角付きトリニティ男子生徒概念   作:おんせんまんじう

11 / 12
お待たせしました、それなりに書き溜めました。
年内に完結させたい所感であります。


は、ハスミ、どうやって返答すればいいんだ…?

MomoTalk

 

_剣先ツルギ

◀︎
突然すまない
 18:32

◀︎
少し、話せる時間はあるか?
 18:32

 

沙汰ルシル

18:32 
勿論構いません!
▶︎

18:33 
いかがなさいましたか?
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
メールの通り、現状、正実に

お前に合う制服がないんだ

 18:37

◀︎
だから、オーダーメイドで

注文する必要がある

 18:37

 

沙汰ルシル

18:38 
なるほど、ご忠告感謝します
▶︎

18:38 
ツルギ先輩の御手を

煩わせるわけには行きません、

早急に仕入れておきます!

▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
いや、ああ、

ちょっと待ってくれ

 18:39

 

沙汰ルシル

18:40 
?ええ、了解です
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
お前はここに来て

まだ日が浅いはずだ

 18:45

◀︎
だから、ルシルが

良ければ何だが

 18:46

◀︎
私が付き添ったほうが

いいと思うんだ

 18:50

 

沙汰ルシル

18:50 
そんな、悪いですよ
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
…もしかして、

私とは嫌だったか?

 18:50

 

沙汰ルシル

18:51 
そんな訳ありません!

ただ…

▶︎

18:53 
私如きが先輩となんて…
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
如きじゃない
 18:54

◀︎
自分に価値がないみたいな

言い方は、やめてくれ

 18:56

◀︎
少なくとも私は、

そう思わない

 18:56

 

沙汰ルシル

18:58 
…申し訳ありません、

感謝します

▶︎

19:00 
しかし、本当に

いいんですか…?

▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
ああ
 19:03

◀︎
時間は明日の放課後でも

いいか?

 19:03

 

沙汰ルシル

19:03 
ええ!勿論構いません!
▶︎

19:04 
楽しみにしています!
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
それと
 19:07

◀︎
伝えておきたいことがある
 19:08

◀︎
今日起きた爆破事件、

被害者を助けたのは

 19:10

◀︎
お前だと聞いている
 19:10

 

沙汰ルシル

19:14 
え、と…はい
▶︎

19:15 
仰る通りです
▶︎

19:15 
申し訳ありません
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
!?
 19:15

◀︎
何を言っているんだ!?
 19:15

 

沙汰ルシル

19:16 
あ、い、いえ
▶︎

19:17 
えっと…
▶︎

19:19 
すみません、

忘れてください

▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
…よく聞け
 19:19

◀︎
私は謝罪なんて

求めていない

 19:20

◀︎
私が言いたいのはな
 19:20

 

沙汰ルシル

19:21 
はい
▶︎

 

_剣先ツルギ

◀︎
私は感謝している

という事だ

 19:22

◀︎
お前が、ルシルがいなければ、

救助も遅れていた

 19:23

◀︎
正義実現委員会委員長として、

礼を言いたい

 19:23

◀︎
ありがとう

 19:23

 

沙汰ルシル

19:30 
ありがおうございま
▶︎

19:30 
ありがとうございます
▶︎

 

既読

 

 

◆◆

 

 …私の足取りは覚束なく、地面を上手く認識出来ません。

 熱く激って震える手の先を操り、ポケットにスマホを突っ込んだ時には、私は既に寮内に到着し、またふとした瞬間には自室の扉に手を掛けていました。

 

 絶えず迫り来る激情に視界を揺さぶられながら、私はベッドに倒れ込みます。

 

「〜…!」

 

 意味を伴わない声が枕に溶けていきます。

 こうやって枕に顔を埋めていると、くぐもった心臓の音が五月蝿く聞こえる。

 

 それがなんとまぁ、心地の良いことか。

 

「フフフフフ…」

 

 鼻歌混じりにカーテンを閉め切り、部屋の電気も消して。

 そうして誰にも見つからない様にハットを脱ぎ去って、もう一度ベッドに飛び込みました。

 

 胸中をを占めていた傷心はどこへやら。

 この気持ちをなんと言葉にしたら良い物か。

 あの正実の長たるツルギ先輩から、恐れ多くも制服屋の案内に加えて、『ありがとう』の言葉。

 

 認められた、他ならぬ彼女に。

 承認欲求の満足、自己肯定感の補強、賞賛の渇きの充足。

 それが汚い欲望だと分かっていても、迸る感情を抑えることなど出来ようか。

 万感の思いに震えて、未だに指がうまく動かせません。

 

「…明日…ツルギ先輩と…フフフフ」

 

 手が伸びるのは、ハットを脱ぎ捨てて顕になった角。

 先が僅かに赤みを帯びた漆黒。

 ケアをする時間も取れず、節々が角張り、僅かにざらついています。

 

 貴女は、この角を受けて入れてくれますか?

 

「…大丈夫、ですよね」

 

 疑いは、どうやっても晴らせません。

 一片の曇りを残して、しかしそれを考えずにはいられない。

 やはり、私は。

 

 失望が、軽蔑がどうしようもなく恐ろしい。

 

 評価を、信頼を積み上げるごとに、その恐怖は膨れ上がっていく。

 おかしな話です、恐怖を乗り越える為に、信頼を積み重ねていると言うのに。

 

 コハルも、先輩達も、他の皆も。

 大丈夫、きっと大丈夫。

 そう言い聞かせて、私は布団を被ります。

 

 頭の中にはあの手紙が、『許さない』の文字が焼き付いて離れません。

 忙しなかった筈の指先は、夜の冷気によって既にその熱を奪われていました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。