魔弾の王と召喚師   作:先導光

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消えた召喚師

魔神アルトニクスがドナルベインに任務を与えた数時間後のディナントに三人の人間が訪れた。

 

「なあ、爺さん。やっぱ手分けして探した方がいいんじゃないか?」

 

三人の一人―カルがそう尋ねるとグラデンスはこういった。

 

「うむ。平時ならばそうすべきじゃろう。じゃが、相手はゲートを操る事の出来る魔神、アルトニクスじゃ。おそらく我々三人が個々に立ち向かってはちと厳しいじゃろう。」

「それはそうだけど・・・。」

 

カルは不満げにそう相槌を打つ。

それはイェーガーにも同じことじゃないか・・・?

カルはそう思ったが否定した。

いや、あいつは四堕神だけでなくルシアス様も倒したんだ。そう簡単にはやられはしないはずだ。

ここまでカルは考え納得しようとしたがやはり、だが・・・と思わずにいられなかった。

 

「カル?大丈夫?」

 

セリアが考え込んでいるカルに尋ねる。

 

「あ、ああ。大丈夫だ。」

「そう?あっ。あのバカなら大丈夫よ。あれでも四堕神を倒したじゃない!」

「・・・そうだな。」

 

カルはセリアにそう言われて少し気が楽になった。

 

「お、おい!おおおおお前ら!」

 

その時だった。唐突に野盗の身なりをした男に声をかけられたのは。男はボロボロの甲冑を身にまとっていて非常に怯えた声音をしていた。

 

「おおおお前らが、しょ、召喚師ってやつか!?」

 

そう尋ねられてカルは真剣な顔つきになる。

この地で召喚師と言う物を知っているのはおそらく魔神の手先だからだ。

 

「ふぉっふぉっふぉっ、そうじゃと言ったら?」

 

グラデンスが穏やかにそういう。

すると男は、

 

「やらなきゃやられる。やらなきゃやられる!」

 

そう呟いたかと思うと男―ドナルベインは叫んだ。

 

「現れろぉ!!大神聖メルキオ!!」

 

すると、大きな召喚陣―かつてディリウスを呼び出した物よりも巨大な、が現れそこから白き鎧に身を包み十の翼を持つ物―大神聖メルキオが現れた。

 

「なっ!!」

 

カルが驚きに目を見開いた。メルキオは静かにカルたちを睨むと一言呟いた。

 

「タイショウヲハッケン。センメツシマス。」

 

メルキオは手にした巨大な槍を振り回しカルたちに向かう。

その槍をグラデンスが剣で受け止めた。

 

「・・・疑問は尽きぬ、がまずはこいつを倒すのが先のようじゃの。ゆくぞ!カル、セリア!」

「ああ!」

「はい!グラデンス様!」

 

カルとセリアは返事を返すとそれぞれの武器を構えた。

 

「く、くそが!まだいるんだよ!」

 

ドナルベインはそう叫ぶと新たなユニットを呼び出した。

 

「来い!殲神帝ベルフーラ!天雷の騎神エイミ!」

 

再び空に召喚陣が浮かびそこから氷の竜にまたがり黒い鎧を着た騎士と雷を纏いハルバードを持った女騎士が姿を現した。

 

「おいおい、マジかよ!」

 

カルがそう叫びながらベルフーラの大剣をハルバードで防ぐ。

 

「カル!」

 

セリアが叫んでカルに近づこうとするがエイミが立ちはだかりハルバードを振る。

 

「ちょっと!邪魔!」

 

セリアがそう叫んで大剣でハルバードを弾く。そしてそのままの勢いで大剣を振る。が、エイミは紙一重でよける。

 

「くらえ!『魔神蒼破斬』!」

 

カルが『勇技』を放つ。ハルバードから氷の刃が放たれベルフーラを襲う。

 

我が力よ。彼のものを弱体化せよ!(ステュクス)

 

ベルフーラの大剣からも氷の刃が放たれカルが放った『勇技』を相殺する。

 

「ちっ!」

 

カルが苦い表情をする。

まずい・・・こっちが押され気味だ。ここは一度引いた方が・・・!

そう思った時だった。

 

「ふぉっふぉっふぉ。二人ともまだまだ修行が足らんのう。」

 

グラデンスがそういう。

カルがグラデンスの方を向くとそこには既にメルキオの姿がなかった。

 

「では、ゆくぞ!」

 

グラデンスはそういうと右手に槍、左手に剣を構え叫んだ。

 

『悠久なる光と闇よ、我が求めに応え顕現せよ!』

『闇と光の乱舞(フューラージハード)!』

 

グラデンスの剣からは光、槍からは闇が放たれ二体のユニットを襲う。その威力はカルやセリアの『勇技』を遥かに上回っていた。

 

我が真なる力よ!全てを弱体せよ!(グレイシアドラグーン)

「行け!『紫電神槍』!」

 

ベルフーラとエイミは同時に『勇技』を放って応戦したが無駄であった。

グラデンスの『勇技』は二つの力を消し去り二つのユニットをも消し去った。

 

「・・・!」

 

カルは目の前で起こった事に驚いていた。グラデンスの力が強大であることは知っていたが以前よりも威力が増していたからだ。

 

「さて、こんなものかの。」

 

グラデンスはそう言って呆然と座り込んでいるドナルベインを睨み付ける。

 

「お主には―」

 

聞きたいことがあると続けようとした時、突如強力なプレッシャーがあたりを支配した。

そして次の瞬間、三人を光が包み込んだ。

光がなくなった時、そこに三人はいなかった。

 

「ご苦労だったな。人間よ。」

 

何があったのか分からず呆然とするドナルベインに神徒レイブンが声をかける。

 

「レ、レイブンの旦那!」

「貴様のおかげで奴らを散り散りにできた。礼を言う。」

 

レイブンがそう言いドナルベインが表情を明るくした時、ドナルベインは地に倒れ伏した。

 

「せめてもの礼だ安らかに眠れ。」

 

それがドナルベインの聞いた最期の言葉であった。

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