TS転生特級術師 伏黒幸   作:莠給

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産まれながらの天才

 この世界は死と呪いに満ちている、なんて思ったのはいつだっただろうか。多分、産まれた時にはそう思っていたのかもしれない。

 

 輪廻転生などという言葉を信じている訳ではなかったが、実際に死を経験してしまい、挙句産まれ直してしまえば信じざるを得ないのかもしれない。例えそれが、自身の知る創作物の世界だったとしても、だ。そも畜生と紙面の紙魚にどれほどの差があるというのだ。

 

 生と死が表裏であるならば、誕生と死もまた表裏であり。死を乗り越えた先の生誕ともなれば、産まれながらに呪力を扱える事もおかしくは……いや、おかしいのは確かだろうがそれ以上に異端の存在が父親なれば。

 

 死んで、産まれて、直後に死を覚悟したのは己の父親が暴力という点において文字通り特級の存在であり、そんな存在がこちらを睨め付けたともなれば致し方なかった事だろう。

 

 故に、乳飲み子である私と双子の兄を置いて逝った母親も、それから更に荒れた気配をさせながら碌に姿を見せなくなった父親も、特に親だという感覚は無かった。それよりも重要だったのは己の中にあるエネルギー。

 

 姉が出来、父親が姿を見せなくなり、程なくして自覚した己の術式。天与の暴君、何処となく見覚えのある兄、なんとはなしに覚えている環境。ともなれば、己の産まれた世界にも検討が付くというもので。呪術廻戦、なるほど物騒な世界だ。

 

 幸いにも術式があり、比較対象たる兄と比して自覚出来る程には呪力も多く。一切の呪力を失った存在から産まれたのが最高位の術式持ちと圧倒的な呪力量なのであれば、やはりそれを猿扱いしていた連中はアホの集団なのだろう。

 

 幸いとでもいうべきか、双子ではあるものの二卵性であったが故か別に同一人物判定は無いらしいというのは、自分の魂の形を自覚出来ていたが故に理解できて。いやまぁ、これで同一人物判定付き天与呪縛だったら既に同じ奴らいるじゃん案件ではあったし、原作の為に私が死ぬか崩壊させてでもさっさと兄を殺す必要すら出てくる可能性があったのか……? いや、単に調伏バグ出来るだけで呪力的な足の引っ張り合いはどうだろう……分からんな。

 

 ともかく、薄暗がりに居る程度の呪霊であれば、反転させた呪力を放出するだけで払えてしまう4歳児。ゴリラ廻戦などと言われていた世界なのは知っているが、4歳の女児に肉弾戦は少々早いだろう。術式でも良いが、特効なので反転術式を使っている。

 

 ……そう。自覚出来る己の魂は男である筈なのに女として産まれて。バタフライエフェクトでも起きれば禪院家行きの血筋での多大なるデメリットとでもいうべき天与呪縛付きで、伏黒恵の双子の妹である伏黒幸という存在は産まれたのである。

 

 いくら天才とはいえ、この世界で女ってそれだけで割とデバフ……いや、まぁ特級ブラックホールとか第二の暴君考えればそうでも無いか。じゃ、なんとかなるかなぁ。

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