―帝都ランドール アクラス召喚院にて。
「はあ。先輩、大丈夫かな・・・?」
管制室とゲートの狭間をつなぐ通路脇にある休憩所でリムは物憂げに呟いた。
本人はそのつもりは無いのだが十分無茶をしてるのをリムは知っている。
だから、今回イェーガーを未開の地へと送る事にリムは心配を覚えていたのだ。
きっと今回の調査でも先輩は無茶するに決まっている。でももし、万が一先輩が命を落としでもしたらと思うとリムは気が気でなかった。
再びリムが物憂げにため息をついた時唐突に声をかけられた。
「おいおい、ため息何かついてどうした?」
リムが声のした方を向くとそこには蒼髪の若い男が微笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
「あ、カルさん。」
リムがそう言うと男―カルはよう、と言った。
「任務が終わったから報告しに来たんだ。ところで、イェーガーを知らないか?」
「先輩なら未開の地の開拓調査任務に行きましたよ。」
「へぇ、あいつも忙しそうなんだな。」
カルは意外そうな表情を浮かべそのまま続けてこういった。
「んで、リムちゃんのため息の原因もあいつなんだな?」
リムは慌ててカルを見た。カルはいたずらっ子のような笑みを浮かべていた。
「い、いえいえいえいえ!そっそっそそんな事なななななないですよ!」
リムが慌てているのを見てカルは軽い笑い声を上げた。
「で?ホントのところは?」
カルがそう尋ねるとリムは泣き出しそうな表情になり
「う~・・・カルさんのいじわる・・・。」
と言ったのでカルは一変慌てた表情になり悪気はなかったんだ、とバツのわるそうな風に言った。
「けど、リムちゃんもわかってると思うけどあいつなら大丈夫さ。きっと乗り越えてみせるさ。」
「・・・でしたらいいのですが。」
リムはまだ何か言いたげな表情だったがカルの言葉に納得したのか明るい表情へと戻った。
その時だった。ゲートの狭間と呼ばれる場所で騒ぎが起こったのは。
「ゲートが閉じるぞ!」
誰かが悲鳴のような声でそう叫んだ。
その声につられて二人がゲートの狭間に行くとイェーガーの入っていったそのゲートがまさに閉じようとしているところであった。
リムは青ざめた表情となり急いで管制室へと戻った。
「先輩!応答してください!先輩!」
リムは端末に向かいそう呼びかけるが帰ってくるのは無情なノイズであった。
「おい、どうした?」
リムの同僚のノイマンがそう尋ねるがリムは気にも止めずに通信を続ける。
だがいくらかけても返ってくるのはノイズだった。
「もう止せ。」
いつの間にか追いついたカルがリムを止めた。リムは青ざめたままカルに向き直り震える声で尋ねた。
「どうしましょう・・・?」
「俺たちだけじゃ何もできない。グラデンスの爺さんのところに行ってみよう。何かわかるかもしれない。」
リムは小刻みに頷いた。その間にも端末はノイズだけを送っていた。