課金必須ソシャゲ世界で一人きりの無課金勢     作:〇〇貢ぎ概念

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『戦場の雷光クロノ』の独白

「カンパァイ!」

「乾杯。」

「……はぁ。」

「乾杯。」

 

 一仕事終えた私達は、探索者組合……通称ギルド御用達のホテルの部屋を一つ借りて、炭酸飲料片手に乾杯をしているのであった!

 

 これが私達のパーティの恒例行事!……まぁ無理やり私が三人を誘ってるだけなんだけどねぇ。

 

 エレナはストイックだからこんな事している暇があるなら魔法の研鑽をしたいって言い出すし、レグはこういう派手なの嫌いだし、ゼナは……ゼナはなんなんだろうね本当に。

 

 今も矢の本数を確認しながらコーラを飲んでるし……器用だよねぇ。思えばずっとこんな感じかな、ゼナは。

 

 初めて組合の紹介で会った時から、なんかこう……熱がないっていうか。私みたいにキャッキャ盛り上がるでもなく、エレナみたいにギラギラ闘志燃やすでもなく、レグみたいにダルそうにするでもなく。

 

 いつも一歩引いたところで、涼しい顔して矢をいじってる。それが逆に気になっちゃうんだよねぇ。

 

 でもさぁ、あの子ほんとすごいんだって。エレナったら口では素直に言わないけど、絶対ゼナのこと気に入ってるし信頼してるし。

 

 さっきだって「ゼナ、次のダンジョンでもちゃんと働いてもらうからな」とか、あれもう完全にデレデレじゃん!自分じゃ気づいてないっぽいけど!

 

「クロノ、なに一人でニヤニヤしてんだよ、気持ち悪ぃな。」

「レグひどっ!乙女の物思いにケチつけないでよー!」

「乙女?お前が?」

「なんでそこ疑問形なの!?」

 

 レグとじゃれ合いながらも、視線はやっぱりゼナの方に流れちゃう。矢の本数、数え終わったのかな。

 

 ……そう思ったら今度は何やら手元でコソコソ矢のアタッチメントの具合でも直してる。仕事熱心か。もう打ち上げ中だっつーの。

 

「ゼナも飲みなよー!せっかくの打ち上げなんだからさ!」

「ん、飲んでるじゃん、ほら。」

「そういうのじゃなくて!もっとこう、ワイワイする気持ちの方!」

「……難しいな……」

 

 困ったように笑うゼナ。あ、今の顔ちょっとよかったな。写真撮りたい。撮ったら絶対怒られるけど。

 

 こういう何でもない時間が、私は結構好きだったりする。派手にドンパチやるのも楽しいけど、こうやって四人でくだらないこと言い合ってる時間の方が、なんかこう……ホッとするっていうか。

 

 まぁ、それを口に出したらエレナに「お前は緊張感がない」って怒られそうだから、絶対言わないけどね!

 

 ……なんて能天気に笑ってられるのも、多分ゼナがいてくれるからなんだよなぁ。

 

 思い出すと今でもちょっと冷や汗かくんだけど。あれ、パーティ組んでまだ日が浅い頃だったかな。

 

 私、雷纏った刀振り回すの楽しくなっちゃって、「一閃雷光!一閃雷光!」って連発してたことあったんだよね。技名叫ぶの気持ちいいし、敵もバンバン倒せるし、もう完全に調子乗ってた。

 

 でもさ、大技連発ってことは、その分こっちの隙もデカくなるってこと。当たり前なんだけど、その時の私は完全に頭から抜け落ちてた。

 

 案の定、残機ギリギリで生き延びてた化け物が一体、私の背後にヌルッと回り込んできて。鉤爪が後ろで振り上げられた瞬間、「あ、これ死んだ」って本気で思った。頭真っ白。

 

 でも、何も起きなかったんだよね。

 

 振り返ったら、その化け物のこめかみに矢が突き刺さって崩れ落ちてた。ゼナの方見たら、もう次の矢をつがえながら涼しい顔で違う敵見てるの。まるで最初からそこに立ってて当然みたいな顔で。

 

「ちょ、ちょっと今の!?」って詰め寄ったら、

 

「ん?ああ、危なかったな。」

 

 それだけ。恩着せがましいこと一つも言わずに、注意ともお説教ともつかない一言だけ残して、また淡々と次の矢を放ってた。その後はエレナから調子乗るなって怒られましたけれども……

 

 あの時ちょっとゾッとしたんだよね。技名叫んで敵倒して気持ちよくなってる間、ずっとこの人は誰にも気づかれない場所で私たちの後ろ守ってくれてたんだって。しかも別に恩に着せる気配ゼロで。

 

 正直、あの日を境に、ゼナへの見方がちょっと変わった気がする。最初は面白半分で「弓矢一本で何ができんのー?」くらいのノリで組合から連れてきたのに、今じゃもう完全に手放せない存在になってる。

 

 まぁそれも絶対本人には言わないけどね。言ったら「大袈裟だな」とか涼しい顔で流されるの目に見えてるし。でも、本当にゼナが入ってから取りこぼしに目を向けなくて良くなったのは本当にありがたい……ありがたいからこそ、こういった場面じゃゼナにもハメを外してほしいんだけどなぁ。

 

「……やべ、弓の弦が緩んでる。」

 

 これだもの。そりゃ道具の手入れは重要だけどさ……少なくとも私たちはその道のプロに任せてるし、ゼナもそうすれば良いのに……「自分の手にあったものを使いたいから」って全部の調整を一人でやっちゃう。

 

 エレナもそうだけどみんなストイックだよねぇ……私も人並み以上に戦力で探索者やってるけど、それでもなんか志して負けたって思うことあるもん。

 

「ええい!辛気臭いこと考えちゃ駄目だ!ヤケ飲みじゃ!!」

「どしたクロノ急に!?」

「お前はいつも楽しそうだな……」

「お腹壊しますよ。」

 

 冷静に諭された……うぷっ、一気飲みはさすがに身体に毒だね……でも、変な物思いにふける時にはこれが一番!

 

「今日はとことんまで飲むぞ〜!」

「酒じゃないけどなこれ。コーラだぞ。」

「いいじゃん!私とゼナはお酒飲めないんだし!」

「……。えっあっはい!」

 

 数拍遅れてゼナが反応する……どんだけ集中してんの!

 

「全く、人の話はちゃんと聞いときなよね!」

「ははっ……す、すいません……!」

 

 ま、そんなゼナだからこそ頼りにはしてるんだけどね!……言っても謙遜されるだけだか言わないでおくけど。

 

 

 

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