「はぁ!?」
「うるさいぞ直哉、俺も驚いたがな」
禪院家にて、当主含め幾人かの人間が集められた空間。急報である五条悟の敗北とその下手人たる伏黒幸、その父親である伏黒甚爾……元は禪院の血筋たる人間の特級認定。
それを聞いた禪院直哉の胸中に浮かんだのは、一抹の誇らしさとそれ以上の焦燥感、苛立ち、怒りであった。
(甚爾くんの子供が特級、それも悟くんを超えたんはおかしない。やっぱり甚爾くんは特別やったんや! せやけどなんなんそいつ。あっち側に勝手に踏み込んどるんか? 俺やぞ、次期禅院家当主はっ!)
現時点で齢18の直哉は約10年後とそう変わらない精神性を持ちつつも、やや遅めの厨二病と高2病の複合症状のような……つまり大差は無いものの、ややガキであった。
「そんでなんなん? まさかそいつをウチで引き取るなんて言わへんよね」
「うむ、それについては甚爾の奴と誓約書、縛りを結んどったんだがなぁ……五条悟の横槍で有耶無耶になるはず、じゃったんじゃが」
「はぁ!?!?」
ちらと見せられる一枚の紙。相伝術式であった場合10億を対価に甚爾の
「その五条を破ったともなれば、あの小僧が好き勝手出来る相手でも無かろう。故にこの縛りを敢行する
(ざけんなや! そうなったら最悪俺の次期当主っちゅう立場がのうなってまうやろが!)
荒れる内心。しかし実の父であり現当主たる直毘人へ直接当たり散らす程の愚挙を犯す筈もなく。精神性で言えばドブカス以外の言葉など見つからない程であるが、バレているからと不利になるような暴挙を父親にはせず。
「扇の叔父さんはどない思とるん? そないガキ相手に本気で俺らがヘコヘコせぇへんといかんと思うん?」
「私は当主に従うのみよ」
(っとにタマ無しのカスがっ! クソっ、何か、何か手が……!)
この時、脳裏に黒い火花が散る。
「そないな大事な話なら、次期当主の俺が迎えに行くんがええんやない? 当主自らなんてあきまへんし、かといって下手なん行かすんもあきまへんやろ?」
「……ふむ、まぁ良かろう」
にぃと笑みを浮かべる息子の思考は見抜いて、なお許容するのは決して甘やかしている訳でも無ければ当主としての責任を投げた訳でも無く。
(真実あの五条悟が敗れたのであれば、直哉程度ではどうこう出来まい。そも誰が出向こうが向こうがその気ならさっさと当主の座を明け渡して終いよ。そうで無ければ迎え入れる事も無し、どう転んでも結果は同じなれば、好きにさせておけば良い。……あわよくば、直哉が多少なりとマシに成れば良いがの)
「でぇ、おとうのおとうの兄弟のお子さんでぇ、おじさんって事で良いかなぁ♡ おにーさんとどっちが良い? 好きな方で呼んであげるねぇ♡」
「舐めんなやクソガキ、目上の人間に敬意払えへんとか死んだ方がええで」
流石論外の男だなぁ、というのが第一印象であった。なんやかんやであれから一月、結局押し付けられた特級の肩書と面通ししたガッデム先生の少し哀しそうな顔は置いておくとして、雑に呪霊を祓っているだけで雑に金の稼げる生活は許容出来る程度の手間だったのだが。
原作の知識も完璧では無い私ですら原作より過去の時点で誰だか理解できる生き物のうちの1人、音MAD素材のドブカス君がエントリーして来たのは秋口の事。めんどくせぇ以外の感想があるなら逆に聞きたい。
「うわぁ、すっごいピキちゃってるねぇ♡ 歳下相手に寛容に接せないとか育ちが悪いんだぁ♡」
「何いうとんの? これだから女っちゅうんは……頭が悪いんやね。禪院の術式持ちの男しか人間やないんやで? 分かったらさっさと傅いて自害でもせぇや」
マジで死んで欲しいを前面に出してきていて一周回って笑えてきてしまう。ひょっとすると自分が死なないとか思ってるんじゃ無いだろうか。別に私原作とかどうでも良いタイプなんだが。
「しょうもな……じゃぁあぁ♡ おにーさんが殺せるなら殺してみれば良いんじゃない? ほらぁ、先手は譲ってあげても良いんだよぉ♡」
「……言うたなぁ! 言質やで!」
欠伸が出そうな速度。24fpsを作る事により加速する術式でする事が小学生女児相手に後ろを取る、フェイントとカウンター込みの攻撃。笑ったものか欠伸したものか判別に苦しむ程であるが、とりあえず一回は殴られてあげる事にする。
「わぁ♡ おにーさん早ぁい♡ そーろーさんなんだぁ♡」
「こっ……の、クソガキがっ!」
何処を殴らせるなどは言っていないので指先で受け止めてあげれば、素直に動きを停める薄汚い禪院のドブカス。馬鹿みたいに1秒静止しちゃったのは絶頂でもしちゃたのかなw などと煽ったら脳の血管切れそう。
「ほらぁ♡ 強い言葉を使ったのに全然実現出来てない♡ よわよわおにーさん♡」
「ざけん なやっ このく されだ らずが ぁあ!」
「自分の術式も使いこなせてない♡ そもそもの実力が足りて無い♡ ざぁこ♡」
面白いように何の動きも作れずに地面を転がされる18歳児。……まぁ未成年だし弱くても仕方ないかぁとか言ったらもう少しはマシな動きしてくれるだろうか。今の所びっくりするほど何の役にも立っていないのだが。
「はーあ、投射呪法なんていっくらでも悪用出来そうなものなのに、解釈がスカスカ♡」
「お前 みたいな ガキにな にがわか ぐほぉ」
「あっ」
うっかり一発良いのが入ってしまった瞬間、音が出なくなる。あー、転がって行く時に首が良い感じの角度に曲がっちゃってるな。こーれ事故って事にならないかなぁ……ならなそう? 仕方ない、一旦治しておくかぁ……
すみません編集中データ飛んだので後で更新かけました