イェーガー達の元にオルミュッツ軍がライトメリッツとの国境付近に接近中という報せが入ったのはそれから2日たった日の事であった。その時、イェーガー達はライトメリッツの公宮に着きすぐにブリューヌへと兵を動かそうとしていた。オルミュッツ軍現れるという報せを聞きエレンは不機嫌そうに吐き捨てた。
「やはりあのジャガイモ女め、邪魔しに動いたか。」
「・・・まあ、予想通りと言えば予想通りか。」
イェーガーは表情を曇らせながらそう言う。
今回の動きが牽制狙いである事は明白だが、こっちが動けば十中八九戦闘になるな。となると、ルジーナも来やがるな・・・。問題はパリスがどう動くかだ。まあ、あいつなら多分こっちに積極的に剣を向けようとはしないだろうが。
また、オージェ子爵からティグルに一通の書状が送られていた。
『ヴォージュ山脈で怪しげな旅人を捕らえたのじゃが、奇妙な手紙を持っておってな。同封する故目を通して欲しい。』
オージェから送られてきた奇妙な手紙の内容を要約するとこうだ。
『エレオノーラが兵を率いてブリューヌへと向かったら手筈通り、手薄になったライトメリッツを攻めて欲しい。』
ティグルはこの手紙を執務室で仕事中のエレンやリムアリーシャ、そしてその手伝いをしているイェーガーに見せた。
ーー手伝いっつても終わった書類をリーちゃんの指示通りに分別する簡単なお仕事だけどな。
「ふん、モルザイム平原で討った息子はボンクラだったが父親の方はくせ者のようだな。」
手紙に素早く目を通したエレンはふん、と鼻をならしそう言う。ティグルはリムアリーシャとイェーガーに視線を動かす。
リムアリーシャは書類から目を離さず醒めた口調で尋ねた。
「ティグルヴルムド卿、なぜ、テナルディエ公爵はこの使者をヴォージュ山脈に向かわせたのだと思いますか?オージェ子爵は公爵を嫌っております。オルミュッツへと最短距離とは言え危険すぎるのではありませんか?ーーイェーガー殿、この書類はそちらへ。」
「りょーかい。」
イェーガーが指示通りに書類を置くの見ながらティグルは気づいた。
「まさか、戦姫には戦姫をって事か!?」
「ん、そゆことー。ごめん、リーちゃんこの書類どこ置くんだっけ?」
「イェーガー殿、その書類はあちらです。」
そんなイェーガー達の様子を見てティグルは思った。
緊張感が無いな・・・。
だが、不思議と不安にはならなかった。それはやはり、イェーガー達の強さを信じているからだろう。
出会ってまだ、数ヶ月ーーイェーガーに関しては数週間くらいしか経っていないがーーしか経っていない。だか、ティグルにとって時間なんて関係なかった。
彼らは信頼するに足りる。力を貸して貰っておいてこう思うのは失礼な気がするがティグルにはそう思えたのだ。
「俺たちが動けば、オルミュッツは
「・・・恐らくな。」
エレンが答える。
ティグルは迷った。テナルディエを討つために一刻も早くブリューヌへと戻らなければならない。だが、それにはエレン達の協力が必要不可欠だ。しかし、ライトメリッツ軍を連れてブリューヌへと戻ればオルミュッツ軍はライトメリッツへと攻め込んで来るだろう。
挟み討ちか・・・。
その時、迷うティグルにエレンが声をかけた。
「ティグル、お前が選ぶんだ。」
「え?」
「私たちを連れてブリューヌへと戻るかここでリュドミラを追っ払うかはお前が選ぶんだ。私たちはお前の決断を信じる。その結果、ここが焼かれることになったとしても後悔は無い。」
その一言は為政者としてはあるまじき発言であった。だが、エレンは言い切った。
・・・それほどの覚悟があるということか。
イェーガーはそう思った。
んじゃ、俺もルジーナをぶっ飛ばす覚悟でもしとくか。
「ティグル、俺もお前について行くぜ。テナルディエに向かえば魔神が、リュドミラに向かえばルジーナがいるんだ。どちらにせよ俺の力は必要だろ?」
イェーガーがそう言う。
ティグルは目を閉じ息を吐くと目を開き言った。
「オルミュッツ軍を追い払おう。」
おまけ
次回、魔弾の王と召喚師
『激突!!ジャガの脅威!』
お楽しみ!
*嘘です(;^_^A