魔弾の王と召喚師   作:先導光

35 / 61
掟破りの2話連続です。
お願いします!


鬼神の焔

セリアは眼下に立つ竜を睨む。

ユニットでは無い為、余り強く無いと思えたのだがそれは脅威的な大きさであった。その竜ーー地竜は家屋を薙ぎ倒しさらに町の中心部へと足を進めようとしていた。

 

「行きましょう!マスター!」

 

アーシャはそう言うと竜を操り地竜の上空から一気に近づいた。

 

 

 

地竜は退屈であった。長きにわたり暴れなかった為人の街に出て思う存分暴れようと思ったのだが彼の前に人は余りに脆すぎた。地竜が足を踏み出すだけで何人もの人の命が絶たれ家屋は破壊される。だが、それだけでは満足しなかった。彼は求めていたのだ。自分を滅ぼせるような強敵を。自分と渡り合えるような強敵を。だが、彼は肝心な事を忘れていた。それは人間の力など、自分と比べれば取るに足らない存在である事を。

フン、クダラナイ。ショセンヒトナドコノテイドカ。

彼はそう思い再び歩みだそうとした時、上空から強力な力を感じた。そして、それは自分に向かってきていることに気づいた。空に目をやると紅い竜に乗った二人の女性がこちらにまっすぐ向かってくるところであった。

地竜はニヤリと嗤う。恐らく、上から近づく者たちは自分よりも強者だろう。そして、もしかすると自分はここで死ぬことになる。地竜はそう思ったが不思議と恐怖を感じなかったのだ。彼の奥底から溢れ出るのは歓喜ーー自分を満足させるほどの強者に出会ったことに狂喜したのだ。

デハユクゾ!ニンゲンヨ!!

地竜は一声大きく吠える。戦いが始まった。

 

 

最初に仕掛けたのはセリアだった。

竜から飛び降り地竜の背に乗ると大剣を振り下ろす。

だが、僅かな傷をつけるだけで、大したダメージにはならなかった。

そんなことは分かってるわ!

セリアは特に落胆する事無く駆け抜け地竜の首付近へと走り出す。だがその時、地竜が大きく暴れセリアは地竜から振り落とされた。

 

「キャッ・・・!」

 

セリアは地面に叩きつけられ小さく悲鳴をあげる。

地竜はそのセリア踏み潰そうと足をあげる。

 

「はあああ!」

 

その時、アーシャが竜から飛び降り剣をセリアの突き立てた場所に思いっきりつき立てる。やはり、ダメージは無く地竜は構わず足を降ろそうとした。その時、アーシャの乗っていた紅い竜がブレス攻撃を放ち地竜の視界を遮る。

地竜は怒りの声をあげる。視界が遮られたお陰で地竜はセリアの叩きつけられた地点から少しずれた位置に足を下ろした。セリアは素早く立ち上がると大剣を振り上げて唱えた。

 

「『焔の狂宴(イグニート・ヘヴン)』!」

 

地竜の足元から火柱が立ち上がり、地竜の足を焼く。地竜が少し怯んだ隙をついてアーシャとセリアは再び竜に飛び乗り空に舞う。

 

 

眼下で繰り広げられる戦いにサーシャは目を瞠っていた。普通の人間にしか見えないセリア。彼女がどこからか現れた女性騎士とともに地竜相手に互角以上の戦いを行っていたからだ。それにあの女性騎士が乗っている生物。あれは紛れも無く竜だった。つまり、あの女性騎士は竜騎士という事である。

竜騎士ーー黒き竜の伝説が根付くジスタートにおいて伝説とも言われている騎士だ。伝説の上では黒い竜に乗り国王の為に戦ったと言われている。だが、竜の希少性、意思疎通が出来ないことから存在は疑われていた。その竜騎士が目の前で戦っている。

一体何者なんだ?

サーシャがそう思った時、セリアの言った言葉を思い出した。

 

『もし、他の世界からやってきたと言ったら信じてくれる?』

 

まさか・・・。けど・・・。

サーシャはある意味で確信を持ちつつあった。

 

 

 

地竜は苛立ちの咆哮をあげる。

二人の人間と一体の飛龍はさっきから無駄な攻撃を何度も続け彼を苛立たせていた。

ニンゲンガ!ムダダトイウノガワカラヌカ!

彼は再び大剣を振り下ろした人間を振り落とし踏みつけようとする。

実質彼も同じ攻撃しかしていないのだが条件が違っていた。彼には二人と一体の攻撃は殆ど効いていないのだ。彼の強靭な身体は刃も焔すらも通じず全くの無傷だったのだ。

フン、ツギモフタタビホノオダスノダロウムダナアガキダ。

そう思い踏みつけようとしたとき竜に乗っている人間が叫んだ。

 

「『唸れ!竜の咆哮!(ドラゴン・レイジ)』」

 

すると、竜がひときわ大きく紅い輝きを放ち高威力の焔が吐き出される。

ムダダ!

構わず踏みつけようとした時、激痛を感じた。

 

 

よし!やったわ!

セリアは地竜が叫びを上げるのを聞くと素早く大勢を立て直し思い切り飛び上がる。セリアは名うての召喚師だ。だが、地竜に苦戦を強いられていたのには理由がある。それは地竜の強靭な身体の為だ。ならば、その身体を使えなくしてやればいい。執拗なまでに同じ攻撃をしたのはそれが理由だ。そして、セリアが高く飛べたのには理由がある。

セリアの背中には焔の翼があったのだ。

ある魔神との決戦。以前イェーガーの助けを借りて立ち向かった因縁の魔神を倒した時、セリアはこの力を得た。

セリアは空に舞い上がると地竜の背中ーー砕けた身体を狙って唱えた。

 

「『全てを焼き尽くす、決意の焔!(レーヴァテイン)!』」

 

詠唱が終わると同時にセリアの持つ大剣が焔に包まれ一つの巨大な剣となる。セリアはその剣を振り下ろし砕けた身体を貫いた。地竜は断末魔の叫びを上げ焔に包まれ動かなくなった。それと同時に兵士達の勝鬨が響いた。




少し中途半端ですがセリアパート終了です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。