それから数時間後、オルミュッツ、ライトメリッツ両軍は国境付近の平原にて対峙した。
ティグルは戦闘に入る前にリュドミラに書状を書き兵を退くように要請した。だが、リュドミラはその要請をはねのけかえってティグルにテナルディエへと降るように命じた。
「やるしか無いのか・・・。」
ティグルは苦々しげにオルミュッツ軍を見ながらそう言った。オルミュッツ軍は全員重厚な鎧に身を包んでおり機動力はライトメリッツ程では無さそうだが防御は万全だ。
「守りの軍勢のようだな。あんな鎧ではいくら騎兵でも素早く動けないはずだ。」
イェーガーがそう言うとリムアリーシャが頷く。
「ええ。我々が彼らに苦戦を強いられる大きな理由がそれです。ですが・・・隙が無いわけではありません。」
リムアリーシャはそう言った時、オルミュッツ軍が仕掛けてきた。
「行きます。」
リムアリーシャはそう言うと兵を率いて攻撃を始める。イェーガーもそれに続いた。
「行くぜ!」
イェーガーもダンデルガを構えて突っ込む。騎兵の一人が迫ってくる。イェーガーはその騎兵をダンデルガの一振りで切り裂く。重厚な鎧と言えども覇炎剣ダンデルガに歯が立たず紙でも切るかのごとくたやすく切り裂かれた。その様子を見て僅かながらオルミュッツ軍に動揺が走ったのをイェーガーは見逃さなかった。
今しかない!動揺が走っているうちに出来る限り叩く!
イェーガーはそう判断するとすぐさま次の騎兵に狙いを定めた。
リムアリーシャ達が戦闘に入ったのをエレンとティグルは確認した。ティグルは弓による援護を行いエレンはいつでも救援に入れるように準備していた。
「ティグル、イェーガーを見てみろ。まさに獅子奮迅といった様だ。」
ダンデルガを振りオルミュッツ兵を斬るイェーガーを見てエレンが感想を述べる。
ライトメリッツ軍も剣が通じない割には善戦していたがイェーガーの働きは最早次元が違っていた。
何かおかしい。
ティグルはそう思わずにいられなかった。見たところこちらが優勢だが何かが引っかかる。ティグルはもう一度オルミュッツ軍に目を向ける。
そう言えば、イェーガーの仲間はどこに?
ティグルがそう思った時背後から鬨の声が聞こえた。
その声はイェーガー達にも聞こえていた。
イェーガーが慌てて声の方に目をやるとライトメリッツ軍が背後から奇襲を受ける場面が目に入った。
やばい!
「リーちゃん!撤退だ!味方が奇襲を受けている!」
だが、イェーガーがそう指示した時にはすでにリムアリーシャは指示を出し味方と合流するために兵を纏めようとしていた。だが、味方が奇襲を受けたことによりライトメリッツ軍は完全に浮き足だっていた。浮き足だった軍を纏めるのは容易では無い。ましてや、戦闘中ならなおさらだ。
浮き足だったライトメリッツ軍をオルミュッツ兵が襲いかかる。
イェーガーはダンデルガを振るいオルミュッツ兵を次々と切り捨てる。
「急げ!俺が殿を務める!早く退くんだ!」
イェーガーの声とリムアリーシャの指示が効いたのか兵達は落ち着きを取り戻し速やかに味方と合流を始めた。
オルミュッツ軍は部隊に追い討ちをかけようとしたがイェーガーがその前に立ちはだかる。
「恐れるな!敵は一人だ!」
オルミュッツ兵がそう叫んで襲いかかる。イェーガーはダンデルガを構えて敵を迎え撃つ。
一人また一人とオルミュッツ兵は倒れていく。だがそれに伴いイェーガーに疲労が蓄積していく。
くそっ!まだ倒れるわけにいかないんだ!
イェーガーが自分にそう喝をいれ敵を見据えた時、一人の男が襲いかかってきた。
「喰らいな!『業覇刃』!」
破壊の意思を持った一撃がイェーガーを襲う。イェーガーはその一撃を紙一重でかわして攻撃してきた男に目をやる。
「もうボロボロだなー。まさかこの程度なのか?なー、イェーガーさんよー!」
「ルジーナ・・・てめぇ・・・!」
イェーガーは得意げな表情を浮かべるルジーナをにらみながら呻く。
「この奇襲作戦・・・てめぇの仕業か?」
「へっ!だからイェーガー、テメェはバカなんだよ!あたまを使わず馬鹿正直に迎え撃ってくれたお陰で全部この俺様の計算通りだったぜー!」
ルジーナはそう言うと再び斬りかかってくる。イェーガーはその攻撃をダンデルガで弾きかえす。
「なんだってこんな事を!」
「テメェが気にいらねーからに決まってんだろが!」
「そんなお前のエゴごときで!ルジーナ!覚悟しやがれ!」
イェーガーはそう言うと構えた。
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