誕生日になると御三家の2つから贈り物が届く生活を続けてはや2年。小学3年生に上がった折に耳に挟んだのは、夜蛾正道の特級認定と拘束、両方の解除と学長就任の知らせだった。正直な事を言えば単純な反復無限の情報飽和より情報量が多い。
「へぇ♡ グラサンかけるようになったんですねぇ♡ 哀しい目をしてもコレでバレずに済みますねぇ♡」
「はぁ……君はもう少し慎みというものを覚えた方が良い」
面白いと思って会いに行ったのだが、グラサンの厳つい大男がおしゃぶり咥えたパンダを抱っこしている光景は実際面白いが過ぎて声に笑いが混じる。可愛いものが好きって絶対コンプレックスとかじゃんね。あるいは奥さんの趣味だったとか。
「良いんですよぉ♡ 別に困る事無いですしぃ♡」
「悟に熱烈なアプローチを受けているのも別に困り事では無いと?」
「恩師なら教え子が非行に走ってるの止めたらどうですかぁ♡」
「……」
勝手に頭を抱えていて笑う。呪術師って基本レスバ弱い気がするよね。すぐ炊くか勝手に沈むし。まぁやべー代の教え子の片方は呪詛師で片方がロリコンになれば頭くらい抱えるか。可哀想。
「それにしてもかわいい……ふふ、この子達は今度こそちゃんと産まれて来れたんですかぁ? それとも今度こそはちゃんと育つように?」
「お前……!」
別に気になって聞いただけなんだが、びっくりするほど警戒するじゃんね。……あぁ、もしかして総監部からなんか言われたとか思っているんだろうか。
「やだぁ♡ 怒ったりしたらパンダくんも泣いちゃいますよぉ? ほぉら、よしよぉし♡」
「!?」
「大丈夫ですよぉ♡ ほら、おにいちゃんもおねえちゃんもよしよぉし♡ 弟くんをちゃぁんと守ろうとしてえらいえらぁい♡」
超スピードではなく結界術のちょっとした応用。自らの手の中に居たはずのモノが相手に抱かれている状態。強く拳を握り締め……そして力無く腕を下ろした。
「……何が目的だ。その呪該は突然変「3つの魂で相互認識させてるんでしょう?」……」
軽く揺すりながら観測する。中で行われている謎世界観において、パンダの魂だけが本当に産まれたての赤子のようで。少しだけ大きな子供が2人、守るように……なんでゾウじゃ無くてトリケラトプスなん? コイン3枚でコンボ出来ないじゃんね。いやサイじゃ無いから関係ないか。
「それで安定して自力で呪力を生み始めるまでぇ……2、3ヶ月位? 大量生産には向かないんだから特級なんて大袈裟ですよねぇ♡」
五条悟は言うに及ばず、呪霊操術は数、ブラックホールなんかは物理的にヤバいとして。直哉くんは今なら大型台風好きなだけ発生出来るし特級も当然だろう。私? 時間停止中にちまっちま破壊行為繰り返さないとダメだから外れないかな、特級。
「だぁかぁらぁ♡ 別に
「……はぁ……お前の面倒を見る可能性があるというだけで頭が痛い……」
さしすよりは面倒を起こさない優等生でいるつもりなのだが、それはそれとしてもっと厄いものが何もしなければきちんと同級生になるだろう。というか別に縫い目の干渉ってもう無いだろうから放っておけば完全自動ですっくん受肉するんじゃ無いか?
「それにきみって丁寧に呼ぶの、やめちゃって良いんですかぁ? お前ぇ〜なんて教育に悪いと思いません?」
「お前の存在自体がその他全てに対して教育に悪いと確信しそうだ……ほら、返せ」
大人しくパンダを返してあげる。何、別に悪い事など何一つしていないだろうに。清廉潔白の身だとおもうのだが? ドブカス? 更生してんだから無罪だろ無罪。多分したよね? 別にちょっとオマケする位で悪い事などしないとも。
「くすくす♡ 元気に育つと良いですねぇ♡ ……あぁ、誕生日プレゼントとか用意しましょうかぁ♡」
「お前もまだプレゼントされる側だろう……ほら、進級祝いだ」
「わっ♡」
呪力の籠っていない犬の小さなぬいぐるみ。白黒2体をさっと投げ渡されて。
「ほら、さっさと帰れ」
「はぁい♡ じゃあね、せんせ♡」
……良い人なんだから、長生きすれば良いのにね。私には悲劇とかそういうのを止める気は無い。もしあるのであれば、折本里香の死とて防……いや、アレはアレで別件の厄ネタっぽいから逆に大人しく死んでた方が良い可能性あるか……うぅん……
まぁいいや。適当に生きてきゃ!