『
イェーガーはルジーナに問答無用で『勇技』を放つ。その一撃はまっすぐルジーナに吸い込まれるかと思われたが・・・
「無駄だ!」
イェーガーは自分の目のまえの光景を疑った。炎の奔流はルジーナに向かいーー急に軌道を変えて左に逸れていった。
馬鹿な!一体、何で!?
イェーガーがそう思った時、炎の中から一体の巨人が姿を現した。
「
・・・ッ!?面倒な相手のおでましか!
イェーガーはそう思いながら目の前の巨人ーー大神厳グランヴァースに目を向ける。
グランヴァースーー神々との大戦の時にある魔族が自分の娘を護るために作り出したゴーレムは最終形態だ。その耐久力とパワーには目を見張るものがあり以前戦ったディリウスなどものの敵では無いだろう。
「やっちまいな!グランヴァース!」
「
グランヴァースは目を光らせるとイェーガーに襲いかかる。イェーガーはグランヴァースから繰り出される巨大な拳と額のレーザーを避けながら考える。
まずい。状況はかなりまずい。味方が撤退するまでの時間稼ぎのつもりが逃げられない状況になっちまった。とにかく、逃げるにしてもルジーナを何とかしなければ逃げられない。・・・仕方がない。こっちも召喚するか!
『太古の英霊よ。我がーー』
「させるかよ!『
くっ!ルジーナの『勇技』が放たれた所為で詠唱できない!
イェーガーはルジーナの『勇技』を避ける。そのイェーガーをグランヴァースの一撃が襲う。
『
「ぐわあああ!?」
その一撃を避けきれずイェーガーはまともに食らった。イェーガーの全身に激痛が走る。死なないのは辛うじて急所を防御できたからだろう。だが、かなりの痛手であることは誰の目にも明らかであった。
ルジーナがニヤリと笑う。
「どうした?イェーガーさんよー。てめぇの実力はこんなもんか?」
くっ!イェーガーは言い返そうとしたが声が出なかった。声が出ないほどの打撃であったのだ。
「所詮てめぇの実力なんざそんなもんか。堕神を倒せたのもルシアスを倒せたのもマグレって事だなー。けっ。そんなんでイシュグリアに行こうってんだから笑えるぜ!」
イェーガーは立ち上がろうとした。だが、倒れてしまった。力が入らないのだ。ルジーナがニヤニヤしながら続ける。
「この俺様に楯突くからこうなんだよ。こんな実力ならてめぇでは何も救うことなんざ出来ねぇよ!なあ、雑魚召喚師のイェーガーーー。」
「そこまでよ。」
そのルジーナを遮る者がいた。イェーガー朦朧とする意識の中でその方向に目を向ける。ルジーナを止めたのは短槍をもつ青い髪の少女ーーリュドミラ・ルリエであった。
「あぁん?何の用だ。チビ女?」
ルジーナがこれ見よがしに挑発する。だが、リュドミラはルジーナを相手にせずイェーガーにのみ目を向ける。
「無様ね。そんな中途半端でこのオルミュッツ軍に勝てると思ったのかしら?まあ、いいわ。」
リュドミラは近くの兵に命じた。
「連れて行きなさい。」
オルミュッツ兵が現れイェーガーを拘束する。
ルジーナは面白くなさそうに言った。
「てめぇ・・・。いきなり横槍を入れてんじゃねえよ。」
リュドミラはルジーナを相手にせずに立ち去った。
ゴーレム語って難しいですね。