タフという言葉はフリーレンのためにある   作:雁木まりお

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タフという言葉はフリーレンのためにある

 フリーレンは塵となっていく魔族を見つめながら地に膝をついた。故郷であるエルフの隠れ里が魔族に襲撃され、一番強い魔法使いであるフリーレンは魔族の軍勢と戦うこととなったのだ。

 

 結果としてフリーレンは勝利した。魔族の軍勢を率いる将軍『玉座のバザルト』らを討ち取ったものの、その代償は大きかった。里のエルフは彼女を残して全滅し、自身もまた、重傷を負う身となっていた。

 

(私がこの里で一番強い魔法使いだった……)

 

(モラルやマナーも理解できない魔族からみんなを守らなければならなかったのに……)

 

 フリーレンの心中に渦巻くどす黒い感情、その正体は死にたいくらいの屈辱だった。

 

(私が目指すものは完全無欠の魔法使い……欠点は必ず克服しなければならない……)

 

 

 

 

 

 

 

「私は痛いのとか苦しいのとか苦手なんです。それでも強くなれますか?」

 

「はい!強くなれますよ!」

 

 エルフの里を出たフリーレンは、山中にあるシュート・ファイティング・ジムの門をたたいた。

 

          FLAMME

          FIGHTING

          ACADEMY

 

「私は背も低いし体力もありません。これまで激しい運動はしたことがありません。それでも強くなれますか?」

 

「はい!強くなれますよ!」

 

「あなたより強くなれますか?」

 

「はい!一生懸命トレーニングすれば私より強くなれますよ!」ニコニコ

 

 なぜか胸筋をプルプルさせながらフリーレンの対応をする若い女性『フランメ』、彼女はこのシュート・ファイティング・ジムの開祖である。

 

「わかりました。入門します。じゃあ早速稽古を受けてもいいですか?」

 

「え?今から練習を始めたい?…………いいですよ!それじゃあその防具を着けてください。危ないですからね」

 

 一瞬表情が歪んだフランメだったが、フリーレンの意思が通じたのだろうか、すぐ笑顔になってトレーニングの準備をし始めた。

 

 

 

 

 

 

          ゴッ!!

 

なめてんじゃねーぞ!こら!

 

 防具を着けた途端、フリーレンの顔面に飛んできたのはフランメの鉄拳であった。

 

          グシャアッ!

 

「痛い思いをしねえで強くなりてえだと!?なれるわけねえだろうが!」

 

          ズシャアッ!

 

「わわ……あわ…ぐえっ!」

 

 うろたえたフリーレンの腹にフランメの鉄の膝がめり込んだ!

 

「魔法ってのはなあ苦痛から始まるんだ!ボコボコにぶちのめされて飯も食えず一人で便所にも行けず熱にうなされ浣腸を入れるんだ!鼻が折れたら溜まった血を抜くために鼻の穴に注射器を刺すんだ!」

 

          ドゴッ

 

「ぶちのめされた気分はどうだ!てめえの非力さを恨め!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「フランメさん……やりすぎじゃないっすか?相手は女の子ですよ?」

 

「私だって女の子だろうが!あれでも手加減したつもりだぜ。こっちは魔法(これ)に命かけてんだ…絶滅危惧種だろうがなめてるヤツは許さねえ!!」

 

 

 

 

「も……もう練習はお……終わりですか……?」

「なにっ」

 

 

 フランメの背後……ボコボコにされたはずのフリーレンが弱々しく、しかし確かに立ち上がった!

 

(私に敗北はない……なぜなら………死ぬまでギブアップはしないからだっ!)

 

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