どんなにボコボコにされても闘志を失わなかったフリーレン。
シュート・ファイティングの開祖『フランメ』はその執念を認め、フリーレンはフランメ・ファイティング・アカデミーへ入門することができたのだった。
あの最悪の初対面から、いくばくかの時が流れた。失神しても更なる練習に励むフリーレンを、フランメは弟子に迎えることにしたのである。今では二人は良好な関係を築いており、互いに「フリーレン」「師匠」と呼び合うようになっていた。
そんな二人は練習後、久々に人里の飲食店で酒を飲みかわしていたが………
「もういっぺん言ってみろ!真剣勝負をやったら魔族より強いだとう!?」
ガシャーン!
そこにいたのは大魔族『断頭台のアウラ』、500年以上生きた大魔族で、魔王直属の幹部「七崩賢」の一人である。
アウラは離れた席で酒を飲んでいたフランメの「真剣勝負をしたら魔族より強い」という発言を耳にし、酒瓶を地面に投げつけながら激高した。
アウラは迸る魔力を見せつけるように激高しながらも二人を見下し、下卑た笑みを浮かべた。
「なにがシュート・ファイティングだ…大魔族の足元にも及ばねえチビの掃き溜めじゃねえかっ」
基本的に魔族は魔力でしか戦闘能力を判断しない。500年生きたアウラにとって眼の前の二人は目を閉じてでも捻り潰せる弱者でしかなかったのだ。
「本当は私に憧れてるんでしょう?サインしてあげましょうかお嬢さん?」
「ムカつくなぁ…殴りてえなぁ…ぶっ殺してやりてえなぁ」
たまたまその店に居合わせ一般人には、アウラとフランメの間の空間が歪んで見えた。光が強い重力で曲がるように、二人の魔力が空気を震わせているのだっ!
「師匠…」
誰にも止められないかと思われた一触即発の空気に割って入る少女がいた。フランメの弟子フリーレンである。
「こんな
「あーっ?今なんて言った?このメスガキ…私は500年以上生きた大魔族だっ!私の魔法《
「気に障ったならあやまります。どうもすみませんでした…………でも」
「その魔法格下狩り専用ですよね?」
「それを言ったら殺されても文句は言えねえぞっ!!」
先ほど見せた怒りなど本気ではないと言わんばかりにブチ切れたアウラ。虚空から「服従の天秤」を取り出し臨戦態勢に入る!
「しゃあっ!
天秤に二つの魂……アウラとフリーレンの魂が乗った!後は魔力の大きさによってどちらが傾くかを待つだけである。この魔法は人類以上に公平公正であり、その結果を覆すことはアウラにもできないっ!
「ククク…勝負は決まったわね…お前は私が直々に首をはねてやるっ……なにっ」
勝ち誇ったアウラだったが、ある違和感に気が付いた。天秤はフリーレンの方に傾いているっ!
「な……なんですかぁこれはァ!天秤がフリーレンのほうに傾いてるですぅ!」
「アウラ……お前の目の前にいるのは…………
千年以上生きた魔法使いだ」
う
わ
あ
あ
あ
あ
あ
「アウラ、今日からサンドバッグになれ」
「フリーレンの野郎……なんだかんだ言って私の獲物を持っていきやがった………」
♦──アウラに哀しき過去……!