだが矢は止まらず『勇技』を打ち消しそのままディリウスに向かっていく。

 

「馬鹿な!?」

 

ディリウスは驚愕の声を上げた。だが、すぐに矢を止めるべく鎌を振り上げようとした時、イェーガーが動いた。

 

「させるか!」

 

イェーガーはそう叫びながら持っているすべての力をダンデルガに込めてダンデルガを鎌に振り下ろした。

イェーガーの渾身の一撃は鎌の刃を砕きティグルの放った矢はディリウスを襲った。

 

 

矢が当たった時は静かであっただが、それは一瞬のことであった。

次の瞬間、矢に込められた凶暴な破壊の力は炸裂しディリウスを轟音とともに消し去った。

 

「勝った・・・のか?」

 

ティグルはディリウスが消滅した空間を見ながらそう呟くとその場に倒れた。

 

「ティグルヴルムド卿!」

 

そばにいたルーリックが素早くティグルを抱きかかえる。

それから少し離れたところではイェーガーがかろうじてと言う様子で立っていた。

矢が炸裂した瞬間、ディリウスを押さえ込んでいたイェーガーはまともにその衝撃を受けそうになったが寸前でイグニートウォールを張り自らを守っていたのだ。

・・・なんとか生き延びたか。

イェーガーはそう思ったのを最後に気を失った 。

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